同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四一三話 「翻訳者、大混乱──“MUSEI”はARTかHENTAIか」

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 ──海外版企画、進行中。

 日本では巻頭カラー・重版決定で絶好調の『夢精で世界を救った少年、次は“愛”を知る。』
 しかし今、世界中の翻訳者たちの精神が瀕死だった。

「“夢精”って……どう訳すの?」

 それは、文学と医学と芸術と下ネタのすべてを股にかける、
 最大の言語バトルであった。

 ◆ ◆ ◆

 SNSに上がる、翻訳者たちの悲鳴──

「Divine Emission(神聖な放出)……いや、神々しすぎる」 「Sacred Spill(聖なるこぼれ)……液体じゃん」 「Spiritual Explosion(精神的爆発)……中身が見えない」 「Nocturnal Overflow(夜間あふれ)……お茶こぼした?」

 訳すほどに生まれる、なにかが違う感覚。

「“夢精”という言葉には、あの……絶妙なダサ神々しさがあるんだよ……!」

 ◆ ◆ ◆

 ついに、海外の翻訳プロデューサーが涙ながらに叫ぶ。

「MUSEIはMUSEIのままで良いのでは……!?」

 → その瞬間、「#MUSEI」というハッシュタグが海外でバズり始める。

【#MUSEI_GOD】
【#BlessedByTheSpill】
【#WeAreAllYouthfulSpillers】

 ◆ ◆ ◆

 ことねは、その混乱を横目に配信を始めていた。

「言葉って難しいよね。日本語の“夢精”には、“夢”と“精”っていう字があるけど……
 それって“希望”と“命”っていう意味にも見えるんだよ」

「日本語って、奥深いね──」

 視聴者(海外):「KOTONE IS PHILOSOPHER」「Dream-Semen = Poetry」

 ◆ ◆ ◆

 そして、運命の決定。

 編集部から正式に発表された、英語版タイトルは──

 "When My Soul Overflowed in Sleep"
(魂が眠りの中で溢れたとき)

 弘弥「……うっ……ぐっ……な、なんで……涙が……」

 美月「どうしたの、弘弥くん?」

 弘弥「こんな……壮大なタイトルで俺の“青春事故”が売られるなんて……!」

 ◆ ◆ ◆

 その夜。
 世界中の読者が、公式ティザー画像にコメントを寄せた。

 “This is not porn. This is the truth of growing up.”
 “Every boy’s secret has a name now: MUSEI.”

 主人公の物語は、言葉を超えて、
 “共感”と“希望”の形になりはじめていた。

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