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第十一章 懇ろな図りこと
暴露というネタばらし
しおりを挟む「薫の言った通りね」
「そうでしょう、彩香は絶対に気に入ると思ったのよ。ねぇ、私の読みは間違ってないでしょ!」
「この子は、年上にしか興味持てないと思ってたけど違うのか。えー、ヤダー。じゃあここの分は私が……」
「そりゃそうでしょう。彩香が彼を気に入ったことは確かなんだから。賭けは賭け~。さっ!遠慮なくゴチになります。透君、今日のオススメは?」
「はい、お姉様どうぞ」
そう言ってメニューを渡したその子は微笑んでいる。
(!!!)
俄に腹立たしさを覚えた。
(何故こんなに苛立つの?二人のいつもの冗談。笑って許せる範疇じゃない?でも……これは。許せない!)
「なんなんですか賭けって。一緒になって私を……騙せて楽しいですか!」
抑えられず私は語尾をキツくした。
目を丸くしている二人。 たじろいを見せる男の子。
(苛立たせるのは彼だ)
彼がこうなると知っていて、片棒を担いで、そして演技した。 それが私にどうしようもなく許せない気分にさせる。
(私を魅つめた本意はそれだった。軽く見られた)
胸がザワつく。
悲しくなった。
裏切られたようで惨めに思えて。
あの瞳にある優しさに別意は無かったかと、今以て期待してしまう揺れ。
縋ってしまいそうな脆さ……。
それを彼にけどられたくなくて、私は怒りを露わにした。
「御二方にお怒らないで下さい。俺が安川さんにお願いしたことです」
ふたりが視線を合わせ頷きあう。
「いやいや、“ 賭け ”てのはウチらの話で。透君は関係無いの。普通に誘っても彩っち来なかったじゃん?男を紹介するよー、なんてバカ正直に話すなんて有り得んしぃ。吉冨も巻き込んで、逃げられない様に外堀埋めちゃったのさ」
「そうよ。巻き込まれついでだから、私が選考基準をMAXにして面接してね。彼はそれをパス出来たからOK出した。そこは私が責任持てるよ?“ 賭け ”はオマケってか、アレよアレ。言葉のアヤ。これでも納得いかない?」
こう言ったあと、吉冨さんが窘める様な目で私を見ている。
「……私、冷静さに欠けていた様ですね」
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