同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【第五五八話】 『まさかのノーパン──ミレーヌ、爆弾投下』

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「ですの!」

 ミレーヌの明るい声とともに、
 彼女のスカートが大胆にめくられた。

 全員の視線が、一斉に彼女の脚に吸い寄せられる。

 ──そこにあったのは、
 何もなかった。

 布も、レースも、リボンも。

 ただ、白く滑らかな太ももと、
 何も隠されていない、ありのままの素肌だけが存在していた。

「」

 空気が凍りついた。

 耳をつんざくような静寂。

 ◆

「……え?」

 最初に声を上げたのは、碧純だった。

「ミ、ミレーヌ……?」

「うん、ですの!」

 にこにこと無邪気に笑うミレーヌ。

「わたくし、洗濯中だったので……今日は履いてないですの!」

 彼女は何の悪びれもなく、両手を腰に当て、誇らしげに胸を張った。

 その胸の下に広がる、スカートの向こう側には──やっぱり、何もない。

 ◆

「おまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 ルナが頭を抱えて絶叫した。

「な、なんでそんな状態で平然としてんの!? 恥ずかしくないの!?」

「裸は自然ですの!」

「文明開化どこ行ったぁぁぁぁぁ!!!」

 ◆

「記録……記録が追いつかない……!」

 ひよりがノートを握り締め、震えながらペンを走らせる。

「青春、限界突破……人類の常識、更新中……」

 すみれも、顔を両手で覆いながら赤面している。

「み、見ちゃいけないのに……でも目が勝手に……!」

 ◆

 そして俺。

 真壁弘弥は、というと──

 白目を剥いて、完全に思考停止していた。

(だめだ)

(理性の、限界が──)

「……あばばばばばばばばば」

 わけのわからない音を発しながら、
 俺は床に崩れ落ちた。

「だ、だって……先生、リアルがいいって言ってたですの!」

 ミレーヌは涙目になりながら訴える。

「だから、わたくし、全力でリアルを提供して……!」

「リアルすぎんだよぉぉぉぉぉ!!!!」

 碧純が両手で顔を覆って叫んだ。

「兄、絶対壊れた……もう戻ってこれない……」

「きっと明日から、ノーパンフェチ作家って呼ばれる……」
 ルナが項垂れる。

「青春とは、自由だ──」
 すみれが諦めたように呟く。

「記録。青春、ノーパンフェーズ到達。」
 ひよりは震える手で最後の記録を綴った。

 ◆

 ドタバタと混乱の渦の中、
 ミレーヌはきょとんとしながら、
 スカートをふわふわ揺らしていた。

 その無邪気さが、
 逆にすべてを破壊していく。

 俺は、
 悟った。

(青春は、危険だ)

(尊いけど、危険すぎる)

(だが──だからこそ、美しい)

 ぐるぐると回転する思考の中、
 俺の脳内には、新たなタイトルが浮かんでいた。

『きみと、パンツと、存在しないものと。』

(書くしかない……これを……)

 もはや使命感すら抱きながら、
 俺は静かに天を仰いだ。

 青春は、終わらない。

 まだ、まだ続く。

 そして──

 今夜もまた、
 ドタバタの夜が、幕を開けた。

【続く】
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