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【第五六三話】『ミレーヌ、自由の国を体現する』
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リビングに入った瞬間、俺は思考を停止した。
そこにいたのは──
真っ白なワンピース一枚を身にまとったミレーヌ。
スカート丈は短い。
ふわふわと揺れる軽やかな布。
そして──
その下に、何も、ない。
いや、正確に言えば。
パンツが、なかった。
「……」
「……」
目と目が合う。
ミレーヌはニコニコと微笑んだ。
「おはようございますの、先生!」
「お、おは……よ……」
声が裏返った。
◆
俺は慌てて視線をそらし、
壁のシミを眺めながら必死に心を落ち着けようとした。
(み、見てない……俺は何も見てない……)
(気のせいだ……! ワンピースの下にはきっと……!)
だが──
チラリと横目で見たとき、
ふわりとスカートが揺れた。
その一瞬。
俺は確信した。
──この世界には、重力が存在する。
──この家には、ミレーヌがいる。
──そして、ミレーヌは、今、ノーパンである。
◆
「ふふっ、先生?」
ミレーヌが首を傾げる。
「そんなに、どうかしましたの?」
「な、ななななな、なんでもない!!」
俺は即座に全力で首を振った。
「ななななななななにも、問題はない!!!」
「良かったですの!」
ミレーヌは満面の笑顔で頷き、
そのまま、廊下をスキップするように去っていった。
そのたびにスカートがふわふわ揺れる。
視界の端に、チラリと、白い太もも。
「あばばばばばばばばばばば」
俺はその場に崩れ落ちた。
◆
後から聞いた話だが──
ミレーヌは最近、自国の文化を改めて学んでいたらしい。
「先生、日本はパンツ文化ですの!」
「でも、わたくしたちの国では──裸も自然な美ですの!」
そして、彼女なりに考えた末。
「ならば家の中では、自由に生きるべきですの!」
という結論に至ったらしい。
つまり。
家の中ではノーパン。
それが自由と自然の象徴。
それが、ミレーヌ理論だった。
◆
「兄ー、朝ごはんできたよー!」
碧純がキッチンから顔を出す。
ルナとすみれも、テーブルに座ってパンをかじっている。
まだ、誰も気づいていない。
ミレーヌが──
ノーパンで歩き回っていることに。
俺だけが、
この地獄の真実を知ってしまった。
◆
「ほら兄、早く座って!」
「う、うん……」
ぎこちなくテーブルに着く。
向かい側には、ミレーヌ。
無邪気にパンを頬張り、
スカートをひらひら揺らしながら、足をぶらぶらさせている。
(だめだ……)
(視界に入る……太ももが……絶対領域が……!)
(なぜこんな試練を……なぜこんな拷問を……!!!)
俺は手を震わせながら、トーストを口に運んだ。
味なんて、わからない。
ただ、脳内で警報が鳴り続けていた。
◆
「先生、今日もいい天気ですの!」
ミレーヌが笑顔で言う。
「こんな日は、お昼寝したくなりますの!」
「う、うん……そ、そうだね……」
「リビングでごろごろしながら、お昼寝しますの!」
無邪気に宣言し、
ミレーヌはソファに寝転んだ。
スカートが、また、ふわりと。
(ぐああああああああああああ!!!)
(な、なんで誰も気づかないんだぁぁぁぁ!!!)
(俺だけが! なぜ俺だけがこの地獄を知っているんだ!!)
◆
「兄? 大丈夫? 顔真っ赤だけど」
碧純が不思議そうに首を傾げる。
「べ、べべべべ、別にぃぃぃ!!!」
絶叫に近い声で誤魔化した。
「兄、熱でもあるんじゃない?」
「違うぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
ルナとすみれが苦笑する。
ミレーヌは、
無邪気にスカートをひらひら揺らしながら寝返りを打つ。
そのたびに──
俺の理性が、削り取られていった。
◆
(このままじゃ……)
(絶対……夜、やばい……!!)
すでに、確信していた。
こんな刺激を受けた夜──
絶対に、俺はまた──
(うわああああああああああ!!!)
