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6月/初夏/修学旅行 in 鴨川沿い/夜、カップルが等間隔に座っている土手
メンヘラ系 「……鴨川に流せたらいいのに、全部。あたしの好きも、期待も、ぜんぶ、重いって思うよね」
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タイトル:『……鴨川に流せたらいいのに、全部。あたしの好きも、期待も、ぜんぶ、重いって思うよね』
(6月/初夏/修学旅行 in 鴨川沿い/夜、カップルが等間隔に座っている土手)
(沈黙)
……ねぇ。
今、あたしの声、ちゃんと届いてる?
あたしだけ喋ってるみたいで、怖いな。
……まぁ、いつもそうか。あんたが黙ってて、あたしが喋ってて、勝手に安心して、勝手に落ち込んで。
(風の音)
ねぇ、鴨川って、静かだね。
こんなにも流れてるのに、誰にも何にも言わないで、ただ、流れてるだけ。
……いいな。
あたしも、そうなれたらよかったのに。
全部を黙って、流して、
言いたいことなんて一つも言わずに、
“普通の子”みたいな顔して、いられたら──
どんなに楽だっただろう。
(間)
でも、あたしってさ、
やっぱ重いのかな。
好きって気持ちが、普通の人より何倍も詰まってて、
それが腐りそうで怖くて、だから、こうして夜になると暴れ出すの。
ほんとは、昼間に言えればいいのにね。
「好き」って、もっと可愛く言えばよかった。
「一緒に歩きたい」って、笑って言えればよかった。
でも、怖いの。
断られるのも、引かれるのも、
あんたが、あたしのこと「うざい」って思ってるかもしれないのも。
……全部、怖い。
だから──夜にしか言えない。
こういう、誰も見てない時間じゃないと、
本音って、溢れないの。
(沈黙)
……ねぇ、あたし、変だよね。
修学旅行の夜に、川沿いで、ずっとあんたの背中見てた。
グループ違うのに、遠くから探して、
偶然を装って、この場所に来て、
それで「あっ、いたんだ?」とかって嘘ついて。
──あたしって、ほんと、やばいよね。
(間)
ううん、笑っていいよ。
こんな女、気持ち悪いって、思っていい。
だって、自分でもわかってる。
他の子みたいに、明るくないし、
うまく話せないし、
かわいげもないし、
なのに、期待しちゃうの。
あんたが優しいの、
自分にだけ特別って思いたくなるの。
(息を吸って)
──だからさ。
鴨川に、流せたらいいのに。
全部。
あたしの「好き」も、「期待」も、「涙」も。
ぜんぶ、重くて苦しいもの、
川の中に沈めてしまえたらいいのに。
(風の中の微かな笑い)
でもさ、
沈まないんだよね。
いくら「流したい」って思っても、
「好き」って気持ちって、しぶとく浮いてくる。
沈まないの。
どんなに深く沈めても、
夜になると浮いてくるの。
──それで、またあんたのこと、考えちゃう。
(沈黙)
……覚えてる?
一回だけ、あんたが笑ってくれた日。
国語の授業で、教科書落としたとき、あんたが拾ってくれて、
そのとき「気をつけてね」って言ってくれたの。
あの日、あたし──帰り道、泣いたんだよ?
なんでかって?
うれしくて、だよ。
あんたが、あたしを「見た」って思っただけで、
心臓がばくばくして、
泣くしかなかった。
(微笑)
あたしにとっては、それくらいすごいことだったの。
あんたにとっては、ただの親切でも。
でもさ、そんな些細なことに一喜一憂してるの、
あたしだけなんだって思ったら、
また泣けてきてさ。
……あたし、いつからこんななんだろ。
(沈黙)
ねぇ、お願い。
少しだけ、でいいから──
このまま、隣にいさせて。
喋らなくていい。
見なくてもいい。
手、繋がなくていい。
ただ、“ここ”にいさせて。
あたしの気持ちは、川に流すから。
でも、あんたの隣って場所だけは、
もう少しだけ、取っておきたいの。
(風の音)
……ねぇ、
ねぇ、○○くん。
「重い」って思ってるでしょ?
