【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明

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冒険者時代

第48話 ゴーレム家紋

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 男爵邸を後にして街灯が辺りを照らす夜道を歩きながらこの後どうするか考えていた。

 赤子を抱いてどこに向かうべきか?
 時間は日付も変わっているであろう深夜帯で宿に行って侯爵に元男爵の赤子を預けるか?  
 深夜に押し掛けるのは迷惑だよな、どうするか考えていた。

『ナット、シスターミランダに預ければ?』
『それも一つの手段なんだけど、こんな時間に行くのは非常識だろ?』
『ん~皆寝てるか~』

 孤児院の中を見たのか?

『孤児院に行くにしても、どこかで夜を明かしてからだな』
『そっか~』

 街の外に出るかな?
 縮地を使えば簡単に城壁の外に出れるだろうし、外でキャンプするか。

『ヒスイ街の近くで野営できそうなところない?』
『街の外に行くの?』
『ナットの姿で赤子抱いて泊れるところなさそうだし、かと言って直人の姿で赤子もな……』
『親子に見られそう~』

 ないな、それは気分的に嫌だな、生前も今も未婚なのに!

『外で行けそうなところは?』
『ん~アヴェナラとポーコスへの分かれ道にちょうどいい広場があるよ』
『それって近いの?』
『普通の人が歩いて2日?』
『遠いわ!』
『贅沢だなぁ、後は城壁の周りとか門限に遅れて街に入れなかった人達が野営しているよ。』

 むしろ先にそっちを提案すべきだと思うのだが、人が居る所ってのも嫌だな、仕方ないポーコスへの分かれ道の広場にいくか。

 縮地を使用して城壁を飛び越え、ヒスイが言っていたポーコスへの分かれ道にある広場を目指して走り始めた。

 しばらくすると周囲が明るくなってきた気がする。

『もうすぐ夜明け?』
『まさか、なんで?』
『周囲が明るくなってる気がするんだよね』
『そりゃ夜目ってスキルを取得したからじゃない?』

 そんなスキルがあるのか、ってか男爵邸に潜入した際に隠密を身についてないのかな?

『隠密って身についてないの?』
『身についてるよ、常時使っておけばスキルレベルが上がるよ』

 隠密常時使用か、デメリット無いだろうし意識して使っていよう。

 どれだけ走っただろうか、もうじき夜が明けそうなくらい明るくなってきた頃前方からかすかだけど水の流れる音が聞こえてきた。

『もうすぐ?』
『うん、もうすぐ』

 夜を明かすために街の外に出たのに、もう夜明けなんだけど、このままポーコス目指すか?

『ここからポーコスってどれくらいかかる?』
『今のペースなら朝方に着くんじゃない?』

 到着は朝方か、直人の姿になって赤子を五歳児にして自分の子供服を着せて奴隷として売るか?

 とりあえず、秋津直人として生前の姿にチェンジし、元男爵の赤子も5歳児にし自分が来ていた服を着せ背中に負ぶり再びポーコスに向かって走り始めた。

 日もすっかり登ったころようやくポーコスの城壁と思われるものが見えてきた。

『ポーコス?』
『うん、悪魔憑きが1人居る、ついでに精霊使いも数名いるね~』
『まぁ接触しそうなら教えてよ』
『OK』

 市門をくぐるときに門番から身分証明を提示するように言われ。冒険者カードをだし、子どもは身分証明する事が無い事を伝えたうえで侯爵から預かった小さなゴツゴツの人型の何かが付いたアクセサリーをだした。

「これは……、アヴェナラ侯爵様の……」
「侯爵様から預かってるのですが」
「おまえさんこの紋章の意味を知らんのか?」

 身元保証するって事位しか知らないよな……、説明をしてたっけ?

「その顔みると、何も知らんのか、そのゴーレムはアヴェナラ侯爵家の家紋だ、その紋章を使うということは侯爵家の意という意味があるんだよ」

 この人型はゴーレムだったのか……
 そういう意味があるんだったらそりゃ奴隷商との交渉もすぐ終わるだろうよ……

「そうなんですね、教えてくれてありがとうございます。」
「ということは、その子はただの子じゃないんだな?」

 門番がそこまで突っ込んでいいのかな?

「罪人です。奴隷商の場所を教えてもらっても?」
「なるほど、親殺しでもしたか、ここは南門だ、中央に噴水広場がある、噴水広場から大通りを北側に向かい左手にランベル奴隷商がある、この街ではそこにしかないぞ」

 門番は子どもの事を特に気に掛けることもなく、ジェスチャーを交えて奴隷商の場所を教えてくれた。親殺しが重罪って事だろうか?

「ありがとうございます。」
「いや、気を付けてな」

 市門を後にし、街の中に入った。さて教えてもらったランベル奴隷商に向かうか。

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