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1.かなり斜め上から社長の告白(笑顔でお断り)
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彼――福士成彰は私の二つ上で、確か三十歳。目鼻立ちの整った顔をしていて、目元は涼しげでキリッとした眉毛で鼻は高く、身長も百八十センチはゆうに超えている。唇は厚く魅力的で、イケメン部類に入る。そういう顔立ちなのだから、馬鹿みたいな事をしないで欲しい。
顔が崩れても、私の責任じゃないし。知らないからね?
「冗談は顔だけになさって、企画書に目を通して早急に印鑑をお願い致します。本日は九時より朝礼、九時半より軽く全体ミーティング、十時より新商品開発プロジェクトの試作チェック、十一時より試作を元にした新商品の会議、十二時からは取引先マルヤママーケット社長様とご会食、午後一時からは・・・・」
「少し詰め込み過ぎではないか? 紗那とデートする時間が取れないじゃないか!」
「そもそもそのような予定は現時点で組み込まれておりませんし、今後組む予定も一切ございません。新商品開発で予定は目いっぱい、これでも少ないくらいだと思いますが」
淡々と告げた。
「時に紗那、彼氏はいるのか?」
話題をすり替えられた。
「セクハラで訴えますよ」
「男がいるかどうかくらい、聞いてもいいだろう。社長命令だ。答えろ」
「職権乱用で訴えますよ」
「そこを何とかっ。いる? いない? いる? いない?」
「ウ・ザ・い・で・す」(笑顔)
「よーし、いないんだな。良かった! 心置きなく猛アタックができる」
「カ・レ・シ・い・ま・す」(真顔)
本当はいないけれど、鬱陶しいから嘘を言った。
「あー、だめだめ。紗那は嘘をつけない性格だ。今、真顔で彼氏いるって言っただろう? それは真っ赤な嘘だ。俺の目は誤魔化せないぞ!」
うわー。本気でウザイわぁー。社長ってもっと寡黙で仕事熱心で、商品開発に命掛けている人だとばかり思っていた。こんなアホキャラだったんだぁ・・・・。
「うん、その俺を蔑んだ瞳、最高だ。お前と付き合うにはどうすればいい? 教えてくれ」
「つ・き・あ・い・ま・せ・ん」(笑顔)
「キター、その瞳! ゾクゾクする。あぁー、もう辛抱できなくてさぁ。占いで今日は大吉で、牡羊座のあなた、意中の人に告白すればチャンスが到来に加え、ラッキーナンバーは八。今、八時台だろう? 思い切って、好きだと言って良かったあああー!」
キモ。ただの変態じゃない。しかも占いって・・・・そんなの信じているの? 非科学的すぎる。
冷徹に見据えるとますます喜び付け上がるから、用事が無いならこれで失礼いたします、と無になって淡々と告げ、キッチリ頭を下げて社長室を後にした。
あんな変態の秘書を一年もやっていたなんて・・・・。本気で転職考えようかしら。インディードかビズリーチで秘書の仕事探してみようかな。
でも、それは出来ない。
何故なら私は、社長に恩があるからだ。
実際に恩があるのは、私のお父さんだけれどね。でも、一家ひっくるめて救ってもらったから、私だって恩がある事には変わりない。
顔が崩れても、私の責任じゃないし。知らないからね?
「冗談は顔だけになさって、企画書に目を通して早急に印鑑をお願い致します。本日は九時より朝礼、九時半より軽く全体ミーティング、十時より新商品開発プロジェクトの試作チェック、十一時より試作を元にした新商品の会議、十二時からは取引先マルヤママーケット社長様とご会食、午後一時からは・・・・」
「少し詰め込み過ぎではないか? 紗那とデートする時間が取れないじゃないか!」
「そもそもそのような予定は現時点で組み込まれておりませんし、今後組む予定も一切ございません。新商品開発で予定は目いっぱい、これでも少ないくらいだと思いますが」
淡々と告げた。
「時に紗那、彼氏はいるのか?」
話題をすり替えられた。
「セクハラで訴えますよ」
「男がいるかどうかくらい、聞いてもいいだろう。社長命令だ。答えろ」
「職権乱用で訴えますよ」
「そこを何とかっ。いる? いない? いる? いない?」
「ウ・ザ・い・で・す」(笑顔)
「よーし、いないんだな。良かった! 心置きなく猛アタックができる」
「カ・レ・シ・い・ま・す」(真顔)
本当はいないけれど、鬱陶しいから嘘を言った。
「あー、だめだめ。紗那は嘘をつけない性格だ。今、真顔で彼氏いるって言っただろう? それは真っ赤な嘘だ。俺の目は誤魔化せないぞ!」
うわー。本気でウザイわぁー。社長ってもっと寡黙で仕事熱心で、商品開発に命掛けている人だとばかり思っていた。こんなアホキャラだったんだぁ・・・・。
「うん、その俺を蔑んだ瞳、最高だ。お前と付き合うにはどうすればいい? 教えてくれ」
「つ・き・あ・い・ま・せ・ん」(笑顔)
「キター、その瞳! ゾクゾクする。あぁー、もう辛抱できなくてさぁ。占いで今日は大吉で、牡羊座のあなた、意中の人に告白すればチャンスが到来に加え、ラッキーナンバーは八。今、八時台だろう? 思い切って、好きだと言って良かったあああー!」
キモ。ただの変態じゃない。しかも占いって・・・・そんなの信じているの? 非科学的すぎる。
冷徹に見据えるとますます喜び付け上がるから、用事が無いならこれで失礼いたします、と無になって淡々と告げ、キッチリ頭を下げて社長室を後にした。
あんな変態の秘書を一年もやっていたなんて・・・・。本気で転職考えようかしら。インディードかビズリーチで秘書の仕事探してみようかな。
でも、それは出来ない。
何故なら私は、社長に恩があるからだ。
実際に恩があるのは、私のお父さんだけれどね。でも、一家ひっくるめて救ってもらったから、私だって恩がある事には変わりない。
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