同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四六〇話『ノーパン派の乱──「開放って、自由って、そういう意味だったの?」』

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 朝の静けさを打ち破ったのは、洗濯機の警告音だった。

 キッチンで目玉焼きを焼いていた俺――真壁弘弥は、「ピーッ、ピーッ」という電子音に眉をひそめつつ、洗濯機の前へと歩く。

 ふたを開けた瞬間。

「……えっ」

 目を疑った。
 中には、水を含んだ女性物の下着……しかもパンツだけが、ぎっしり。

「え、ちょ、なにこれ!? 全部パンツ!? ていうか誰の!? ていうかなんでパンツだけ!?」

 騒ぎを聞きつけて、ヒロインたちが順にキッチンに集まってくる。

 碧純、すみれ、ひより、ことね、そして――ルナ。

 全員の視線が、洗濯機の中に集中した。

「……おい」

 碧純が、眉間に皺を寄せてつぶやいた。
「これ……まさか、今日の分全部?」

 俺は震える手でパンツを一枚つまみ上げる。

「このデザイン……すみれの!? こっちはひより!? え、まさかこれ全部今履いてないの!?」

 その瞬間だった。

「……うん、履いてない」

 さらりと、ルナが爆弾を落とした。

 一同:「!?」

「いやいやいやいや!? えっ!? 履いてないって何!? 今!? 履いてないの!?」

 ルナは悪びれもせず、タンクトップの裾をくいっと引きながら、にっこりと笑う。

「だって、今日は暑いじゃん? 下、ノーパンの方が快適なんだよ。開放感っていうか、ほら、風通しも良いし」

「いや“風通し”の概念を下着に適用すなぁぁぁぁ!!」

 パニックになる俺をよそに、ことねが神妙な顔で頷く。

「理解できる。拘束は不要。自由を志す者にとって、下着は“足枷”」

「ちょっ、ことねもなの!? お前も今ノーパン!?」

「ノーパン。ノーギルト。ノーボーダー」

 どこの国のポリシーだ。

「まさか……すみれさんは?」

 俺が恐る恐る問うと、すみれはそっとカップを置いて、目を閉じた。

「……今日は……許して?」

「いやあああああああああああああ!!」

 さらに。

「ひより、お前はさすがに……」

「ノーパン中。データ取り中。動きやすさ、尿意頻度、着座圧、三項目検証中です」

「理系の変態来たあああああああ!!」

 碧純がぷるぷると震えながら口を開く。

「……なんで……なんでみんな一斉に“履かない”方向に団結してんの……?」

「だって、“履く必要ある?”って話になってさ~」

 ルナがケラケラと笑う。

「女子は自由でいたいの! 男にはわからないこの解放感!」

「わからなくていいです!! ていうかお願いだから、せめて俺の目の前では履いてくれぇぇぇ!!」

 こうして、新たな戦いが幕を開けた。
 名付けて――ノーパン派の乱。

 俺の理性は、果たして何日保つのだろうか。
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