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《風俗を巡る星の海──北の精霊郷と、封じられた記憶編》
閑話『主人公、相変わらず風俗へ行く』
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──異世界に転生して、幾星霜。
ゴブリンを斬り、淫魔に翻弄され、精霊の封印を解いた俺・常盤流星(自称:煩悩勇者)は、今日もまた……
「はい、行ってきます」
そう言って、風俗に向かっていた。
「おい待てこら煩悩の権化!!」
「はい殴らないでくださいリリアさん!!今日は合法です!!」
「“合法”ってなんだ“合法”って!」
「いやマジで、これは必要な自己治療なんだって! 心身の均衡を保つための――」
「……その口で精霊の封印解いたとか言ってたの、今じゃもう恥ずかしいわ……!」
*
というわけで、今日やってきたのは、王都の片隅にある“隠れ家的癒しの館”。
その名も──《ねむねむ館 王都支店》。
木造のほっこりした内装、落ち着いた音楽、そして……
「いらっしゃいませ~♡ 本日は“甘やかし抱っこプラン”と“頭なでなでプラン”どちらにしますか?」
「両方でお願いします!」
「さすがでーす♡ では、流星さまを“心の赤ちゃん”にしちゃいますね♡」
「やったー!」
はい。今、俺はマッサージベッドの上で魔族の女の子に膝枕されながら、頭をなでなでされております。
最高。
「……最近、疲れてるんですかぁ~?」
「うん……精霊封印解いたり、村の香の記憶暴いたり、淫魔女王にロックオンされたりした……」
「えぇっ!? そ、それすごいお疲れコースじゃないですかっ!」
「でしょ? だから今日は癒されに来た」
「大丈夫ですよぉ、私がいっぱい、なでなでしてあげますからねぇ♡」
「……天使かよ……」
──※種族はインプ(小型淫魔)ですが。
*
約30分後──
「ふあぁ……もうダメだ……ととのった……」
「えへへ、お客様、とろけてますね~♡」
「これが……文明……っ……!」
「ちなみにこのあと“ねむねむ添い寝タイム”もありますけど……どうしますか?」
「もちろん予約しました!」
「さすが常連様ぁ♡」
──なお、この施設は**“風俗”と名はついているが、性的サービスは一切ない**。
あくまで「睡眠前に全力で癒される」ことに特化した、王都でも評価の高い“非接触癒し特化型風俗館”である。
だが。
「……なんでこうなるのよ……」
その帰り道。
路地裏に立っていたリリアに、またもや腕を引っ張られた。
「ちょ、なんで待ってたの?」
「べ、別にあんたが帰ってくるか心配だったとかじゃないからねっ!? ただ、万が一迷って帰れないとか困るからでっ……!」
「いやいや、めっちゃ分かりやすく“待ち伏せ”だったよね!? 影から覗いてたよね!?」
「だまれ! 風俗行ってた男のくせに、口だけは達者なんだから!」
「事実じゃねえか! 癒されてただけだぞ!」
「……癒されるなら、私が癒してやってもいいのに……」
「え?」
「な、なんでもないっ! ばかっ!!」
タッ、と走り去る彼女の背中が、なぜかほんのり赤かった。
*
その夜。
ギルドの仮宿にて。
「ふぅ……なんだかんだで、今日も最高だったな……」
横になって眠ろうとしたそのとき──
《ピロリン♪》
枕元の“魔導通話珠”が鳴った。
「ん? 誰だこんな時間に……」
『こちら《星辰娼館》です♡ “おかえりお兄ちゃんコース”のご予約、承りました~♡ 明日の20時、お待ちしておりますね~♡』
「……おい。誰だ勝手に俺の名前で予約したやつ」
部屋の外から、
「べ、別にあんたの癒しの質を試してやろうとか、そんなつもりじゃないんだからね!」
リリアの声。
「本当に、心配してるだけなんだから!! ちゃんと癒されてるかどうか……っ!」
──うん。
