VTuber・シチュエーションボイス台本・VTuber配信使用無料

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
315 / 336
6月/初夏/修学旅行 in 鴨川沿い/夜、カップルが等間隔に座っている土手

メンヘラ系 「……鴨川に流せたらいいのに、全部。あたしの好きも、期待も、ぜんぶ、重いって思うよね」

しおりを挟む
 タイトル:『……鴨川に流せたらいいのに、全部。あたしの好きも、期待も、ぜんぶ、重いって思うよね』
(6月/初夏/修学旅行 in 鴨川沿い/夜、カップルが等間隔に座っている土手)

(沈黙)
 ……ねぇ。
 今、あたしの声、ちゃんと届いてる?
 あたしだけ喋ってるみたいで、怖いな。
 ……まぁ、いつもそうか。あんたが黙ってて、あたしが喋ってて、勝手に安心して、勝手に落ち込んで。

(風の音)

 ねぇ、鴨川って、静かだね。
 こんなにも流れてるのに、誰にも何にも言わないで、ただ、流れてるだけ。
 ……いいな。
 あたしも、そうなれたらよかったのに。
 全部を黙って、流して、
 言いたいことなんて一つも言わずに、
 “普通の子”みたいな顔して、いられたら──
 どんなに楽だっただろう。

(間)

 でも、あたしってさ、
 やっぱ重いのかな。
 好きって気持ちが、普通の人より何倍も詰まってて、
 それが腐りそうで怖くて、だから、こうして夜になると暴れ出すの。

 ほんとは、昼間に言えればいいのにね。
「好き」って、もっと可愛く言えばよかった。
「一緒に歩きたい」って、笑って言えればよかった。
 でも、怖いの。
 断られるのも、引かれるのも、
 あんたが、あたしのこと「うざい」って思ってるかもしれないのも。

 ……全部、怖い。
 だから──夜にしか言えない。
 こういう、誰も見てない時間じゃないと、
 本音って、溢れないの。

(沈黙)

 ……ねぇ、あたし、変だよね。
 修学旅行の夜に、川沿いで、ずっとあんたの背中見てた。
 グループ違うのに、遠くから探して、
 偶然を装って、この場所に来て、
 それで「あっ、いたんだ?」とかって嘘ついて。
 ──あたしって、ほんと、やばいよね。

(間)

 ううん、笑っていいよ。
 こんな女、気持ち悪いって、思っていい。
 だって、自分でもわかってる。
 他の子みたいに、明るくないし、
 うまく話せないし、
 かわいげもないし、
 なのに、期待しちゃうの。
 あんたが優しいの、
 自分にだけ特別って思いたくなるの。

(息を吸って)

 ──だからさ。
 鴨川に、流せたらいいのに。
 全部。
 あたしの「好き」も、「期待」も、「涙」も。
 ぜんぶ、重くて苦しいもの、
 川の中に沈めてしまえたらいいのに。

(風の中の微かな笑い)

 でもさ、
 沈まないんだよね。
 いくら「流したい」って思っても、
「好き」って気持ちって、しぶとく浮いてくる。
 沈まないの。
 どんなに深く沈めても、
 夜になると浮いてくるの。
 ──それで、またあんたのこと、考えちゃう。

(沈黙)

 ……覚えてる?
 一回だけ、あんたが笑ってくれた日。
 国語の授業で、教科書落としたとき、あんたが拾ってくれて、
 そのとき「気をつけてね」って言ってくれたの。

 あの日、あたし──帰り道、泣いたんだよ?
 なんでかって?
 うれしくて、だよ。
 あんたが、あたしを「見た」って思っただけで、
 心臓がばくばくして、
 泣くしかなかった。

(微笑)

 あたしにとっては、それくらいすごいことだったの。
 あんたにとっては、ただの親切でも。
 でもさ、そんな些細なことに一喜一憂してるの、
 あたしだけなんだって思ったら、
 また泣けてきてさ。
 ……あたし、いつからこんななんだろ。

(沈黙)

 ねぇ、お願い。
 少しだけ、でいいから──
 このまま、隣にいさせて。
 喋らなくていい。
 見なくてもいい。
 手、繋がなくていい。
 ただ、“ここ”にいさせて。

 あたしの気持ちは、川に流すから。
 でも、あんたの隣って場所だけは、
 もう少しだけ、取っておきたいの。

(風の音)

 ……ねぇ、
 ねぇ、○○くん。
「重い」って思ってるでしょ?
「こんな子、無理」って思ってるよね?
 でもね、
 本当は誰よりも、
 “あんたじゃなきゃだめ”だったの。

 こんな風に苦しくなったのも、
 言えないまま溜め込んできたのも、
 ──全部、あんたが優しかったせいなんだから。

(声が震える)

 なんでさ……
 なんで、優しくするの。
 なんで、名前呼ぶの。
 なんで、「じゃあね」って、
 明日も会えるみたいに言うの。

 ねぇ、
 あたし、ほんとに……
「明日も」なんて、
 あると思ってないのに。

(深く息を吐く)

 ごめんね、取り乱しちゃった。
 でもさ、
 あたし、もうどうすればいいかわかんないの。
 好きって気持ちが、でかすぎて、
 自分の中に収まりきらなくて、
 誰かに押し付けたくなって、
 でもそれが“迷惑”だって気づいてて──
 それでも、止められないんだよ。

(涙を堪えた声)

 だから、お願い。
 せめてこの夜だけは、
 あたしに“彼女ごっこ”させて。

 そういう妄想、いっぱいしてきたから。
 一緒に修学旅行来て、夜に川沿い歩いて、
 なんとなく手が触れて、
 恥ずかしそうに笑って、
「好きだよ」って言ってもらえて……

 そういうの、ずっと夢だったの。
 ねぇ、
 あたしの妄想、
 ちょっとだけでいいから、叶えてよ。

(間)

 あぁ、だめだね。
 やっぱり重いよね、あたし。
 でも、あんたじゃなきゃ──
 こんなに苦しくなんなかったのに。

(鴨川の流れる音、夜の虫の声)

 ……いつかさ、
 全部、川に流せる日が来るのかな。
 あたしの好きも、苦しさも、全部。

 でもね、
 今日だけは──流さない。
 ぎゅって、抱えて帰る。
 だってこれは、あたしが
 あんたに向けて持ってた“唯一の宝物”だから。

 ……あんたの隣で、好きって思えたこの夜だけは、
 流さない。
 ずっと、抱えて生きてく。
 重くてもいい。
 腐ってもいい。
 でも、忘れたくない。

 ──だから。
 ありがとう。
 あたしを、“鴨川の夜のひとつ”にしてくれて。

(風の音、フェードアウト)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

👨一人用声劇台本「寝落ち通話」

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。 続編「遊園地デート」もあり。 ジャンル:恋愛 所要時間:5分以内 男性一人用の声劇台本になります。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...