同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『夢精監視プロジェクト発足!──“夜の青春”を科学する』

【第五七二話】 『交代制・添い寝当番スタート!』

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「よし……決定だな」
 ひよりは白いボードの前で、無表情ながらどこか誇らしげに言った。

 

 そこには、色分けされた“添い寝当番表”が、整然と書かれていた。

 

 月曜:碧純

 火曜:すみれ

 水曜:ルナ

 木曜:ひより

 金曜:ミレーヌ

 土曜:スペシャル交代戦

 日曜:ランダム“夜のお楽しみ”抽選会

 

「待って!? 最後の“お楽しみ抽選”って何!?」

 弘弥が震える手でホワイトボードを指さした。

 

「兄、大丈夫。ちゃんと健全に観察するだけだから」
 碧純が不自然な笑顔で微笑んだ。

 

「うんうん、“何もしない添い寝”だしね」
 ルナは何かを企んでいる笑みを浮かべている。

 

「……研究目的です。思春期の貴重なサンプルとして、ね」

 ひよりはあくまで科学的立場を強調する。

 

「弘弥くんの健康が第一ですから」
 すみれはそう言いながら、なぜかナイトキャップを準備していた。

 

「わたくし、寝るときは抱き枕がないと眠れないのですの。弘弥さま、よろしくお願いいたします」
 ミレーヌの“抱き枕=弘弥”発言に、弘弥の魂が半分飛んだ。

 

「おかしい……おかしいぞこれ……俺の部屋に、添い寝交代制……」
 壁に貼られたスケジュール表を見つめ、弘弥はひとりごちる。

 

「では、まずは初日──“月曜・碧純ナイト”からスタートです」
 ひよりの宣言で、抗えぬ運命の第一夜が幕を開けた。

 

 ◆

 

 夜──。
 弘弥の部屋は、すでに薄暗い灯りだけになっていた。

 

「……兄、入るね」
 ドアをノックした碧純が、パジャマ姿で入ってくる。

 弘弥はベッドの端に座ったまま、ぎこちなくうなずいた。

 

「別に変なことはしないよ。わたしだって、研究協力者だし」
 そう言いながら、彼女は弘弥の隣にぺたりと横になった。

 

(……ちょ、ちょっと距離近すぎない!?)

 

 弘弥の鼓動が早鐘のように鳴る。

 ベッドがふたり用じゃないため、身体が触れそうで触れない。
 それが逆に神経を刺激して仕方がない。

 

「兄、落ち着いて。ほら、深呼吸して──はい、すーっ、はーっ……」
 碧純が吐息混じりに声をかけてくる。

 

(無理!!逆に興奮する!!!)

 

「兄……あのね。夢精って、悪いことじゃないんだよ」

「でも……“誰かの夢で出た”とか言われたら、やっぱ気になるから……」

「だったら……実際に隣にいれば、安心するかなって……」

 

 弘弥の心臓は爆発寸前だった。

 

「ねえ兄、どんな夢見たい?」

「わたしが、出てくる夢……見てくれるかな?」

 

 その夜、弘弥は夢精した。
 ひよりのノートには、こう記された。

 

 月曜夜:碧純添い寝 → 発生:あり
 発生時刻:午前2:14
 表情:恍惚、笑顔、軽くうめき声あり
 コメント:「距離感が近く、布団の中で抱きつきがあった可能性」

 

 翌朝、弘弥は放心状態で布団に沈んでいた。

 

 ◆

 

「ふふふ、じゃあ今日は私の番だね」
 火曜日。すみれの優しげな微笑が、逆にプレッシャーを与える。

 

「本でも読みながら寝ましょう。ね、文学的な夢なら、夢精しないかもしれませんし」

 

 すみれは、寝間着が妙に色っぽかった。

 読書灯の下、優しい声で小説を読み聞かせられる──

 

『少年は、少女の温もりに包まれて……静かに眠りへと落ちていった──』

 

 弘弥「うっ……」

 夢精ログ:午前3:10

 

 ◆

 

 水曜:ルナ
「ねえ弘弥~、添い寝ってさ、やっぱぴったりしないと意味ないじゃん?」
「てか、夢でキスとかされたい?いいよ、ギャル的添い寝♥」

 →夢精ログ:午前1:49/発生理由:耳元での囁き+フトモモスライドによる刺激

 

 ◆

 

 木曜:ひより
「では検査から始めましょう」
「睡眠時心拍センサー、体温計、Tシャツのにおい検査……異常なし」

 →夢精ログ:午前3:33/特記事項:「観察されている緊張感が逆に興奮を助長した可能性」

 

 ◆

 

 金曜:ミレーヌ
「お兄さま……ナイトガウンの下は、なにも着ておりませんの……♥」

 →即夢精ログ/開始3分で昇天

 

 ◆

 

「お兄、これはデータじゃなくて、拷問だと思う……」
 弘弥は布団の上で、ガチ泣きしていた。

「じゃあ次は“土曜・ダブル添い寝”ね!」
「誰と寝るかは、今から抽選会しまーす!」

 

 ──青春は、まだ終わらない。

 

【つづく】

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