やっぱり、俺は風俗に行かないと死ぬらしい。
そしてたぶん──“行く理由”が、少しずつ変わってきているのかもしれない。
ゴブリンを斬り、淫魔に翻弄され、精霊の封印を解いた俺・常盤流星(自称:煩悩勇者)は、今日もまた……
「はい、行ってきます」
そう言って、風俗に向かっていた。
「おい待てこら煩悩の権化!!」
「はい殴らないでくださいリリアさん!!今日は合法です!!」
「“合法”ってなんだ“合法”って!」
「いやマジで、これは必要な自己治療なんだって! 心身の均衡を保つための――」
「……その口で精霊の封印解いたとか言ってたの、今じゃもう恥ずかしいわ……!」
*
というわけで、今日やってきたのは、王都の片隅にある“隠れ家的癒しの館”。
その名も──《ねむねむ館 王都支店》。
木造のほっこりした内装、落ち着いた音楽、そして……
「いらっしゃいませ~♡ 本日は“甘やかし抱っこプラン”と“頭なでなでプラン”どちらにしますか?」
「両方でお願いします!」
「さすがでーす♡ では、流星さまを“心の赤ちゃん”にしちゃいますね♡」
「やったー!」
はい。今、俺はマッサージベッドの上で魔族の女の子に膝枕されながら、頭をなでなでされております。
最高。
「……最近、疲れてるんですかぁ~?」
「うん……精霊封印解いたり、村の香の記憶暴いたり、淫魔女王にロックオンされたりした……」
「えぇっ!? そ、それすごいお疲れコースじゃないですかっ!」
「でしょ? だから今日は癒されに来た」
「大丈夫ですよぉ、私がいっぱい、なでなでしてあげますからねぇ♡」
「……天使かよ……」
──※種族はインプ(小型淫魔)ですが。
*
約30分後──
「ふあぁ……もうダメだ……ととのった……」
「えへへ、お客様、とろけてますね~♡」
「これが……文明……っ……!」
「ちなみにこのあと“ねむねむ添い寝タイム”もありますけど……どうしますか?」
「もちろん予約しました!」
「さすが常連様ぁ♡」
──なお、この施設は**“風俗”と名はついているが、性的サービスは一切ない**。
あくまで「睡眠前に全力で癒される」ことに特化した、王都でも評価の高い“非接触癒し特化型風俗館”である。
だが。
「……なんでこうなるのよ……」
その帰り道。
路地裏に立っていたリリアに、またもや腕を引っ張られた。
「ちょ、なんで待ってたの?」
「べ、別にあんたが帰ってくるか心配だったとかじゃないからねっ!? ただ、万が一迷って帰れないとか困るからでっ……!」
「いやいや、めっちゃ分かりやすく“待ち伏せ”だったよね!? 影から覗いてたよね!?」
「だまれ! 風俗行ってた男のくせに、口だけは達者なんだから!」
「事実じゃねえか! 癒されてただけだぞ!」
「……癒されるなら、私が癒してやってもいいのに……」
「え?」
「な、なんでもないっ! ばかっ!!」
タッ、と走り去る彼女の背中が、なぜかほんのり赤かった。
*
その夜。
ギルドの仮宿にて。
「ふぅ……なんだかんだで、今日も最高だったな……」
横になって眠ろうとしたそのとき──
《ピロリン♪》
枕元の“魔導通話珠”が鳴った。
「ん? 誰だこんな時間に……」
『こちら《星辰娼館》です♡ “おかえりお兄ちゃんコース”のご予約、承りました~♡ 明日の20時、お待ちしておりますね~♡』
「……おい。誰だ勝手に俺の名前で予約したやつ」
部屋の外から、
「べ、別にあんたの癒しの質を試してやろうとか、そんなつもりじゃないんだからね!」
リリアの声。
「本当に、心配してるだけなんだから!! ちゃんと癒されてるかどうか……っ!」
──うん。
やっぱり、俺は風俗に行かないと死ぬらしい。
そしてたぶん──“行く理由”が、少しずつ変わってきているのかもしれない。
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