同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三〇九話 「二学期の始業式──新たな出会いと忘れられた過去」

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 二学期が始まった。

 夏の疲れを引きずりながらも、みんな無事に登校。

「弘弥、おはよう~!」
 ルナが元気よく声をかけてきた。

「おはよう、ルナ」

「ねぇ、二学期の始まりってなんかワクワクしない? 今年もあっという間に終わりそう」

「そんなこと言うなよ。もう少しゆっくり過ぎてくれ」

「うーん、でも、あっという間に“最終回”になるんだろうな」

「それ言われると急に不安になるからやめろ!」

 そんな会話を交わしながら教室へ向かう。
 でも、今日はなんだか……
 何かが違う気がした。

 ◆ ◆ ◆

 始業式が終わり、みんなが教室に戻ってきた。
 席に座って、遅れてきた数人のクラスメイトたちが席についたその時──

「弘弥お兄ちゃん、お久しぶりです!」

 その声が教室に響いた。

 振り返ると、そこには見覚えのある、しかし、すっかり大人びた顔立ちの少女が立っていた。

「……え?」

「二学期から引っ越してきました」

 その少女は、少し恥ずかしそうに顔を赤らめながら、俺に向かって手を振っていた。

「……あ、あれ? 君、誰?」

「え? 弘弥お兄ちゃん、わかんないの?」

 その言葉に、みんながざわつく。

 見覚えのある顔。だが、あまりにも成長しているため、
 すぐには思い出せなかった。

(誰だっけ……あれ、どこかで見たことがある気がするけど……)

「あの、もしかして……君、あの頃の……」

 その少女は少し目を輝かせ、照れくさい笑顔を浮かべて言った。

「実は一歳年下です。お兄ちゃん、忘れてたの?」

(あ、一歳年下……? なんだ、そういうことか)

「……あ、わかった! 君、あの時の……」

(本当に、忘れたくないと思っていたのに、思い出せない。どうしてだ?)

 その顔がすぐには出てこない自分がもどかしい。

 でも、そんな素振りを見せないように、強がって言った。

「うん、もちろん覚えてるよ! 久しぶりだな!」

 そう言って、無理に笑顔を作った。

 その少女がにっこりと笑う。

「弘弥お兄ちゃん、また一緒に遊ぼうね!」

 その言葉に、俺の心臓が一瞬止まりかけた。
 しかし、何かが足りない気がした。

 ──それは、あの頃の記憶。

 ──あの頃の、あの笑顔。

 でも、今の俺にはそれがすぐには思い出せなかった。
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