「こんな子、無理」って思ってるよね?
でもね、
本当は誰よりも、
“あんたじゃなきゃだめ”だったの。
こんな風に苦しくなったのも、
言えないまま溜め込んできたのも、
──全部、あんたが優しかったせいなんだから。
(声が震える)
なんでさ……
なんで、優しくするの。
なんで、名前呼ぶの。
なんで、「じゃあね」って、
明日も会えるみたいに言うの。
ねぇ、
あたし、ほんとに……
「明日も」なんて、
あると思ってないのに。
(深く息を吐く)
ごめんね、取り乱しちゃった。
でもさ、
あたし、もうどうすればいいかわかんないの。
好きって気持ちが、でかすぎて、
自分の中に収まりきらなくて、
誰かに押し付けたくなって、
でもそれが“迷惑”だって気づいてて──
それでも、止められないんだよ。
(涙を堪えた声)
だから、お願い。
せめてこの夜だけは、
あたしに“彼女ごっこ”させて。
そういう妄想、いっぱいしてきたから。
一緒に修学旅行来て、夜に川沿い歩いて、
なんとなく手が触れて、
恥ずかしそうに笑って、
「好きだよ」って言ってもらえて……
そういうの、ずっと夢だったの。
ねぇ、
あたしの妄想、
ちょっとだけでいいから、叶えてよ。
(間)
あぁ、だめだね。
やっぱり重いよね、あたし。
でも、あんたじゃなきゃ──
こんなに苦しくなんなかったのに。
(鴨川の流れる音、夜の虫の声)
……いつかさ、
全部、川に流せる日が来るのかな。
あたしの好きも、苦しさも、全部。
でもね、
今日だけは──流さない。
ぎゅって、抱えて帰る。
だってこれは、あたしが
あんたに向けて持ってた“唯一の宝物”だから。
……あんたの隣で、好きって思えたこの夜だけは、
流さない。
ずっと、抱えて生きてく。
重くてもいい。
腐ってもいい。
でも、忘れたくない。
──だから。
ありがとう。
あたしを、“鴨川の夜のひとつ”にしてくれて。
(風の音、フェードアウト)
(6月/初夏/修学旅行 in 鴨川沿い/夜、カップルが等間隔に座っている土手)
(沈黙)
……ねぇ。
今、あたしの声、ちゃんと届いてる?
あたしだけ喋ってるみたいで、怖いな。
……まぁ、いつもそうか。あんたが黙ってて、あたしが喋ってて、勝手に安心して、勝手に落ち込んで。
(風の音)
ねぇ、鴨川って、静かだね。
こんなにも流れてるのに、誰にも何にも言わないで、ただ、流れてるだけ。
……いいな。
あたしも、そうなれたらよかったのに。
全部を黙って、流して、
言いたいことなんて一つも言わずに、
“普通の子”みたいな顔して、いられたら──
どんなに楽だっただろう。
(間)
でも、あたしってさ、
やっぱ重いのかな。
好きって気持ちが、普通の人より何倍も詰まってて、
それが腐りそうで怖くて、だから、こうして夜になると暴れ出すの。
ほんとは、昼間に言えればいいのにね。
「好き」って、もっと可愛く言えばよかった。
「一緒に歩きたい」って、笑って言えればよかった。
でも、怖いの。
断られるのも、引かれるのも、
あんたが、あたしのこと「うざい」って思ってるかもしれないのも。
……全部、怖い。
だから──夜にしか言えない。
こういう、誰も見てない時間じゃないと、
本音って、溢れないの。
(沈黙)
……ねぇ、あたし、変だよね。
修学旅行の夜に、川沿いで、ずっとあんたの背中見てた。
グループ違うのに、遠くから探して、
偶然を装って、この場所に来て、
それで「あっ、いたんだ?」とかって嘘ついて。
──あたしって、ほんと、やばいよね。
(間)
ううん、笑っていいよ。
こんな女、気持ち悪いって、思っていい。
だって、自分でもわかってる。
他の子みたいに、明るくないし、
うまく話せないし、
かわいげもないし、
なのに、期待しちゃうの。
あんたが優しいの、
自分にだけ特別って思いたくなるの。
(息を吸って)
──だからさ。
鴨川に、流せたらいいのに。
全部。
あたしの「好き」も、「期待」も、「涙」も。
ぜんぶ、重くて苦しいもの、
川の中に沈めてしまえたらいいのに。
(風の中の微かな笑い)
でもさ、
沈まないんだよね。
いくら「流したい」って思っても、
「好き」って気持ちって、しぶとく浮いてくる。
沈まないの。
どんなに深く沈めても、
夜になると浮いてくるの。
──それで、またあんたのこと、考えちゃう。
(沈黙)
……覚えてる?
