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『文化祭準備編──青春爆走、正妻戦争リターンズ!』
【第六一〇話】 『文化祭、開幕──青春は止まらない!』
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──朝、空は抜けるような青だった。
秋の風が校門を吹き抜け、色づき始めた銀杏の葉が、そっと舞う。
文化祭の幕が、上がる。
「よっしゃあああああああああ!!」
開門と同時に叫んだのは、もちろんルナ。
テンションはすでにマックス、ツインテールの先まで気合が漲っていた。
「今日だけは、マジで主役張るつもりでいくから!」
「……お祭りは好きだけど、主役とは限らないわ」
すみれが冷静に微笑みながらも、目元にはほんのり勝気な光。
「兄はわたしと一緒に動くべきです」
碧純は既に“連れ回す用”のスケジュール表を握っていた。
「すでに午後から“団子ブース→抹茶試飲→裏庭デート”が確保されてますから」
「ひより、今日は記録は控えるんだよね?」
「いえ、青春の記録はいつでも最優先です」
カメラとノートを両手に構えるひよりの眼差しは鋭かった。
「ですの!弘弥様、わたくしと一緒にワイン文化紹介ブースへ参りましょう!」
「ミレーヌ、それ日本の高校文化祭に絶対ないから」
「ちなみに配信枠、もう5枠埋まってるからね♥」
ことねがスマホで自撮りしながら言う。
「弘弥くんの初笑顔、初おやつ、初疲労顔まで実況予定です♥」
弘弥は、朝からもう既に疲れていた。
(俺の青春、どこで間違えたんだろう……)
だが、その顔には不思議と笑みが浮かんでいた。
◆
弘弥のクラスの出し物──「青春複合カフェ“オムニバース”」
文化、科学、喫茶、和室、メイド、VTuber、演劇など全部盛り企画。
詰め込みすぎて大事故になるかと思われていたが──
意外や意外。
「なんかよく分かんないけど面白い!」
「全部体験できるの、神じゃね?」
「いろんな趣味の友達と一緒に来れて助かる!」
というSNS投稿がバズり、学内でも口コミが広がり大盛況。
弘弥は、メイドチームの案内役から喫茶チームのレジ係、和室の茶道サポート、果てはVTuberステージでの“影ナレ”までこなす。
「弘弥くん、疲れてない?」
舞台袖でこっそりすみれがペットボトルを差し出してくれる。
「兄、次は団子係ね」
碧純が手綱を握り、誰にも渡さぬ決意を見せる。
「そのあと、アタシと縁日コーナーで射的勝負ね!」
ルナが嬉しそうに指を鳴らす。
「青春とは順番ではない……!」
ひよりが何かに開眼していた。
「これ……もしかして、恋愛デスマッチなのでは?」
ミレーヌはうっすら震えていた。
「これは全て、文化です」
ことねだけが記録を続けていた。
そして──
午後。
ステージ発表も終わり、喧騒のピークが過ぎた放課後。
弘弥は、昇降口近くのベンチで、ふぅっと一息ついていた。
制服の袖はまくり上げられ、額にかいた汗が秋風でひんやり冷える。
(やりきった……のかな)
そんな彼の前に、ヒロインたちが、全員集合した。
「弘弥くん」
「兄」
「今日、空いてる?」
「ちょっとだけでいいの」
「いえ、私が先です」
「……先着順ではなく、重要度で判断を」
──その問いは、当然一つ。
「ねぇ、弘弥。誰と一緒に文化祭、回るの?」
弘弥は目を見開いた。
今までの“好き”も“青春”も“ドタバタ”も──全部が、この瞬間に収束していくような錯覚。
(誰と……)
喉が鳴る。
鼓動が早まる。
「……」
彼の唇が、音を紡ごうとした、まさにその時。
「ねぇねぇ、真壁くんって、この文化祭の企画、全部回してるんだってー!」
「え、すごくね? 推しにしよーぜ!」
──一般女子生徒の集団が横から突撃してきた。
「わわわ、ちょ、ちょっと!弘弥くんはこっち!!」
碧純が慌てて彼の腕を掴む。
「文化祭、一緒に回るの、私が先ですの!!」
ミレーヌが髪を振り乱す。
「全員、落ち着いて……!まずは話し合いからっ!!」
すみれが間に割って入るが──もはや制御不能。
──青春は、止まらない。
恋も、嫉妬も、祭りの熱気も、ぜんぶごちゃまぜ。
それでも、弘弥は思う。
(……この時間が、ずっと続いたらいいのにな)
そして物語は次なる舞台──
『文化祭本番・選択の時』編へと続く。
──To be continued...
