471 / 630
第四六四話『ノーパンピクニック──“布一枚の戦争”開幕』
しおりを挟む
休日の朝。俺たちは、つくば市近郊の自然公園へピクニックに向かうことになった。
最初に聞かされた時は、素直に嬉しかった。
お弁当作って、芝生の上でのんびりして、みんなで笑い合って……そんな健全な休日になるはずだった。
だが――
「今日のドレスコードは“自由な発想”でお願いしまーす!」
ルナがそう叫んだ時、すべてが終わった。
車を降りた瞬間、俺は異変に気づく。
風が吹いた。
ヒロインたちのスカートが、ひらりと揺れる。
その揺れ方が、尋常じゃない。
(まさか……まさか、今、全員……?)
恐る恐る、俺は彼女たちを見た。
ルナは悪戯っぽくウインクし、スカートの裾をそっと押さえた。
すみれは淡い笑みを浮かべ、何食わぬ顔で弁当箱を持っている。
ひよりは、「着座圧データ収集中」とか訳の分からないことを呟いている。
ことねは……風に逆らうことなく、堂々とスカートをはためかせている。
碧純は、顔を真っ赤にして俯いていた。
「ど、どうかなぁ?」
ルナの小悪魔ボイスが、耳元で囁く。
冷や汗が止まらない。
俺の脳内では、警報が鳴りっぱなしだった。
──危険。これは地雷原。下手に見れば即死。見なくても妄想が暴走する。どのみち終わり。
必死に目線を逸らしながら、俺は芝生にレジャーシートを広げた。
風が吹くたびに、スカートがふわり。
必死に、必死に、俺は理性を保った。
だが、ことねが言った。
「……弘弥。見ていいよ」
「見ちゃダメだああああああああ!!!」
叫びながら、俺は顔を伏せた。
しかし、脳裏に焼きついてしまったものは消えない。
素材が極薄なのか、透けているのか、それとも本当に何もないのか。
想像するだけで、頭が爆発しそうだった。
しかも、ひよりが冷静に言う。
「弘弥先輩、汗の分泌量が通常時の三倍です」
「測らないでぇぇぇぇぇ!!!」
こうして、芝生の上の戦争は静かに、しかし確実に激化していった。
自由とは、かくも恐ろしいものである。
最初に聞かされた時は、素直に嬉しかった。
お弁当作って、芝生の上でのんびりして、みんなで笑い合って……そんな健全な休日になるはずだった。
だが――
「今日のドレスコードは“自由な発想”でお願いしまーす!」
ルナがそう叫んだ時、すべてが終わった。
車を降りた瞬間、俺は異変に気づく。
風が吹いた。
ヒロインたちのスカートが、ひらりと揺れる。
その揺れ方が、尋常じゃない。
(まさか……まさか、今、全員……?)
恐る恐る、俺は彼女たちを見た。
ルナは悪戯っぽくウインクし、スカートの裾をそっと押さえた。
すみれは淡い笑みを浮かべ、何食わぬ顔で弁当箱を持っている。
ひよりは、「着座圧データ収集中」とか訳の分からないことを呟いている。
ことねは……風に逆らうことなく、堂々とスカートをはためかせている。
碧純は、顔を真っ赤にして俯いていた。
「ど、どうかなぁ?」
ルナの小悪魔ボイスが、耳元で囁く。
冷や汗が止まらない。
俺の脳内では、警報が鳴りっぱなしだった。
──危険。これは地雷原。下手に見れば即死。見なくても妄想が暴走する。どのみち終わり。
必死に目線を逸らしながら、俺は芝生にレジャーシートを広げた。
風が吹くたびに、スカートがふわり。
必死に、必死に、俺は理性を保った。
だが、ことねが言った。
「……弘弥。見ていいよ」
「見ちゃダメだああああああああ!!!」
叫びながら、俺は顔を伏せた。
しかし、脳裏に焼きついてしまったものは消えない。
素材が極薄なのか、透けているのか、それとも本当に何もないのか。
想像するだけで、頭が爆発しそうだった。
しかも、ひよりが冷静に言う。
「弘弥先輩、汗の分泌量が通常時の三倍です」
「測らないでぇぇぇぇぇ!!!」
こうして、芝生の上の戦争は静かに、しかし確実に激化していった。
自由とは、かくも恐ろしいものである。
0
あなたにおすすめの小説
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる