『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第8章 推しの向こうにいるあなたへ──VTuber沼と恋と、妹の覚悟

第88話『陽葵、恋の“ギャル調査団”結成!』

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 放課後の教室。
 陽葵はタブレットを開いて、ノートにメモを取りまくっていた。

「男子が惚れる瞬間ランキング……第1位、“不意打ちの優しさ”──ふむふむ。
 第2位、“距離感バグる系接近”──これは得意♡
 第3位、“甘え声で名前を呼ばれる”……ッッしゃああああッ!!!」

 パァン!! と机を叩く。

「もう我慢できねぇ! あたしだって! ガチで恋、してんだよ!!」

 周囲の女子たちが振り向くが、陽葵は気にしない。

「……ってことで、恋のギャル調査団、発動!!」

 次の日の朝、利家が下駄箱で靴を履き替えていると──

「よっ♡ おっはよ、先輩」

「ん? 陽葵?」

 いつもどおりのギャルテンション──と思いきや。

「なーんか背筋、曲がってない?」

「えっ?」

 ドンッ!

 背後から、壁ドン。

 しかもフルボディで利家をロッカーに押しつける構図。

「ほら♡ こうすると、“壁ドンされてる男子”って雰囲気で萌えるっしょ?」

「いや、完全に俺が“襲われてる図”なんだけど!?!?!?」

 周囲の男子生徒が「陽葵先輩ヤバすぎww」と爆笑、
 女子生徒が「尊い……」とスマホで撮り始める。

「──あ、ちょっと調整が必要かも♡」

 昼休み。

 教室に戻った利家の机に、手のひらサイズのスイーツが乗っていた。

「これ、先輩の好きなやつっしょ? 期間限定の“紅茶シュークリーム”♡」

「まじで!? 俺これ超好き──」

「はい、“あーん♡”」

 スプーンを差し出され、咄嗟に目を逸らす利家。

「いや……クラスのど真ん中でそれやる!?」

「だってさぁ、ランキング第6位なんだよ!?
 “あーんされて惚れる”って、統計的にも効果あるらしいよ?」

「統計使うな!」

「いいから♡ ほら、あーん♡」

 ざわつく教室。

 紗季が紅茶を口に含みながら冷ややかに見つめ、
 英梨はペンを折りかけていた。

 放課後、職員室前。

 利家が掃除当番を終えて廊下を歩いていると──

「……先輩」

 耳元に、ふっと息がかかるような距離。

「明日の昼、あたしと弁当、食べてくんない?」

「ッッッッッ!!!」

 ──耳元で囁かれたその声に、利家の背中がビクンと跳ねる。

「おい、陽葵! 心臓止まるわ!!!」

「でもこれ、第3位の“耳打ち”テクだよ?
 “女の子の囁き声で意識する男子”ってめちゃくちゃ多いんだって♡」

「それはさぁ……陽葵の声がエロすぎんだよ……」

「えっ♡ それ、褒めてるぅ? 先輩、ついに意識し始めちゃった?」

「ちがっ……ていうか、ダメ! ちょっと! 俺一旦帰るから!!」

 真っ赤な顔でバッグを抱え、教室から全力逃走する利家。

 陽葵は腰に手を当てて、にかっと笑う。

「ふふん♡ あたしの恋、加速してきたねーっ!」

 その夜。

 陽葵は恋愛ノートをめくりながら、ペンを走らせる。

 《本日実行:
 ①背後壁ドン→力加減調整要。
 ②あーん攻撃→教室ではやや目立ちすぎ。
 ③耳打ち→効果絶大◎

 利家先輩の顔面赤面指数:測定不能♡》

「明日は“袖クイ”と“ジャージ貸し作戦”いってみるか~♡」

 誰にも止められない。
 恋するギャルは、全方位攻略モード突入中。

 ──つづく。
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