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第三七八話 「配信コラボの夜──語られる“物語の原点”と、止まらぬ愛」
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──深夜10時。
ことねのVTuberチャンネル『ことねワールド』の配信枠に、突如現れた謎のコラボ相手。
【今夜だけの特別ゲスト!】
【“とある大ヒットアニメの原作者さん”が来てくれます♡】
画面には“アイコンだけ”のシルエットが表示され、視聴者は騒然。
「え、誰!?」
「声、若くない!?高校生っぽいんだけど!?」
「パンチラの神が降臨してしまった」
「っていうかことねの声がやけに優しいな!?恋か!?」
そんなコメントが飛び交うなか――
“真壁弘弥”こと俺は、匿名でマイクを握っていた。
◆ ◆ ◆
「……こんばんは。えっと、今日は、少しだけ“話”をさせてください」
ことねの声は、隣で微かに笑っていた。
「今回のアニメ……いろんな話題になりましたけど、
本当は“パンツ”じゃなくて、“想い”を書きたかったんです」
笑い声とともに、視聴者のチャット欄がざわつく。
「まじめモードきた」
「パンツじゃなかったの!?」
「いや、パンツは見えてた(事実)」
「登場人物たちは、全部“身近な誰か”をモデルにしてます。
でも、それは名前や外見じゃなくて……大事な記憶の中にいた“誰か”」
◆ ◆ ◆
語るうちに、俺の声から、自然と“演技”が抜けていった。
「この物語は、俺自身の――願いでもあって。
“誰かに愛されるって、どういうことか”。
“本当の気持ち”って、どうしたら伝わるのか。
それをずっと探してて……たぶん、今も、答えは出てません」
沈黙。
でも、ことねが、ゆっくりと言葉をつないでくれた。
「でもね、私は――
あなたの物語に出会って、救われたよ」
「……ことね?」
「だって、あのとき。
すごく辛かった時期に、“あのセリフ”に出会って……
『世界がどうでもよくなっても、君が隣にいれば、それでいい』って。
それ、私のために言ってくれたんだって、勝手に思ったの」
小さなすすり泣きが、マイク越しに聞こえた。
◆ ◆ ◆
画面の向こう側、チャット欄は騒然としていた。
「泣いた」
「なにこの青春映画」
「ことねちゃん……マジ恋なの……?」
「原作者と推しVTuberの恋、尊いしかない」
ことねは、涙をぬぐいながら笑っていた。
「だから、ありがとう。“あの物語”をくれて。
そして、今ここで話してくれて」
俺は、ふとつぶやいた。
「……じゃあ、これからも話すよ。君に。物語で」
それは、原作者とVTuberじゃなくて――
少年と少女の、最初の告白だった。
◆ ◆ ◆
そして。
その配信を――
リビングのテレビで全員見ていたヒロインたちは、沈黙していた。
「……ねぇ、今の、観た?」
「うん。……がっつり、公開告白だったね」
「“これからも話すよ。君に”って、プロポーズだよね?」
「私、しばらく布団から出ないから」
「現実を受け止めるまで、ちょっと時間ください」
「……でもさ」
すみれがそっとつぶやいた。
「今の彼、……“本物の作家の顔”だった」
ルナも、珍しく真剣な顔で頷く。
「“カッコいい”って、思っちゃったじゃん……」
◆ ◆ ◆
夜のリビング。
誰も言葉にしないけれど、
全員の胸の奥に、
“負けてたまるか”という火が灯っていた。
(俺の物語は、もう一人のものじゃない)
(関わってくれた全員と、歩いていくものなんだ)
そして――
アニメと物語と恋のすべてが、世界へと広がっていく。
──完結、アニメ放送開始編。
ことねのVTuberチャンネル『ことねワールド』の配信枠に、突如現れた謎のコラボ相手。
【今夜だけの特別ゲスト!】
【“とある大ヒットアニメの原作者さん”が来てくれます♡】
画面には“アイコンだけ”のシルエットが表示され、視聴者は騒然。
「え、誰!?」
「声、若くない!?高校生っぽいんだけど!?」
「パンチラの神が降臨してしまった」
「っていうかことねの声がやけに優しいな!?恋か!?」
そんなコメントが飛び交うなか――
“真壁弘弥”こと俺は、匿名でマイクを握っていた。
◆ ◆ ◆
「……こんばんは。えっと、今日は、少しだけ“話”をさせてください」
ことねの声は、隣で微かに笑っていた。
「今回のアニメ……いろんな話題になりましたけど、
本当は“パンツ”じゃなくて、“想い”を書きたかったんです」
笑い声とともに、視聴者のチャット欄がざわつく。
「まじめモードきた」
「パンツじゃなかったの!?」
「いや、パンツは見えてた(事実)」
「登場人物たちは、全部“身近な誰か”をモデルにしてます。
でも、それは名前や外見じゃなくて……大事な記憶の中にいた“誰か”」
◆ ◆ ◆
語るうちに、俺の声から、自然と“演技”が抜けていった。
「この物語は、俺自身の――願いでもあって。
“誰かに愛されるって、どういうことか”。
“本当の気持ち”って、どうしたら伝わるのか。
それをずっと探してて……たぶん、今も、答えは出てません」
沈黙。
でも、ことねが、ゆっくりと言葉をつないでくれた。
「でもね、私は――
あなたの物語に出会って、救われたよ」
「……ことね?」
「だって、あのとき。
すごく辛かった時期に、“あのセリフ”に出会って……
『世界がどうでもよくなっても、君が隣にいれば、それでいい』って。
それ、私のために言ってくれたんだって、勝手に思ったの」
小さなすすり泣きが、マイク越しに聞こえた。
◆ ◆ ◆
画面の向こう側、チャット欄は騒然としていた。
「泣いた」
「なにこの青春映画」
「ことねちゃん……マジ恋なの……?」
「原作者と推しVTuberの恋、尊いしかない」
ことねは、涙をぬぐいながら笑っていた。
「だから、ありがとう。“あの物語”をくれて。
そして、今ここで話してくれて」
俺は、ふとつぶやいた。
「……じゃあ、これからも話すよ。君に。物語で」
それは、原作者とVTuberじゃなくて――
少年と少女の、最初の告白だった。
◆ ◆ ◆
そして。
その配信を――
リビングのテレビで全員見ていたヒロインたちは、沈黙していた。
「……ねぇ、今の、観た?」
「うん。……がっつり、公開告白だったね」
「“これからも話すよ。君に”って、プロポーズだよね?」
「私、しばらく布団から出ないから」
「現実を受け止めるまで、ちょっと時間ください」
「……でもさ」
すみれがそっとつぶやいた。
「今の彼、……“本物の作家の顔”だった」
ルナも、珍しく真剣な顔で頷く。
「“カッコいい”って、思っちゃったじゃん……」
◆ ◆ ◆
夜のリビング。
誰も言葉にしないけれど、
全員の胸の奥に、
“負けてたまるか”という火が灯っていた。
(俺の物語は、もう一人のものじゃない)
(関わってくれた全員と、歩いていくものなんだ)
そして――
アニメと物語と恋のすべてが、世界へと広がっていく。
──完結、アニメ放送開始編。
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