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人の姿になったユキ
第84話 ユキの居ない夜
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販売会という名の飲み会もお開きの時間になった。
「ユキちゃん、片付け手伝ってちょうだい」
ナンニャさんが膝枕を堪能しているユキを呼んだ。
「は~い」
っばっと起き上がりナンニャさんと一緒に皿洗い等片付けを始めた。
「先生はもう戻っていいよ」
「あ~それじゃ、おやすみなさい」
「「「「おやすみ~」」」」
周囲のドワーフ達が返してくれた。
フロアを出て3階の自宅に向かいながら、いつもは抱っこしてユキと上がっていくが、今日はそれが無くてなんか足りない感じがする。
玄関を開け中にはいり、風呂の準備、入浴したりして寝る前のくつろぎ時間。
やっぱり物足りない、いつもならユキを洗ったり入浴後もユキの毛を乾かすためにドライヤーで乾かしたり、くつろぎ時間も本読みながら膝の上で丸くなってたりするユキを撫でる時間なのに、それらがないのはなんか寂しいし物足りない。
「ん~ユキに依存しちゃってるな~」
ぽつりと独り言が洩れる。
この世界に来てからもう7年だ、いつも一緒だったユキが居ないと物足りない&寂しい。
居なくなってから気づく有難みというのが十分理解できた。
「寝よ寝よ」
寝室に移動して思った。
円形の浅い籠の中にふかふかタオルを乗せたユキ用のベッドが目についた。
「いらなくなっちゃったな」
ふと、ユキと初めて会った日の事を思い出した。
この世界に初めて来た日、鳴き声のする方に行くと足に1本の矢がささって動けなくなっているユキ、それを見て助けようとしたが左手を噛みつかれながら治療した事を、あの頃は体長も20㎝そこ等の子狐だったな、あの時は今と違う意味でかわいかった。
今後ユキの寝床どうするかな、ユキの事だから一緒に寝る!ってなりそうだけど、このベッドじゃ狭い、マットレスだけにして2つ並べるか?
ユキが帰って来てから考えればいいか、布団に入り目を閉じる。
どれだけ寝てたか分からないが、ふと階段の方からバタバタバタとだれか上がってくる音が聞こえた。
幻聴かなと思いそのまま寝ようとすると今度は玄関のほうからガチャガチャと音がした。
だれだ?こんな時間に玄関あけようとするような知り合いはいないはず、ユキは鍵なんて持ってないからそもそも建物の中に入る事すらできないはずだが、ジルさんから借りたら入れるか?
とりあえず玄関へ行こうとしたら玄関が開いた音がした。
ぇ?ここの鍵って自分しか持ってないはずだけど……、
「ただいま~」
ユキの声だな。バタバタバタとリビングを走りバタン!という音共に寝室の入口が開いた。
そこにはユキが居た。
「誠明~誠明が居ないと寂しくて寝れないから帰ってきた!」
寂しいとか思うのはお互い様か。
「おかえり」
「ただいま~」
といって飛びついてくる、ほのかにいい香りがする。お風呂は入ったのかな?
