同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三七二話 「アニメ第一話放送開始──まさかの初手“パンチラ10連発”」

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 ──夜七時。
 秒読みカウントダウンが終わり、テレビ画面に眩しいオープニング映像が広がる。

【BGM:爽やかな青春バンド風OP】
【画面:走る制服少女たち → 校舎屋上 → 風でスカートひらっ】

「ひらっ、じゃないんだよ……!」

「出だしからパンツ出とるやないかいッ!!」

 第一カットから“パンチラ3連発”。

「えっ、ねぇ!? あれ私じゃない!? ギャルキャラのモーション! そっくりじゃん!?」

「や、やめてルナ……落ち着いて……ちょっと見てみよ?ね?」

「ちょっと待って弘弥。“この角度”でパンツ描写された覚えないんだけど!?」

 ◆ ◆ ◆

【画面:体育倉庫 → 主人公が倒れ込む → 下敷きになったヒロインのスカートふわり】

【パンツ、ドン! パンツ、ドン!! パンツ、ドドン!!!】

 \\\ パンチラ10連発達成。 ///

「いや連発しなくてよくない!?!?!?!?」

「どこの格ゲーのコンボだよ!?」

「弘弥くん……これって……私の脚の角度だよね……ね……(震)」

「まって、やめて、泣かないで!すみれ泣かないでぇぇぇぇ!!」

 ◆ ◆ ◆

「弘弥。これはどういうつもり?」

 すみれの眼鏡が光る。

「ち、ちがっ……これはアニメ側の演出上の都合で……!
 俺の原作では描写がもっと穏やかというか、その、抑制されてて……!」

「原作に“ふわっ”って書いてあったよね?」

「“絶妙な柔らかさと微妙な白”って、弘弥の地の文で……」

「“パンツではなく夢”って言い張った記述もあったよね……」

「そこまで読み込まないでぇぇぇ!!!」

 ◆ ◆ ◆

「お兄ちゃんの妄想、全国放送ってこと……?」

「違う!妄想じゃない! “演出”!プロの演出なの!!」

「ってことは、私の下着を“演出素材”に……?」

「その言い方やめて!マジでやめて!!」

「弘弥くん……私の下着、いつ見たの……?」

「だから見てないってばぁぁぁぁああ!!!」

 ◆ ◆ ◆

 放送は続く。

【ヒロイン(モデル:碧純)が主人公の布団に忍び込むシーン】

「ちょっ!? 弘弥!?!? 私の“忍び込み”まで再現してるの!?」

【ヒロイン(モデル:ルナ)がスカートまくって“踏まれたいの?”とウィンク】

「……え、これ、完全に……わたしやん……」

【ヒロイン(モデル:すみれ)が“夢精のこと……ちゃんと教えて?”と耳元で囁く】

「……………………もうお嫁にいけません(涙目)」

 ◆ ◆ ◆

 番組が終わるころ、
 ヒロイン陣営は完全に“反応三分割”されていた。

 ①【爆笑型】
 → ルナ、ことね「あたしっぽい~!やった~!」
 ②【動揺型】
 → すみれ、碧純「わ、わたし……こんな、過激じゃ……」
 ③【逃走型】
 → ひより、りあ、無言で部屋を出ていく。

 そして俺は、ソファの端で体育座りしていた。

(なにこれ……地獄の共同視聴会じゃん……)

 ◆ ◆ ◆

 エンドロール。

 画面には俺のペンネームが堂々と表示された。

 原作・シリーズ構成:M.K.B.(真壁弘弥)

「出た――!!本名バレる5秒前!!!」

「弘弥……この先の回、“もっとえぐい”って言ってたよね?」

「え……!?」

「じゃあ、次も観るしかないじゃんね♡」

 ヒロインたちは笑っていた。

 全員の目が、キラキラと――
 異様な光を放っていた。
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