俺は心の中で叫んだ。
青春は。
今日もまた、地獄だ。
【続く】
そこにいたのは──
真っ白なワンピース一枚を身にまとったミレーヌ。
スカート丈は短い。
ふわふわと揺れる軽やかな布。
そして──
その下に、何も、ない。
いや、正確に言えば。
パンツが、なかった。
「……」
「……」
目と目が合う。
ミレーヌはニコニコと微笑んだ。
「おはようございますの、先生!」
「お、おは……よ……」
声が裏返った。
◆
俺は慌てて視線をそらし、
壁のシミを眺めながら必死に心を落ち着けようとした。
(み、見てない……俺は何も見てない……)
(気のせいだ……! ワンピースの下にはきっと……!)
だが──
チラリと横目で見たとき、
ふわりとスカートが揺れた。
その一瞬。
俺は確信した。
──この世界には、重力が存在する。
──この家には、ミレーヌがいる。
──そして、ミレーヌは、今、ノーパンである。
◆
「ふふっ、先生?」
ミレーヌが首を傾げる。
「そんなに、どうかしましたの?」
「な、ななななな、なんでもない!!」
俺は即座に全力で首を振った。
「ななななななななにも、問題はない!!!」
「良かったですの!」
ミレーヌは満面の笑顔で頷き、
そのまま、廊下をスキップするように去っていった。
そのたびにスカートがふわふわ揺れる。
視界の端に、チラリと、白い太もも。
「あばばばばばばばばばばば」
俺はその場に崩れ落ちた。
◆
後から聞いた話だが──
ミレーヌは最近、自国の文化を改めて学んでいたらしい。
「先生、日本はパンツ文化ですの!」
「でも、わたくしたちの国では──裸も自然な美ですの!」
そして、彼女なりに考えた末。
「ならば家の中では、自由に生きるべきですの!」
という結論に至ったらしい。
つまり。
家の中ではノーパン。
それが自由と自然の象徴。
それが、ミレーヌ理論だった。
◆
「兄ー、朝ごはんできたよー!」
碧純がキッチンから顔を出す。
ルナとすみれも、テーブルに座ってパンをかじっている。
まだ、誰も気づいていない。
ミレーヌが──
ノーパンで歩き回っていることに。
俺だけが、
この地獄の真実を知ってしまった。
◆
「ほら兄、早く座って!」
「う、うん……」
ぎこちなくテーブルに着く。
向かい側には、ミレーヌ。
無邪気にパンを頬張り、
スカートをひらひら揺らしながら、足をぶらぶらさせている。
(だめだ……)
(視界に入る……太ももが……絶対領域が……!)
(なぜこんな試練を……なぜこんな拷問を……!!!)
俺は手を震わせながら、トーストを口に運んだ。
味なんて、わからない。
ただ、脳内で警報が鳴り続けていた。
◆
「先生、今日もいい天気ですの!」
ミレーヌが笑顔で言う。
「こんな日は、お昼寝したくなりますの!」
「う、うん……そ、そうだね……」
「リビングでごろごろしながら、お昼寝しますの!」
無邪気に宣言し、
ミレーヌはソファに寝転んだ。
スカートが、また、ふわりと。
(ぐああああああああああああ!!!)
(な、なんで誰も気づかないんだぁぁぁぁ!!!)
(俺だけが! なぜ俺だけがこの地獄を知っているんだ!!)
◆
「兄? 大丈夫? 顔真っ赤だけど」
碧純が不思議そうに首を傾げる。
「べ、べべべべ、別にぃぃぃ!!!」
絶叫に近い声で誤魔化した。
「兄、熱でもあるんじゃない?」
「違うぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
ルナとすみれが苦笑する。
ミレーヌは、
無邪気にスカートをひらひら揺らしながら寝返りを打つ。
そのたびに──
俺の理性が、削り取られていった。
◆
(このままじゃ……)
(絶対……夜、やばい……!!)
すでに、確信していた。
こんな刺激を受けた夜──
絶対に、俺はまた──
(うわああああああああああ!!!)
俺は心の中で叫んだ。
青春は。
今日もまた、地獄だ。
【続く】
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