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戦争に向けて
今度こそ開戦
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「そうか。シュン王国では、動員令が国王名ででているということだな。」
ウスイは、外務大臣から報告を受けてため息をつきながら、答えた。しばらく、隣にいるツチイが心配して覗き込むくらい、苦痛を感じさせるものがあった。だが、
「我々も動員をかける。既に事前準備はしている。彼らより、早く完了できるはずだ。」
彼はいつもの表情で命じた。
「しかし、魔族との提携を廃棄すれば。」
大臣の一人が言いかけて、ハットしたように口をつぐんだ。
「お前は、私が、あの時王宮で宣言したことを覚えているか?」
ウスイが、睨みつけるように、だが、あくまでも穏やかな口調で言うと、彼らは項垂れた。
「二重王国を決裂させてしまったら、もはや我々に切るべきカードはなくなるのだ。タイカーン国を捨てたら、ふただび魔族をも敵としなければならないのだ。我々は、前門、後門から敵と対峙しなければならなくなる。前門の敵がいなくなる?いなくなるものか。彼らは、再洗礼派の国を潰したいだけなのだ。聖女のために支払って来た金、献上してきた産品がどれだけになるのか、かつて不満を散々言っていたのは誰なのだ?お前達は、再洗礼派の信徒達が隠れるように、悪事を働いているかのように、隠れて、細々と信仰を守らなければならない日々に戻したいのか?心のよりどころである教会を朽ちるままにしておきたいのか?それを甘受したいというのであれば、甘受すべきだというのであれば、堂々と国民の前ではっきりと言いたまえ。言えるようにしてやってもいい。意見とそれを言った君達の名前を一緒に公表してもよい。もちろん、私は君達の誠意を疑ってはいない。だが、都合のよい意見だけをその場で言って、責任を持たない、次には、或いは他の者の前では異なる意見を言うというのであれば、私の君達への信頼はなくなるだろう。タイカーン国との二重王国の下、多くはないが、提携、同盟を求めてきた魔族の国も出てきている。タイカーン国との二重王国は、敵を減らしているのだ。諸君らも、シユン王国側の味方を減らし、敵を増やす算段をしてくれ。」
と彼が言うと、反論は誰もしようとはしなかった。
リツシユン王国内での戦争、全面戦争に向けての準備が、全面的に進み始めた。
一方シユン王国を中心とした対リツシユン王国十字軍の準備は、順調に・・・は進んではいなかった。各国で足並みが乱れていた。遅いところもあったし、財政難で参加を見合わせたいという国が現れたり、財政支援を求める国も現れ、それを三位一体教会が財政支援を約束、或いは至急財政支援を実施して、足並みを整えようとしている状態だった。シユン王国内ですら各勢力の争い、対立が激しかったが、国どおしの主導権争いも酷かった。ニワタズミ帝国、三位一体教会の守護者を任ずる、地上の国の盟主を自任する帝国、多数の大小諸侯の連合国家で、国力が振るわない状態ではあるが、それ故に十字軍のリーダーとしての地位を暗に求めていた。それに対しては、かなり揉めに揉めたが、シユン王国王太子がニワタズミ帝国皇帝の前で、臣従の礼を取り、帝国の威信というかプライドを満足させる形の妥協案がまとまったことで解決した。
当の王太子は、
「こんなことで、国益が確保できるのであれば、屈辱など100でも200でも受けよう。」
と言ったらしい。
実力さえあれば、実力がつけば、このようなこと、いつでも覆すことは可能なのである。一時の自分の屈辱に応じたことでのデメリットなどはないのである、それが彼の考えなのである。
そのような彼により、何とかではあるが、遅れ気味とは言え着々と準備が進んでいた。その様子を辺境で耳にして、複雑な思いを抱いていたのは、第一王子カサギだった。度々大きなため息をついた。彼の2人妻が、そんな彼を慰めるように寄り添ってくれた。
ウスイは、外務大臣から報告を受けてため息をつきながら、答えた。しばらく、隣にいるツチイが心配して覗き込むくらい、苦痛を感じさせるものがあった。だが、
「我々も動員をかける。既に事前準備はしている。彼らより、早く完了できるはずだ。」
彼はいつもの表情で命じた。
「しかし、魔族との提携を廃棄すれば。」
大臣の一人が言いかけて、ハットしたように口をつぐんだ。
「お前は、私が、あの時王宮で宣言したことを覚えているか?」
ウスイが、睨みつけるように、だが、あくまでも穏やかな口調で言うと、彼らは項垂れた。
「二重王国を決裂させてしまったら、もはや我々に切るべきカードはなくなるのだ。タイカーン国を捨てたら、ふただび魔族をも敵としなければならないのだ。我々は、前門、後門から敵と対峙しなければならなくなる。前門の敵がいなくなる?いなくなるものか。彼らは、再洗礼派の国を潰したいだけなのだ。聖女のために支払って来た金、献上してきた産品がどれだけになるのか、かつて不満を散々言っていたのは誰なのだ?お前達は、再洗礼派の信徒達が隠れるように、悪事を働いているかのように、隠れて、細々と信仰を守らなければならない日々に戻したいのか?心のよりどころである教会を朽ちるままにしておきたいのか?それを甘受したいというのであれば、甘受すべきだというのであれば、堂々と国民の前ではっきりと言いたまえ。言えるようにしてやってもいい。意見とそれを言った君達の名前を一緒に公表してもよい。もちろん、私は君達の誠意を疑ってはいない。だが、都合のよい意見だけをその場で言って、責任を持たない、次には、或いは他の者の前では異なる意見を言うというのであれば、私の君達への信頼はなくなるだろう。タイカーン国との二重王国の下、多くはないが、提携、同盟を求めてきた魔族の国も出てきている。タイカーン国との二重王国は、敵を減らしているのだ。諸君らも、シユン王国側の味方を減らし、敵を増やす算段をしてくれ。」
と彼が言うと、反論は誰もしようとはしなかった。
リツシユン王国内での戦争、全面戦争に向けての準備が、全面的に進み始めた。
一方シユン王国を中心とした対リツシユン王国十字軍の準備は、順調に・・・は進んではいなかった。各国で足並みが乱れていた。遅いところもあったし、財政難で参加を見合わせたいという国が現れたり、財政支援を求める国も現れ、それを三位一体教会が財政支援を約束、或いは至急財政支援を実施して、足並みを整えようとしている状態だった。シユン王国内ですら各勢力の争い、対立が激しかったが、国どおしの主導権争いも酷かった。ニワタズミ帝国、三位一体教会の守護者を任ずる、地上の国の盟主を自任する帝国、多数の大小諸侯の連合国家で、国力が振るわない状態ではあるが、それ故に十字軍のリーダーとしての地位を暗に求めていた。それに対しては、かなり揉めに揉めたが、シユン王国王太子がニワタズミ帝国皇帝の前で、臣従の礼を取り、帝国の威信というかプライドを満足させる形の妥協案がまとまったことで解決した。
当の王太子は、
「こんなことで、国益が確保できるのであれば、屈辱など100でも200でも受けよう。」
と言ったらしい。
実力さえあれば、実力がつけば、このようなこと、いつでも覆すことは可能なのである。一時の自分の屈辱に応じたことでのデメリットなどはないのである、それが彼の考えなのである。
そのような彼により、何とかではあるが、遅れ気味とは言え着々と準備が進んでいた。その様子を辺境で耳にして、複雑な思いを抱いていたのは、第一王子カサギだった。度々大きなため息をついた。彼の2人妻が、そんな彼を慰めるように寄り添ってくれた。
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