同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三七四話 「まさかの“推しヒロイン論争”再燃──各陣営分裂へ」

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 ──翌朝。

 地獄のようなアニメ初回放送を終えた俺は、
 虚ろな目でスマホを見つめていた。

【#パンツで始まる青春】
【#真壁弘弥作品が令和を変えた】
【#推しは誰か戦争勃発】
【#ヒロインの誰がモデルかで友人関係が壊れた件】
【#パンツの枚数で覇権を取る男】

「……パンツから戦争ってどういう流れだよ……」

 画面を見ながら呟いた俺の背後で――
 事件は、再び始まっていた。

 ◆ ◆ ◆

「いやいやいや、あの“知的クールな委員長”キャラ、絶対私がモデルでしょ!?
 髪型も、セリフ回しも、“図書室で本読んでる”シーンも完全に一致だし!」

 すみれが、理知的に語気強めで主張する。

「ちょっと待って、それを言うなら“陽キャポジでスカートひらっ”のギャル、あれ私でしょ!?
 OPで10枚もパンツ見せてんの、私以外にいる!?」

 ルナはなぜかドヤ顔で自信満々。

「……“VTuber調の挿入歌”で登場した金髪ヒロイン、
 名前もイントネーションも私そっくりだったけど?」

 ことねは、微笑を浮かべながらスマホを片手にデータ分析済み。

「いや、そもそも“お兄ちゃん呼びのちっちゃい系ヒロイン”いたよね?
 お兄ちゃんと添い寝するやつ。私じゃん、完全に」

 碧純がぐいぐい詰め寄ってきて、
 そして――

「……観察記録と比較すると、私は“複合タイプ”の合成キャラ扱いのようです」

 ひよりがデータファイルを持って机に置いた。

「“ヒロイン全員の要素を混ぜた”キャラってことにしませんか、もう……(疲)」

 \\\ “誰がモデルか”論争、再燃。 ///

 ◆ ◆ ◆

「ていうかさ、弘弥くんはどの子が“自分の理想”なの?」

 すみれの問いに、場の空気が凍る。

「ひ、ひろやぁ……?」

「え、わたし……?」

「その答え次第で……この場、爆発します」

「現実逃避モード入ります!耳ふさぎます!!」

「モデルなんて関係ないし!みんな大事なヒロインだし!だいたいラブコメの王道は──」

「言い逃げ禁止!!」

 ◆ ◆ ◆

「でも正直、“わたしヒロイン枠じゃないかも……”って子、いるんじゃないの?」

 誰かが、ぽつりと呟いた。

 沈黙が流れる中、手を挙げたのは――

「はーい♪」

 ――あゆむだった。

「えっ……」

「私はね、別に“アニメでモデル化されてなくても”いいの」

 あどけない微笑みのまま、あゆむは続けた。

「だって――“本番”はここからだもん」

「“正妻ルート”って、アニメでも原作でも、まだ決まってないんだよね?」

 笑顔の奥に、どこか濁りのない――
 でも、異様な執着を宿した瞳。

「……っ!」

 ◆ ◆ ◆

「……はぁ?」

「なんで今、さらっとラスボス級の発言出たの!?」

「“狙ってます”って自己紹介された気がするんだけど!?」

「“実妹じゃない正妻”とか、新しすぎて攻略ルートが見えない!!」

「ていうか弘弥、過去にあんな約束してたなんて、説明してもらおうか?」

 \\\ ヒロイン全員、怒りゲージ上昇中。 ///

(やばい……地雷包囲網、強化されてる……!)

 ◆ ◆ ◆

「というわけで! 次回放送までに!」

 碧純が突然、ホワイトボードを引っ張り出す。

「“自分がモデルであることを証明するプレゼン資料”を各自提出してください!!」

「なんで急に課題式なの!? 文化祭かよ!!」

「勝てば“公式正妻”の称号を獲得!」

「負ければ“モブ確定”の烙印を押されます!!」

「悪魔か!?」

 ◆ ◆ ◆

 かくして――
 主人公・真壁弘弥のアニメが放送される裏側で。

 パンツと演出と恋愛事情が絡み合う、
 未曾有の“ヒロインマウント戦争”が開幕したのだった。
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