同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三八〇話 「いざ西へ!恋と陰謀の修学旅行、出発進行!」

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 春を迎えた四月の終わり。
 俺たちは、いつも通りの校門をくぐる……のではなかった。

「みんなー! 遅刻するなよー! バス、あと5分で出るぞー!」

 教師の声が飛び交い、
 駅前のロータリーには大型観光バスが2台。
 そしてその前で、カラフルなスーツケースと青春の熱気が入り混じっていた。

 そう――
 二泊三日、京都・奈良 修学旅行編が、いま幕を開ける!

「ねぇ弘弥、バスの座席、私の隣だよね?」
「いやいやいや、それは私でしょ!? ちゃんと荷物で場所キープしてあるし!」
「えっ、ワタクシも手作りお弁当持ってきてるんですけど……弘弥くん、ほら、はい、唐揚げ♡」
「このバトル、出発前から始まってんのかよ……!」

 俺の周囲だけ戦場だった。

 というか、旅行って普通ワクワクするイベントのはずなのに、
 毎回“命の危険”が伴っているのは気のせいか?

 ◆ ◆ ◆

 バスの出発前、担任が全体に向けて声を張る。

「今回の修学旅行は、“学びと交流”を目的にした行事です。
 くれぐれも“恋と性欲の暴走”に走らないように!」

 \ざわ……/

 なんでそこで、周囲のクラスメイトが一斉に俺を見た?

「真壁のせいで規則増えた説あるよな……」

「ラブコメ脳は修学旅行でも油断できねぇ……!」

 おい、やめろ。
 こっちはこっちで、“最重要対策アイテム”をちゃんと持ってきてるんだからな。

 ──スーツケースの底。
 他人には見られたくない“黒いパッケージ”。

【夜用・大人用吸収型パンツ/超安心の深夜対応】
(誰にも知られてはならない……青春を守る最終兵器……)

「……夢精、絶対阻止してやる……!」

 そんな決意を込めて、バスに乗り込む俺の背中に――
 複数の“正妻候補”たちの視線が刺さっていた。

 ◆ ◆ ◆

 道中、バスの車内はそれはもう大騒ぎだった。

 ・修学旅行のしおりを破ってスクラッチくじにするルナ
 ・ひよりが無言で全員の行動を観察・記録
 ・ことねが密かにスマホで「裏Vlog」を配信中
 ・碧純とすみれが、しれっと弘弥の左右を挟んで座る

「修学旅行って、これ“観察対象の交尾行動調査”になるね……」
「なるかぁぁああああ!!?」

 ◆ ◆ ◆

 京都に到着したのは、夕方少し前。

 着物を着た観光客たちの中に混ざりながら、
 クラスメイトは清水寺、金閣寺、祇園、嵐山など自由行動の計画に色めき立つ。

 だが、俺の頭の中はひとつのことでいっぱいだった。

(夜の部屋割り──それが最大の難関だ)

 そして案の定、夕食後。

 担任から「部屋割り発表」があった瞬間、
 地獄の始まりだった。

 ◆ ◆ ◆

「“男子4人部屋”とかって書いてあるけど……これ、修正可能なんでしょ?」

「ねえ先生、“特別な事情”があるって申請すれば、“混合部屋”もいけるって聞きました♡」

「弘弥の夢精防止のためには、専門看護師(私)が必要だと思います!」

「私、弘弥くんが夜中に苦しんでたら……助けに行くもん」

「えーっと、それはつまり“潜入”宣言……?」

「先生ー! この“夢精介護枠”、抽選とかにしませんかー?」

「やめてーーー!!! 俺の尊厳が溶けるううう!!」

 \\\ 修学旅行初日、修羅場開始。 ///

 ◆ ◆ ◆

 深夜、俺は布団の中で震えていた。
 左右からヒロインたちの“侵入”を警戒しつつ、
 装着された大人用おむつの存在にひそかに安堵していた。

(今夜は……耐えきれるか……!?)

 だが。

「弘弥、まだ起きてる?」

 襖がすーっと開いた。

 複数の影。
 月明かりに照らされた、浴衣姿の美少女たち。

「“修学旅行の夜”は、やっぱり一緒に過ごさなきゃ、ね?」

(これはもう、絶対に何かが起きる予感しかしない!!!)
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