同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三二二話 「突破せよ!修羅場級地雷包囲網」

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「弘弥お兄ちゃんは……わたしのものなんだよ」

「違う。わたしの闇に堕ちたんだから、逃がさない」

「はぁ!? 弘弥はあたしのだって言ってんじゃん!!」

「汝ら、争うな。契約主の魂は、すでに我が呪縛の中にある──」

「皆さん静かに。彼を傷つけたら、あなたたち……後悔するよ?」

──修羅場。ここに極まれり。

講堂の中央、俺は身を小さくして座っていた。

周囲を囲むのは、ギャル・ヤンデレ・中二病・物理地雷──
ヒロイン包囲網。

(無理。無理無理無理。ラノベ書いてる場合じゃない)

誰かが一歩近づけば、他の誰かが睨み、
息をのめるような、張り詰めた空気が空間を支配していた。

(俺、このあと無事に下校できるのか……)

いや、それどころか。

(生きて帰れるかどうかすら怪しい!!)

◆ ◆ ◆

俺は考えた。
選択肢はふたつ。

①この場で誰かを選ぶ。
 →即、他ヒロイン全員による私刑。

②逃げる。
 →高確率で誰かに追い詰められ、捕獲・独占・監禁コース。

だが、俺には──第③の選択肢があった。

③:すべての女の視線を逸らす、奇策を打つ。

(……あれしかない)

「みんなっ!!」

突然、俺は立ち上がって叫んだ。

全員が一斉にこちらを向く。

「ぼ、僕が一番好きなのは──」

(よし……この一瞬だ……!)

俺は、後方の照明操作卓に向けて駆け出した。

「全消灯ッ!!」

照明ブレーカー、オールダウン。

──暗転。

次の瞬間、俺は講堂の裏手の非常扉を蹴破った。

(作戦名:“全消灯逃亡ルート(ブラックアウト・エスケープ)”!)

◆ ◆ ◆

廊下を駆ける。足音が、心臓の鼓動と重なる。

後ろから──叫び声。

「逃げた!?」

「弘弥お兄ちゃぁああんっっ!!」

「逃がさない!!」

「扉ごと呪縛する!!」

(やばいやばいやばい!!!!)

階段を三段跳びで降り、体育館裏へ、
そして門を抜けて──校外へ。

俺は叫ぶ。

「地雷包囲網、突破成功ぉぉぉぉぉおおおお!!!」

勝利の咆哮。

でも──

「……ふふ、甘いね」

目の前に、来栖ゆらが立っていた。

金属バットを肩に乗せ、月明かりの下で笑っている。

「逃げ道? 予測済み。
弘弥くんのパターン、全部ノートにまとめてるから」

「こわいぃぃぃぃ!!!」

◆ ◆ ◆

──その後、俺は逃走ルートを3度封鎖され、
体育倉庫の屋根裏に2泊3日立てこもることになる。

だがその戦いの果てに、ついに一人の少女と“取引”が成立する。

「協力してあげようか。条件次第で」

その声の主は──

まさかの教師陣。
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