同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四〇二話 「夢精は止まらない──異世界第二部、執筆決定!」

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 ──夜。
 俺は、出版社から届いた厚い封筒を開いた。

 中に入っていたのは、読者アンケート集計結果。

 その中の、一枚の数字が、視界に突き刺さる。

【第二部・続編希望:98.7%】

「……うわ……」

 俺は言葉を失った。
 数字じゃない。圧力でもない。
 “願い”だ。

 誰かが、俺の物語を、
 あのバカみたいな、でも本気で書いた“夢精ファンタジー”を――

 続きを、望んでくれている。

 ◆ ◆ ◆

「ねぇ、どうするの?」

 リビングでは、ヒロインたちが揃って俺を見ていた。

 すみれは静かに。
 碧純は不安そうに。
 ルナはワクワクした顔で。
 ことねは祈るように。
 あゆむは微笑みながら。
 りあは――刺すような視線で。

「次……書くの?」

「……うん」

 俺は、小さくうなずいた。

「書くよ。だったら、ちゃんと……誇って」

 ◆ ◆ ◆

 PCの前に座り、キーボードに指を置く。

 新しいタイトルが、頭の中で音を立てて生まれた。

『夢精で世界を救った少年、次は“愛”を知る。』

 思春期の、どうしようもない衝動。
 好きだという感情。
 伝えられなかった言葉。
 そして、触れたくて震えた夜。

 それらをすべて抱えて――
 この物語は、“夢精の先”へと進む。

 ◆ ◆ ◆

「……いいじゃん、それ」

 隣で見ていた美月が、ぽつりと言った。

「夢精があったから、“愛”を描けるんだもんね」

「……やっぱりその単語、言われると恥ずかしいな……」

「でも、ちゃんと書いてきたから言えるでしょ。
 今なら、“あの頃の自分”に胸張ってさ」

 俺は、小さく笑った。

「うん。今なら言える。
 ……夢精は、俺の物語の、始まりだったって」

 ◆ ◆ ◆

 そしてその夜。

 また、ヒロインたちが俺の部屋に集まり――

「じゃあ! 正妻ヒロインも第二章突入ね!」

「私こそ“愛”を教えてあげるわ」

「一緒に、“初めて”しようね、お兄ちゃん♡」

「データ更新中……“愛とはなにか”検索完了……」

「弘弥くん、夢精って“愛の裏側”ってことでいいのかな?」

「貴様ら……何を言っている……!」

 大混乱の中、俺は、目を閉じて深く息を吸った。

(さぁ、次の物語を始めよう)

 “夢精”の、その先へ──
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