同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
570 / 630

【第五六三話】『ミレーヌ、自由の国を体現する』

しおりを挟む
 リビングに入った瞬間、俺は思考を停止した。

 そこにいたのは──

 真っ白なワンピース一枚を身にまとったミレーヌ。

 スカート丈は短い。
 ふわふわと揺れる軽やかな布。

 そして──

 その下に、何も、ない。

 いや、正確に言えば。
 パンツが、なかった。

「……」

「……」

 目と目が合う。

 ミレーヌはニコニコと微笑んだ。

「おはようございますの、先生!」

「お、おは……よ……」

 声が裏返った。

 ◆

 俺は慌てて視線をそらし、
 壁のシミを眺めながら必死に心を落ち着けようとした。

(み、見てない……俺は何も見てない……)

(気のせいだ……! ワンピースの下にはきっと……!)

 だが──

 チラリと横目で見たとき、
 ふわりとスカートが揺れた。

 その一瞬。

 俺は確信した。

 ──この世界には、重力が存在する。
 ──この家には、ミレーヌがいる。
 ──そして、ミレーヌは、今、ノーパンである。

 ◆

「ふふっ、先生?」

 ミレーヌが首を傾げる。

「そんなに、どうかしましたの?」

「な、ななななな、なんでもない!!」

 俺は即座に全力で首を振った。

「ななななななななにも、問題はない!!!」

「良かったですの!」

 ミレーヌは満面の笑顔で頷き、
 そのまま、廊下をスキップするように去っていった。

 そのたびにスカートがふわふわ揺れる。

 視界の端に、チラリと、白い太もも。

「あばばばばばばばばばばば」

 俺はその場に崩れ落ちた。

 ◆

 後から聞いた話だが──

 ミレーヌは最近、自国の文化を改めて学んでいたらしい。

「先生、日本はパンツ文化ですの!」

「でも、わたくしたちの国では──裸も自然な美ですの!」

 そして、彼女なりに考えた末。

「ならば家の中では、自由に生きるべきですの!」

 という結論に至ったらしい。

 つまり。

 家の中ではノーパン。
 それが自由と自然の象徴。

 それが、ミレーヌ理論だった。

 ◆

「兄ー、朝ごはんできたよー!」

 碧純がキッチンから顔を出す。

 ルナとすみれも、テーブルに座ってパンをかじっている。

 まだ、誰も気づいていない。

 ミレーヌが──
 ノーパンで歩き回っていることに。

 俺だけが、
 この地獄の真実を知ってしまった。

 ◆

「ほら兄、早く座って!」

「う、うん……」

 ぎこちなくテーブルに着く。

 向かい側には、ミレーヌ。

 無邪気にパンを頬張り、
 スカートをひらひら揺らしながら、足をぶらぶらさせている。

(だめだ……)

(視界に入る……太ももが……絶対領域が……!)

(なぜこんな試練を……なぜこんな拷問を……!!!)

 俺は手を震わせながら、トーストを口に運んだ。

 味なんて、わからない。

 ただ、脳内で警報が鳴り続けていた。

 ◆

「先生、今日もいい天気ですの!」

 ミレーヌが笑顔で言う。

「こんな日は、お昼寝したくなりますの!」

「う、うん……そ、そうだね……」

「リビングでごろごろしながら、お昼寝しますの!」

 無邪気に宣言し、
 ミレーヌはソファに寝転んだ。

 スカートが、また、ふわりと。

(ぐああああああああああああ!!!)

(な、なんで誰も気づかないんだぁぁぁぁ!!!)

(俺だけが! なぜ俺だけがこの地獄を知っているんだ!!)

 ◆

「兄? 大丈夫? 顔真っ赤だけど」

 碧純が不思議そうに首を傾げる。

「べ、べべべべ、別にぃぃぃ!!!」

 絶叫に近い声で誤魔化した。

「兄、熱でもあるんじゃない?」

「違うぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」

 ルナとすみれが苦笑する。

 ミレーヌは、
 無邪気にスカートをひらひら揺らしながら寝返りを打つ。

 そのたびに──
 俺の理性が、削り取られていった。

 ◆

(このままじゃ……)

(絶対……夜、やばい……!!)

 すでに、確信していた。

 こんな刺激を受けた夜──

 絶対に、俺はまた──

(うわああああああああああ!!!)

 俺は心の中で叫んだ。

 青春は。

 今日もまた、地獄だ。

【続く】
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...