秋の風が校門を吹き抜け、色づき始めた銀杏の葉が、そっと舞う。
文化祭の幕が、上がる。
「よっしゃあああああああああ!!」
開門と同時に叫んだのは、もちろんルナ。
テンションはすでにマックス、ツインテールの先まで気合が漲っていた。
「今日だけは、マジで主役張るつもりでいくから!」
「……お祭りは好きだけど、主役とは限らないわ」
すみれが冷静に微笑みながらも、目元にはほんのり勝気な光。
「兄はわたしと一緒に動くべきです」
碧純は既に“連れ回す用”のスケジュール表を握っていた。
「すでに午後から“団子ブース→抹茶試飲→裏庭デート”が確保されてますから」
「ひより、今日は記録は控えるんだよね?」
「いえ、青春の記録はいつでも最優先です」
カメラとノートを両手に構えるひよりの眼差しは鋭かった。
「ですの!弘弥様、わたくしと一緒にワイン文化紹介ブースへ参りましょう!」
「ミレーヌ、それ日本の高校文化祭に絶対ないから」
「ちなみに配信枠、もう5枠埋まってるからね♥」
ことねがスマホで自撮りしながら言う。
「弘弥くんの初笑顔、初おやつ、初疲労顔まで実況予定です♥」
弘弥は、朝からもう既に疲れていた。
(俺の青春、どこで間違えたんだろう……)
だが、その顔には不思議と笑みが浮かんでいた。
◆
弘弥のクラスの出し物──「青春複合カフェ“オムニバース”」
文化、科学、喫茶、和室、メイド、VTuber、演劇など全部盛り企画。
詰め込みすぎて大事故になるかと思われていたが──
意外や意外。
「なんかよく分かんないけど面白い!」
「全部体験できるの、神じゃね?」
「いろんな趣味の友達と一緒に来れて助かる!」
というSNS投稿がバズり、学内でも口コミが広がり大盛況。
弘弥は、メイドチームの案内役から喫茶チームのレジ係、和室の茶道サポート、果てはVTuberステージでの“影ナレ”までこなす。
「弘弥くん、疲れてない?」
舞台袖でこっそりすみれがペットボトルを差し出してくれる。
「兄、次は団子係ね」
碧純が手綱を握り、誰にも渡さぬ決意を見せる。
「そのあと、アタシと縁日コーナーで射的勝負ね!」
ルナが嬉しそうに指を鳴らす。
「青春とは順番ではない……!」
ひよりが何かに開眼していた。
「これ……もしかして、恋愛デスマッチなのでは?」
ミレーヌはうっすら震えていた。
「これは全て、文化です」
ことねだけが記録を続けていた。
そして──
午後。
ステージ発表も終わり、喧騒のピークが過ぎた放課後。
弘弥は、昇降口近くのベンチで、ふぅっと一息ついていた。
制服の袖はまくり上げられ、額にかいた汗が秋風でひんやり冷える。
(やりきった……のかな)
そんな彼の前に、ヒロインたちが、全員集合した。
「弘弥くん」
「兄」
「今日、空いてる?」
「ちょっとだけでいいの」
「いえ、私が先です」
「……先着順ではなく、重要度で判断を」
──その問いは、当然一つ。
「ねぇ、弘弥。誰と一緒に文化祭、回るの?」
弘弥は目を見開いた。
今までの“好き”も“青春”も“ドタバタ”も──全部が、この瞬間に収束していくような錯覚。
(誰と……)
喉が鳴る。
鼓動が早まる。
「……」
彼の唇が、音を紡ごうとした、まさにその時。
「ねぇねぇ、真壁くんって、この文化祭の企画、全部回してるんだってー!」
「え、すごくね? 推しにしよーぜ!」
──一般女子生徒の集団が横から突撃してきた。
「わわわ、ちょ、ちょっと!弘弥くんはこっち!!」
碧純が慌てて彼の腕を掴む。
「文化祭、一緒に回るの、私が先ですの!!」
ミレーヌが髪を振り乱す。
「全員、落ち着いて……!まずは話し合いからっ!!」
すみれが間に割って入るが──もはや制御不能。
──青春は、止まらない。
恋も、嫉妬も、祭りの熱気も、ぜんぶごちゃまぜ。
それでも、弘弥は思う。
(……この時間が、ずっと続いたらいいのにな)
そして物語は次なる舞台──
『文化祭本番・選択の時』編へと続く。
──To be continued...
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