同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
431 / 630

第四二三話 「世界が誤解してる!?“夢精=爆発”問題勃発」

しおりを挟む
 ──それは、プレミア前日の深夜だった。

「……出た……」

 俺は、両手で頭を抱えながら、スマホの画面を見ていた。

 スタジオ公式アカウントが予告編を公開したのだ。

 タイトル:【WET DREAM WARRIORS : The Awakening】
(訳:夢精戦士たち──覚醒の夜)

 再生ボタンをタップする。

 ──そこには、俺の知っている“物語”は、なかった。

【予告編ナレーション】

「少年の夜は、突然、爆発した――」
「その白き閃光が、世界を変える」
「夜毎の発露は、地球を救う唯一の鍵」
「夢精、それは――神の啓示!」

 ──バァァァン!!!

 映像の中、主人公と思しき高校生(演:アレックス・ケイン)がベッドの上で呻いた次の瞬間、

 **ドォン!!**と街の上空に光柱が走り、敵の戦艦が爆散した。

【MUSEI = EXPLOSION】
【#MuseiExplosion】
【#WetDreamsSaveEarth】

 ……なんで?

 ……なんで俺の初夢が、地球防衛の最前線になってんの!?

「誰が! こんな解釈を!! 許したァァァァァ!!」

 ホテルのスイートで俺は泣き叫んだ。

「俺が書いたのは! 恋と青春と! ちょっとエッチなラブコメであって!! 爆発じゃねぇ!!」

「落ち着いて弘弥……気持ちはわかるけど……これはこれで、めちゃくちゃバズってる」

 碧純がスマホを見ながら苦笑する。

「え、だって“#夢精で平和が来る”って世界トレンド1位なんだよ……?」

「お前の夜、光ってるなって言われたらどうする!?」

「褒め言葉じゃないかそれ、むしろ」

「世界の誤解が、光速すぎるんだよおおお!!」

 そして、ヒロインたちもこの“世界の祭り”に巻き込まれていた。

「私のキャラ、胸揺れすぎじゃない? 夢精関係ないでしょ」

「私は“記憶を刺激する夢の巫女”になってた。完全に催眠AV寄りじゃん!」

「でもさ……」

 すみれが、ふっと言葉を紡いだ。

「伝わってる、よ。弘弥くんの“想い”……」

「え?」

「直接じゃなくても。
 たとえ演出がズレてても。
 “夜を描こう”とした君の心は、世界に届いてるのよ」

「すみれ……」

「だってさ~」

 ルナがビールをぷしゅっと開けながら笑った。

「夢精=爆発で世界が盛り上がるって、最高にバカで天才的じゃん? 弘弥の才能、マジもんだったんだよ」

「いや、なにその褒め方!?!?」

「ねぇ、ことねの配信でもトレンド爆走中だし、
 “日本の青春は世界を救う”って見出しまで出てるよ」

 そのとき、ホテルのテレビに速報が映った。

『映画"WET DREAM WARRIORS"、公開前にして配給各国27カ国突破!』
『主演アレックス・ケイン:「MUSEIを演じるのは、僕のキャリアで最もチャレンジングだった」』

「チャレンジングって言ったな今!? “夜の演技”の話でしょそれ!?」

『特設グッズ:「夢精光柱アクリルスタンド」「夢精発動枕」など完売続出』

「グッズ展開おかしいでしょ!?!? なんで俺の夜が商品化されてんの!?!?!」

 ──だが、それでも俺は気づいていた。

 誰かが、笑ってくれている。

 誰かが、俺の“言葉”に救われたと、言ってくれている。

 たとえ誤解されても、ねじ曲げられても、

 この“夜”は、俺たちのものなんだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...