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第四五九話『お兄ちゃんの“好きな素材”で争う会──レース、コットン、それとも…?』
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朝の食卓。目玉焼きの焼き加減は完璧。味噌汁の出汁も効いている。
だが、空気は最悪だった。
ヒロイン全員が、俺・真壁弘弥に対して、どこか“探るような目”を向けている。
理由は……まあ、分かっている。昨夜の『ナイトブラ騒動』の余韻が、まだ続いているのだ。
「……で、弘弥くん」
一番に口を開いたのは、クール系美人のすみれだった。
「はい……」
「あなた、“触り心地”って、意識したことある?」
盛大に、味噌汁を噴きそうになった。
「な、ななな、何の話かな!? 朝食だよね!? 今これ、完全に朝食タイムだよね!?」
俺の狼狽を無視して、すみれは小さく微笑む。
「布の話よ。ブラの、素材の話」
「そう、素材!」
待ってましたと言わんばかりに、ルナが身を乗り出してくる。
「私はねー、断然レース派! ちょっとチクチクするけど、それがまた“女の子してる感”あっていいんだよね~」
「私はコットンが好きです」
すっと手を挙げたのはひより。
「柔らかくて、肌に優しくて、寝るときも違和感ない。しかも、実験データによると男性の好感度も高いんです」
「えっ、データ取ったの!?」
「はい。被験者五十名のうち、三十六名が“コットン系素材の下着を好ましい”と回答しました」
「そんなガチな統計いる!?」
その時、碧純が咳払いをした。
「……ちなみに、私はシルク」
「シ、シルク?」
「大人っぽいから。あと、ちょっと贅沢な感じがして……なんか、特別な気分になる」
そう言いながら、碧純は湯飲みに口をつける。その頬が、少しだけ赤い。
……なんか、可愛いぞ。
「じゃあ、ことねは?」
全員の視線が集中する。
ことねは一瞬沈黙し、静かに口を開いた。
「……鎖」
「素材じゃねぇ!!」
「見た目はレース、内側に“拘束感”がある設計。触れれば分かる。甘さと、罰の境界」
「やっぱり素材じゃねぇぇぇぇぇ!!」
話題は完全にカオスと化していた。が、ここで終わらないのが“正妻戦争”である。
「でさ、弘弥は、どれが好きなの?」
ルナが、無邪気な顔で問うた。
その瞬間、空気が止まる。
すみれの手がピクリと動いた。
ひよりが観察ノートを開く。
碧純が箸を止め、ちらりと視線を送ってくる。
ことねは……なぜか手元に小鎖を取り出していた。
「え、いや、あの……そ、それはさ、あの……」
「答えろ、お兄ちゃん」
碧純の声が低い。
このプレッシャー、まるで裁判。俺は今、“布の好み”で人生の分岐点に立たされている。
「……おれは……」
ごくりと唾を飲み込む。
「柔らかいやつ、がいいです……」
全員が動きを止める。
「柔らかいって……つまり?」
「たぶん……コットン……?」
ひよりの目が光った。
「勝利。記録します」
「ちょ、待てやああああああああ!!!」
ルナが椅子から立ち上がった。
「今の不公平だよ! だって“触って確かめたわけじゃない”じゃん!」
「触らせる気かぁ!?」
「だったら比べようよ、実際に! この中で、一番“触り心地がいいのは誰か”!」
「だめだってばあああああああ!!」
「いいのよ」
なぜか静かに口を開いたのは、すみれだった。
「それくらいで、気が済むなら……」
「なんで乗るの!? 冷静系ヒロインでしょ!?」
「……弘弥くんが、私のを“気持ちいい”って思ってくれるなら、少しだけ……」
「だからなんでそんな本気出してくるのぉぉぉ!?」
結果、その日。
俺は目隠しをされた状態で、手触りだけで素材を当てるという謎イベントに強制参加させられた。
手のひらの感触だけで、誰の素材かを当てる。
温度、繊維、弾力。
そのすべてが、俺の脳に刻み込まれていく。
そして、分かってしまうのだ。
(……やばい、分かる。分かるぞ、これ)
結果発表。
1位:ひより(コットン)
2位:すみれ(シルク)
3位:碧純(混合)
4位:ルナ(レース)
特別枠:ことね(鉄製)
俺はなぜか、その夜もまた床で正座していた。
そして、その背後から、ことねの声がする。
「……私のが一番、印象に残ったでしょ」
うん、怖さで。
「布の感触だけで、ここまで命を削るとは思わなかった……」
俺は天井を見上げて呟いた。