一回だけ、あんたが笑ってくれた日。
国語の授業で、教科書落としたとき、あんたが拾ってくれて、
そのとき「気をつけてね」って言ってくれたの。
あの日、あたし──帰り道、泣いたんだよ?
なんでかって?
うれしくて、だよ。
あんたが、あたしを「見た」って思っただけで、
心臓がばくばくして、
泣くしかなかった。
(微笑)
あたしにとっては、それくらいすごいことだったの。
あんたにとっては、ただの親切でも。
でもさ、そんな些細なことに一喜一憂してるの、
あたしだけなんだって思ったら、
また泣けてきてさ。
……あたし、いつからこんななんだろ。
(沈黙)
ねぇ、お願い。
少しだけ、でいいから──
このまま、隣にいさせて。
喋らなくていい。
見なくてもいい。
手、繋がなくていい。
ただ、“ここ”にいさせて。
あたしの気持ちは、川に流すから。
でも、あんたの隣って場所だけは、
もう少しだけ、取っておきたいの。
(風の音)
……ねぇ、
ねぇ、○○くん。
「重い」って思ってるでしょ?
「こんな子、無理」って思ってるよね?
でもね、
本当は誰よりも、
“あんたじゃなきゃだめ”だったの。
こんな風に苦しくなったのも、
言えないまま溜め込んできたのも、
──全部、あんたが優しかったせいなんだから。
(声が震える)
なんでさ……
なんで、優しくするの。
なんで、名前呼ぶの。
なんで、「じゃあね」って、
明日も会えるみたいに言うの。
ねぇ、
あたし、ほんとに……
「明日も」なんて、
あると思ってないのに。
(深く息を吐く)
ごめんね、取り乱しちゃった。
でもさ、
あたし、もうどうすればいいかわかんないの。
好きって気持ちが、でかすぎて、
自分の中に収まりきらなくて、
誰かに押し付けたくなって、
でもそれが“迷惑”だって気づいてて──
それでも、止められないんだよ。
(涙を堪えた声)
だから、お願い。
せめてこの夜だけは、
あたしに“彼女ごっこ”させて。
そういう妄想、いっぱいしてきたから。
一緒に修学旅行来て、夜に川沿い歩いて、
なんとなく手が触れて、
恥ずかしそうに笑って、
「好きだよ」って言ってもらえて……
そういうの、ずっと夢だったの。
ねぇ、
あたしの妄想、
ちょっとだけでいいから、叶えてよ。
(間)
あぁ、だめだね。
やっぱり重いよね、あたし。
でも、あんたじゃなきゃ──
こんなに苦しくなんなかったのに。
(鴨川の流れる音、夜の虫の声)
……いつかさ、
全部、川に流せる日が来るのかな。
あたしの好きも、苦しさも、全部。
でもね、
今日だけは──流さない。
ぎゅって、抱えて帰る。
だってこれは、あたしが
あんたに向けて持ってた“唯一の宝物”だから。
……あんたの隣で、好きって思えたこの夜だけは、
流さない。
ずっと、抱えて生きてく。
重くてもいい。
腐ってもいい。
でも、忘れたくない。
──だから。
ありがとう。
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