同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
458 / 630

第四五一話「編集部会議、沈黙──“ブラジャー純文学”の可否」

しおりを挟む
 ──編集会議室、午前十時。

「テーマは“下着と恋の比喩”です」

 久遠美月のその一言に、編集部の空気が凍りついた。

 ざわ……という音すら起きない沈黙。

 いつものように茶をすすっていたベテラン男性編集が、手を止めた。 若手編集はノートPCを閉じ、全員が美月を見た。

「……えっと、つまり……“下着”とは?」

「ブラジャーです。」

 即答だった。 美月はロリ顔に似合わぬ眼力で、ぐいっと会議室を制圧する。

「作家・真壁弘弥が、次に描きたいテーマです」

「ま……真壁くんが……?」

「はい。彼は言いました。“ブラジャーとは恋だ。支えながら、包み込み、形を整えるもの”だと」

「……彼、いつもそうだけどさぁ。着眼点が局部的すぎない!?」

「今回は“谷間の比喩文学”という位置付けでやります。R-15ギリギリの純文学として」

「ギリギリか……ギリギリっていうか、ギリギリを越えて乳際じゃないか!?」

 ◆ ◆ ◆

 資料が配られる。

 ・新作タイトル案  →『支えられていたのは、きっと僕の心のほうだった』 ・構成案  →「カップ数で揺れる恋心」「ホックの距離と心の距離」「パッドと嘘と優しさ」

 編集陣:「…………(真顔)」

 その瞬間、空気を破ったのは編集長だった。

「……これは、やる価値があるかもしれない」

「えっ」

「恋を支える比喩として、下着ほど繊細で正直な道具はない。少なくとも、興味は惹かれる」

「……まさか、通る!?」

「ただし、**“脱がない純文学”**として貫くこと。えろに逃げず、構造と感情を描ききれるなら──」

 編集長は、資料をぺらりとめくって、笑った。

「“下着純文学”、やってみようじゃないか」

 ◆ ◆ ◆

 会議後──

 美月が編集部の廊下を歩きながら、弘弥に電話する。

「弘弥くん、通ったわよ」

『マジで!?』

「あなた、**レーベル初の“下着文学作家”**として名前刻まれるわ」

『俺の名前の横に“ブラ”って刻まれるの、人生的にどうなの!?』

「いいのよ。今の文壇、ギリギリを攻められる勇気がある男が、強いんだから」

『その“ギリギリ”の意味が違うでしょ!?』

「今度ばかりは……ギリギリどころか、胸ギリよ」

 ヒュゥゥゥン……と、遠くで風が吹いたような気がした。

 そして、物語は「恋とブラの純文学」へ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...