同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四五八話『ナイトブラと深夜の格闘──「寝るときに“寄せてあげる”意味あるの?」』

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 ──深夜1時。
 リビングの照明は落ち、俺の部屋にも薄明かりだけが灯っていた。

 布団の上で寝返りを打つ。
 だが、眠れない。

(……なんか、妙に胸がざわつく)

 理由は明白だ。
 ナイトブラである。

 

 

 数時間前の話。

「お兄ちゃんって、ナイトブラ知ってる?」

 その唐突な質問を投げてきたのは、風呂上がりの碧純だった。

「な、なに!? え、いや、なんか……夜につける……ブラ?」

「まあ、正解。で、それって必要だと思う?」

「いや……夜って寝るだけじゃん? ブラ外すのが当たり前じゃ……」

「バカね。**“寝てる間に胸は横流れする”**のよ。支えてあげなきゃいけないの」

「よこ……流れ……?」

 すごい情報が飛び込んできた。

 

 

「ちなみに私は……ちゃんとつけてる」

「いや聞いてない聞いてない聞いてない!!」

「つけてる人と、つけてない人、見比べてみたい?」

「誘導がヤバすぎる!! どこへ俺を導く気だ!!!」

 だがその直後、ルナがにやりと笑って割り込んできた。

「ちなみにあたしはつけない派~! 夜くらい自由でいたいじゃん?」

「私は着けた方がいいって聞いて、最近着け始めたわ」と、すみれ。

「私は“実験的着用”です」と、ひより。

「私は……拘束具だと思ってる」と、ことね。

 なんだこの**深夜女子会の“地雷ラッシュ”**は!?

 

 

 その夜。
 俺は悶々としながら布団に入っていた。

(ナイトブラ……夜の支え……寄せてあげる……)

 なんだか頭がブラのことでいっぱいで、胸が張り裂けそうだ。
 いや、別に俺が“寄せてあげられる側”ではないんだが。

「……ああ、ダメだ。眠れない」

 起き上がり、冷たい水でも飲もうとリビングへ向かうと――

 

「ん……」

 薄暗い光の中。
 そこにいたのは、ソファに寝転がったルナだった。

 しかも、タンクトップ1枚、下は短パン。

(ちょっ、待って、これ明らかにノーブラじゃ――!?)

 ルナが寝返りを打ち、タンクトップが少しずれる。

 見えた、いや見えてないけど見えた気がした!

(だめだこれ、もう無理だ)

 俺は回れ右しようとした。
 だが次の瞬間――

「……見た?」

「うわあああああああああああ!?起きてたあああああああ!!」

 ルナは目を開け、いたずらっぽく笑った。

「ねぇ、正直に答えて? ……“ナイトブラ、必要だと思う?”」

「この空気で答えられるかあああああ!!」

「でも、ちゃんと見てくれるって、思ってた」

「いや俺は誠実な男です!!興味本位で女子のバスト事情を――」

「“寄せてあげる”って、夜にもあるんだよ?」

 その瞬間、空気が変わった。

 彼女は、タンクトップの上から自分の胸に手を当て――

「さわってみる? ……着けてないと、こうなるよ?」

「し、失礼しまァァァァァァァす!!!!」

 ドアを閉めて、俺は自室に逃げ帰った。

 鼓動が止まらない。
 ナイトブラ、こわい。夜が、こわい。

 

 

 翌朝。
 なぜか全員、俺に冷たい。

 すみれ:「……どうでした? “ナイトブラ、つけない派”の感触は」

 ひより:「触覚記録、更新しようかな……」

 碧純:「まさか、夜中に誰かと“寄せてあげる談義”してたとは思わなかった」

 俺:「何もしてないから!! いや、してたかもしれないけど、違うんだ!!!」

 

 

 朝のリビング。
 洗濯カゴの中には――なぜか各自のナイトブラが干してあった。

 それぞれ、名前入りの札つきで。

 弘弥:「いや、これ展示じゃないから!? なんで家の中で“下着バトル”の博覧会みたいになってんの!?」

 ことね:「夜に戦い、朝に干す。それが我々の文化」

 弘弥:「知らない文化来た!!」

 
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