同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
376 / 630

第三六九話 「みつきお姉ちゃんと地雷妹──姉妹戦争勃発の兆し」

しおりを挟む
 ──週末。
 俺は久しぶりに、近所のカフェで篠宮みつきと落ち合っていた。

「で、最近どう? 元気そうにしてる?」

「う、うん……まあ、いろいろと騒がしいけど……特に、“あゆむ”のことが……」

「だよね」

 みつきは、カフェオレのカップを持ち上げながら、いつになく真剣な顔をしていた。

「……弘弥。あの子のこと、ちゃんと気をつけて見ておいて。
 ……あゆむは、ちょっと“危ない子”なの」

 ◆ ◆ ◆

「危ないって……?」

「うん、あの子……“好きになった人”に対して、感情がブレーキきかなくなるところがあるのよ」

「いやいや、そんな小動物みたいな子が?」

「そう見えるでしょ。でもね、昔、家族が引っ越すことになったとき、
 “好きな子と離れるくらいなら学校辞める”って言って、
 本当に数日間、家出したのよ」

「……マジで……?」

「だから正直、今回の“転校”も、私が納得してないの。
 あの子、弘弥に会うためだけに動いた可能性、あるから」

「それって……」

 みつきは、静かに息を吐いて言った。

「……“本当は引っ越してくる予定なんてなかったのよ”。
 弘弥に再会するために、無理やり“お姉ちゃんの職場異動”を理由にしたの。
 私は断ったの。でも、あの子……“家族の中で一番可愛い声”で頼み込んで……」

(うわ……完全に、家族の情を逆手に取って動いてるタイプだ……)

 ◆ ◆ ◆

 ──その夜、俺の家。

「あっ、みつきお姉ちゃん♡」

 あゆむはリビングでアイスを食べながら、にこにこ笑顔。

「さっき弘弥お兄ちゃんとカフェでおしゃべりしてたんだって? 仲いいね♡」

「……まあね、年の離れた幼なじみだから」

「ふふっ、でも弘弥お兄ちゃんって、昔から“妹属性”に弱いもんね?」

「は?」

「お姉ちゃんって、“選ばれなかった側”だよね?」

 ──その瞬間、室温が一気に5度下がったような感覚がした。

「……え?」

「えへへ、冗談だよ~? でも、ほんとに弘弥お兄ちゃんって、
 “お姉ちゃんよりわたしのほうがいいって、昔から思ってた”んだよ?」

(あ、これ、ヤバい……)

 ◆ ◆ ◆

 みつきは笑っていた。
 けれどその目が、どこか乾いていた。

「そう……なら、がんばってね、あゆむ」

「あ、うん♡ でもお姉ちゃんは、がんばらなくても“負け確”かもね?」

「………………」

 ──小さな戦争は、すでに始まっていた。

 そして俺は、再び知ることになる。

 “ヤンデレの裏に潜む、家庭の闇”というものを。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...