同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三七三話 「炎上&バズ──“パンチラアニメ”と呼ばれた夜」

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 ──放送終了から、わずか十数分後。

 俺は放心状態で、100インチテレビの前に突っ伏していた。

「……もうダメだ……次回放送、俺は観ない……」

 横では、ヒロインたちがスマホを片手にわいわいと騒いでいる。

「ちょっと!“パンチラ10連発アニメ”ってトレンド入りしてる!!」

「“これが令和の覇権アニメだ”って……え、なんか褒められてる!?」

「“エロすぎるのに何故か泣ける”“尊いパンツ”って何!?」

「“視聴者が夢精しそう”はアウトじゃない!?」

(なにこのタグ戦争……)

 ◆ ◆ ◆

 ──深夜0時過ぎ。
 リビングのインターフォンが鳴った。

「誰だよこんな時間に……えっ、ちょっ……!?」

 ドアの前に立っていたのは、編集者の久遠美月。
 童顔で小柄、だが目はギラギラと光っていた。

「──あのね? 弘弥くん。
 あなた、本当にやってくれたわね」

「ご、ごめんなさい……演出が……勢いが……」

「違う違う、そうじゃなくてね……」

 彼女は深いため息をつきながら、スマホを突きつけてきた。

「“初回放送でパンチラ10枚抜き”って、何なのよこのタイトル!?
 “実写化待ったなし”ってタグが付いてるのもおかしいでしょ!?!?」

「……うわあああああああ……」

 ◆ ◆ ◆

「でもまあ……正直、私は好きだけどね、ああいう暴走感」

「えっ?」

「売れるわよ、これ。めっちゃ売れる。
 深夜アニメの限界超えてるし、バズり力エグいし、
 何より“作家本人が夢精ネタをセルフ再現した説”が流れてる」

「なんでそっちだけ事実に近づいてくるの!?!?」

「ねぇ弘弥。次回以降、“もっとやらかして”もいいからね?」

「絶対やめてぇぇぇ!!」

 ◆ ◆ ◆

 ──その後。

 ソファに倒れ込んだ俺は、クッションに顔をうずめたまま動けなかった。

「……パンツ……パンツが……全国ネットで……」

「自業自得だよ? 弘弥くん」

「ヒロインに許可取ったの?」

「私のパンツじゃなかったのが救いだわ」

「私は嬉しかったけど? 弘弥の妄想に登場できて♡」

「お兄ちゃんがえっちな子って証明されただけだよね?」

 \\\ 精神ダメージ9999。 ///

 ◆ ◆ ◆

「もう……次回放送、俺は見ない。絶対に見ない。どんなに誘われても無理」

 そう言って布団をかぶった俺に、
 ヒロインたちは――

 にこりと、笑った。

「じゃあ、みんなで布団ごと運んでリビングに連れてくね♡」

「“記念すべき放送2回目”だからね~!」

「今度は“私のパンツ”の番だもんね♡」

「やめてやめてやめてえええええええええ!!!」

 ──次回、地獄の“視聴2回目”開幕。

 俺の受難は、まだ始まったばかりだった。
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