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第三六九話 「みつきお姉ちゃんと地雷妹──姉妹戦争勃発の兆し」
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──週末。
俺は久しぶりに、近所のカフェで篠宮みつきと落ち合っていた。
「で、最近どう? 元気そうにしてる?」
「う、うん……まあ、いろいろと騒がしいけど……特に、“あゆむ”のことが……」
「だよね」
みつきは、カフェオレのカップを持ち上げながら、いつになく真剣な顔をしていた。
「……弘弥。あの子のこと、ちゃんと気をつけて見ておいて。
……あゆむは、ちょっと“危ない子”なの」
◆ ◆ ◆
「危ないって……?」
「うん、あの子……“好きになった人”に対して、感情がブレーキきかなくなるところがあるのよ」
「いやいや、そんな小動物みたいな子が?」
「そう見えるでしょ。でもね、昔、家族が引っ越すことになったとき、
“好きな子と離れるくらいなら学校辞める”って言って、
本当に数日間、家出したのよ」
「……マジで……?」
「だから正直、今回の“転校”も、私が納得してないの。
あの子、弘弥に会うためだけに動いた可能性、あるから」
「それって……」
みつきは、静かに息を吐いて言った。
「……“本当は引っ越してくる予定なんてなかったのよ”。
弘弥に再会するために、無理やり“お姉ちゃんの職場異動”を理由にしたの。
私は断ったの。でも、あの子……“家族の中で一番可愛い声”で頼み込んで……」
(うわ……完全に、家族の情を逆手に取って動いてるタイプだ……)
◆ ◆ ◆
──その夜、俺の家。
「あっ、みつきお姉ちゃん♡」
あゆむはリビングでアイスを食べながら、にこにこ笑顔。
「さっき弘弥お兄ちゃんとカフェでおしゃべりしてたんだって? 仲いいね♡」
「……まあね、年の離れた幼なじみだから」
「ふふっ、でも弘弥お兄ちゃんって、昔から“妹属性”に弱いもんね?」
「は?」
「お姉ちゃんって、“選ばれなかった側”だよね?」
──その瞬間、室温が一気に5度下がったような感覚がした。
「……え?」
「えへへ、冗談だよ~? でも、ほんとに弘弥お兄ちゃんって、
“お姉ちゃんよりわたしのほうがいいって、昔から思ってた”んだよ?」
(あ、これ、ヤバい……)
◆ ◆ ◆
みつきは笑っていた。
けれどその目が、どこか乾いていた。
「そう……なら、がんばってね、あゆむ」
「あ、うん♡ でもお姉ちゃんは、がんばらなくても“負け確”かもね?」
「………………」
──小さな戦争は、すでに始まっていた。
そして俺は、再び知ることになる。
“ヤンデレの裏に潜む、家庭の闇”というものを。
俺は久しぶりに、近所のカフェで篠宮みつきと落ち合っていた。
「で、最近どう? 元気そうにしてる?」
「う、うん……まあ、いろいろと騒がしいけど……特に、“あゆむ”のことが……」
「だよね」
みつきは、カフェオレのカップを持ち上げながら、いつになく真剣な顔をしていた。
「……弘弥。あの子のこと、ちゃんと気をつけて見ておいて。
……あゆむは、ちょっと“危ない子”なの」
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「危ないって……?」
「うん、あの子……“好きになった人”に対して、感情がブレーキきかなくなるところがあるのよ」
「いやいや、そんな小動物みたいな子が?」
「そう見えるでしょ。でもね、昔、家族が引っ越すことになったとき、
“好きな子と離れるくらいなら学校辞める”って言って、
本当に数日間、家出したのよ」
「……マジで……?」
「だから正直、今回の“転校”も、私が納得してないの。
あの子、弘弥に会うためだけに動いた可能性、あるから」
「それって……」
みつきは、静かに息を吐いて言った。
「……“本当は引っ越してくる予定なんてなかったのよ”。
弘弥に再会するために、無理やり“お姉ちゃんの職場異動”を理由にしたの。
私は断ったの。でも、あの子……“家族の中で一番可愛い声”で頼み込んで……」
(うわ……完全に、家族の情を逆手に取って動いてるタイプだ……)
◆ ◆ ◆
──その夜、俺の家。
「あっ、みつきお姉ちゃん♡」
あゆむはリビングでアイスを食べながら、にこにこ笑顔。
「さっき弘弥お兄ちゃんとカフェでおしゃべりしてたんだって? 仲いいね♡」
「……まあね、年の離れた幼なじみだから」
「ふふっ、でも弘弥お兄ちゃんって、昔から“妹属性”に弱いもんね?」
「は?」
「お姉ちゃんって、“選ばれなかった側”だよね?」
──その瞬間、室温が一気に5度下がったような感覚がした。
「……え?」
「えへへ、冗談だよ~? でも、ほんとに弘弥お兄ちゃんって、
“お姉ちゃんよりわたしのほうがいいって、昔から思ってた”んだよ?」
(あ、これ、ヤバい……)
◆ ◆ ◆
みつきは笑っていた。
けれどその目が、どこか乾いていた。
「そう……なら、がんばってね、あゆむ」
「あ、うん♡ でもお姉ちゃんは、がんばらなくても“負け確”かもね?」
「………………」
──小さな戦争は、すでに始まっていた。
そして俺は、再び知ることになる。
“ヤンデレの裏に潜む、家庭の闇”というものを。
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