同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三八一話 「清水の舞台と、告白未遂と、なぜか追いかけっこ」

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「うわ~、ほんとにあの清水の舞台だ……」

 目の前に広がる、歴史ある大舞台。
 木々の緑、遠くに霞む京都の街並み。
 風が吹き抜け、制服の裾が揺れた。

 修学旅行2日目、班別自由行動のスタート地点は――
 清水寺。

「さて、弘弥。今日は“碧純と二人きり班”だからね。バッチリ予約してたでしょ?」

「え、うん、えっ、マジで……?」

「今さら“気づいてなかった”みたいな顔すんなし!!」

 ◆ ◆ ◆

 気づけば周囲のクラスメイトたちは三々五々に散っていき、
 完全に“碧純と俺のツーマン観光”が成立していた。

「……ねえ弘弥、少しだけ、寄り道していい?」

「あ、ああ。うん、もちろん」

 手をつながれるわけでもなく、
 それでいて自然と距離が近いのは、幼なじみ特有の“慣れ”かもしれない。

(でも、なんか今日の碧純、いつもより……静かだな)

「……あのさ。弘弥に、ずっと言おうと思ってたことがあって──」

 その時だった。

 \ピロン♪/

 スマホの通知音。俺のじゃない、碧純のでもない。

 すぐに、背後から風を切って――

「はいそこまでぇぇぇぇぇ!!!」
「見つけたぁぁぁ!! GPSバレバレでしたぁぁ!!」

 振り返ると、息を切らしながら、
 ルナ・ひより・ことね・すみれ、そしてなぜかあゆむまで――フルヒロイン編成で登場。

「ど、どうしてお前らここに!?!」

「そりゃあ弘弥が“誰と一緒にいるか”くらい、抜かりなく把握してるに決まってるじゃん?」

「だって“告白未遂ポイント”、この清水の舞台ってのがド定番じゃん」

「記録済みの統計でも、“告白場所ランキング第3位”ですからね。チェック済みです」

「もはやここは戦場です」

 \\\ まさかの追跡バトル開幕 ///

 ◆ ◆ ◆

 こうして、なぜか清水の舞台で全力追いかけっこが始まった。

「ちょっと弘弥! 待って! 話の続きが!」

「むりむりむりむり!! こんな大舞台で修羅場とか無理ぃぃぃぃ!!」

「ちょ、そこ観光客!すみません通りますうう!!」

「きゃっ、舞妓さんとぶつかるうう!!」

 そしてなぜか、クラスの男子数名が舞妓さんに声をかけて怒られ、
 “清水寺ナンパ事件”が発生。教師にめちゃくちゃ怒られていた。

「修学旅行あるある、詰め込みすぎだろ……!」

 ◆ ◆ ◆

 旅館に戻った夜。

 夕飯は豪華な和御膳。
 温泉にゆっくり浸かって、ようやく一息……かと思いきや。

「さあ問題です。“今夜、弘弥の隣で寝るのは誰か”!!」

「出たなー! 修学旅行夜恒例、“正妻ポジ選抜会議”!!」

「ジャンケン? くじ引き? それとも……夢精発生率で決める!?」

「やめてぇぇぇぇ!! 俺の尊厳がまた削られてくうううう!!!」

「じゃあ、“もし今夜夢精したら、誰を思い浮かべてたか”でポイント制ね♡」

「本当に!この旅!一ミリも心が休まらないんだけどおおおおお!!!」

 ◆ ◆ ◆

 かくして。

 恋の告白未遂、追いかけっこ、舞妓さんナンパ未遂事件、
 正妻ポジション争奪戦――

 イベント盛りだくさんの修学旅行2日目は、
 “混浴”と“夢精”という最大の地雷を前に、まだまだ終わらなかった。
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