そしてその夜。
夢の中で、俺は無限の布地に囲まれ、うなされることになる。
だが、空気は最悪だった。
ヒロイン全員が、俺・真壁弘弥に対して、どこか“探るような目”を向けている。
理由は……まあ、分かっている。昨夜の『ナイトブラ騒動』の余韻が、まだ続いているのだ。
「……で、弘弥くん」
一番に口を開いたのは、クール系美人のすみれだった。
「はい……」
「あなた、“触り心地”って、意識したことある?」
盛大に、味噌汁を噴きそうになった。
「な、ななな、何の話かな!? 朝食だよね!? 今これ、完全に朝食タイムだよね!?」
俺の狼狽を無視して、すみれは小さく微笑む。
「布の話よ。ブラの、素材の話」
「そう、素材!」
待ってましたと言わんばかりに、ルナが身を乗り出してくる。
「私はねー、断然レース派! ちょっとチクチクするけど、それがまた“女の子してる感”あっていいんだよね~」
「私はコットンが好きです」
すっと手を挙げたのはひより。
「柔らかくて、肌に優しくて、寝るときも違和感ない。しかも、実験データによると男性の好感度も高いんです」
「えっ、データ取ったの!?」
「はい。被験者五十名のうち、三十六名が“コットン系素材の下着を好ましい”と回答しました」
「そんなガチな統計いる!?」
その時、碧純が咳払いをした。
「……ちなみに、私はシルク」
「シ、シルク?」
「大人っぽいから。あと、ちょっと贅沢な感じがして……なんか、特別な気分になる」
そう言いながら、碧純は湯飲みに口をつける。その頬が、少しだけ赤い。
……なんか、可愛いぞ。
「じゃあ、ことねは?」
全員の視線が集中する。
ことねは一瞬沈黙し、静かに口を開いた。
「……鎖」
「素材じゃねぇ!!」
「見た目はレース、内側に“拘束感”がある設計。触れれば分かる。甘さと、罰の境界」
「やっぱり素材じゃねぇぇぇぇぇ!!」
話題は完全にカオスと化していた。が、ここで終わらないのが“正妻戦争”である。
「でさ、弘弥は、どれが好きなの?」
ルナが、無邪気な顔で問うた。
その瞬間、空気が止まる。
すみれの手がピクリと動いた。
ひよりが観察ノートを開く。
碧純が箸を止め、ちらりと視線を送ってくる。
ことねは……なぜか手元に小鎖を取り出していた。
「え、いや、あの……そ、それはさ、あの……」
「答えろ、お兄ちゃん」
碧純の声が低い。
このプレッシャー、まるで裁判。俺は今、“布の好み”で人生の分岐点に立たされている。
「……おれは……」
ごくりと唾を飲み込む。
「柔らかいやつ、がいいです……」
全員が動きを止める。
「柔らかいって……つまり?」
「たぶん……コットン……?」
ひよりの目が光った。
「勝利。記録します」
「ちょ、待てやああああああああ!!!」
ルナが椅子から立ち上がった。
「今の不公平だよ! だって“触って確かめたわけじゃない”じゃん!」
「触らせる気かぁ!?」
「だったら比べようよ、実際に! この中で、一番“触り心地がいいのは誰か”!」
「だめだってばあああああああ!!」
「いいのよ」
なぜか静かに口を開いたのは、すみれだった。
「それくらいで、気が済むなら……」
「なんで乗るの!? 冷静系ヒロインでしょ!?」
「……弘弥くんが、私のを“気持ちいい”って思ってくれるなら、少しだけ……」
「だからなんでそんな本気出してくるのぉぉぉ!?」
結果、その日。
俺は目隠しをされた状態で、手触りだけで素材を当てるという謎イベントに強制参加させられた。
手のひらの感触だけで、誰の素材かを当てる。
温度、繊維、弾力。
そのすべてが、俺の脳に刻み込まれていく。
そして、分かってしまうのだ。
(……やばい、分かる。分かるぞ、これ)
結果発表。
1位:ひより(コットン)
2位:すみれ(シルク)
3位:碧純(混合)
4位:ルナ(レース)
特別枠:ことね(鉄製)
俺はなぜか、その夜もまた床で正座していた。
そして、その背後から、ことねの声がする。
「……私のが一番、印象に残ったでしょ」
うん、怖さで。
「布の感触だけで、ここまで命を削るとは思わなかった……」
俺は天井を見上げて呟いた。
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夢の中で、俺は無限の布地に囲まれ、うなされることになる。
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