ただ、まだ酒臭いな酔っ払い状態か。
「ユキお風呂入ったの?」
「うんナンニャんとこで入ってきた」
「そっか、んじゃパジャマというか寝る時用の服買ったんだよね?」
「うん~ナンニャんとこにおいてきちゃった」
ん~、着替えてほしいんだけどな、スウェットの上下でいいか、下は後ろに切れ込みを入れれば尻尾だせるだろう。ちゃちゃっと加工してユキに渡した。
「ユキ寝るときはこれに着替えてね、今度は自分で着替えられるよね?」
「だいじょうぶ」
「んじゃ外出てるから着替え終わったら教えて」
「うん~」
大丈夫かなと思いつつ寝室からリビングのソファーの上に寝そべって合図が来るのを待っていたが、待てど待てど着替え終わったって合図がこない。
寝室の扉をノックして。
「ユキ大丈夫?」
と声かけるも反応がない、そーっと扉を開けると、ユキは着替えをそこらへんに脱ぎ散らかしたまま布団の中で寝ていた。
ベッドに寄り、少しだけユキを撫でながら、このあとどうするかなと考えていた。同じ部屋で寝るってなると悶々として寝れない自信がある。
リビングのソファーで寝るか、仕方なくソファーに戻りアイテムボックスから羽毛布団と毛布を取り出し、ソファーで寝ることにした。
ユキが側に居るのと居ないのとでは本当に気分が変わる。さっきまでは寂しいとか物足りないとか思っていたけど。今はそんな気持ちはなく、ユキが側に居るっていう安心感があった。
◇◇◇◇◇◇
未明
「居ない!」
というユキの叫び声で目が覚めた。
ソファーから見える窓の外を見るとまだ真っ暗、アイテムボックスからスマホを取り出し時間を見ると午前4時前、後3時間は寝れるなと思い再び目を閉じて寝ようとすると、バタンと扉が勢いよく開く音と直後に、お腹の上に何かが乗ってる重さを感じた。
「ユキ重い……」
「何でこっちで寝てんのさ~」
酔いは冷めてる感じだな。
「大人の事情ってやつだよ」
「何その大人の事情って~うちも大人だよ!」
見た感じ女子高生位に見えるんだがな、1次成長期が終わったら15歳位でって言ってた記憶があるから、まぁそれ位だよな。
「ユキそういう事を学ぶためにナンニャさん所に行ったんじゃ……?」
「ん~?そうなの?」
「ちがうの?とりあえずまだ早いから寝かせて……」
「んじゃ、うちもここで寝る!」
ソファーベッドじゃなくただのソファーだ、寝れるスペースなんて1人分しかない。
「いやいやいや狭くて寝れないだろ」
「大丈夫!」
そう言って自分の布団を剥いで布団を羽織って上に乗ってきた。しかも向き合うような状態のせいでおなかから胸のあたりに柔らかいものが当たってる。
「ユキ重い、寝れない……」
「うちは大丈夫」
「いや、ユキは大丈夫でもこっちが寝れないっての」
「じゃあ一緒に向こうで寝よう!」
結局そうなるのか、諦めて寝室のベッドに移動し、ユキに背を向けて寝なおした。
「何でそっち向くのさ~」
「こっち向いて寝たい気分だから、そのうち寝返りでそっち向くと思うからとりあえずは今は寝かせて……」
「むぅ~」
ユキの不満そうな声を聞き、目を閉じた。
「ユキちゃん、片付け手伝ってちょうだい」
ナンニャさんが膝枕を堪能しているユキを呼んだ。
「は~い」
っばっと起き上がりナンニャさんと一緒に皿洗い等片付けを始めた。
「先生はもう戻っていいよ」
「あ~それじゃ、おやすみなさい」
「「「「おやすみ~」」」」
周囲のドワーフ達が返してくれた。
フロアを出て3階の自宅に向かいながら、いつもは抱っこしてユキと上がっていくが、今日はそれが無くてなんか足りない感じがする。
玄関を開け中にはいり、風呂の準備、入浴したりして寝る前のくつろぎ時間。
やっぱり物足りない、いつもならユキを洗ったり入浴後もユキの毛を乾かすためにドライヤーで乾かしたり、くつろぎ時間も本読みながら膝の上で丸くなってたりするユキを撫でる時間なのに、それらがないのはなんか寂しいし物足りない。
「ん~ユキに依存しちゃってるな~」
ぽつりと独り言が洩れる。
この世界に来てからもう7年だ、いつも一緒だったユキが居ないと物足りない&寂しい。
居なくなってから気づく有難みというのが十分理解できた。
「寝よ寝よ」
寝室に移動して思った。
円形の浅い籠の中にふかふかタオルを乗せたユキ用のベッドが目についた。
「いらなくなっちゃったな」
ふと、ユキと初めて会った日の事を思い出した。
この世界に初めて来た日、鳴き声のする方に行くと足に1本の矢がささって動けなくなっているユキ、それを見て助けようとしたが左手を噛みつかれながら治療した事を、あの頃は体長も20㎝そこ等の子狐だったな、あの時は今と違う意味でかわいかった。
今後ユキの寝床どうするかな、ユキの事だから一緒に寝る!ってなりそうだけど、このベッドじゃ狭い、マットレスだけにして2つ並べるか?
ユキが帰って来てから考えればいいか、布団に入り目を閉じる。
どれだけ寝てたか分からないが、ふと階段の方からバタバタバタとだれか上がってくる音が聞こえた。
幻聴かなと思いそのまま寝ようとすると今度は玄関のほうからガチャガチャと音がした。
だれだ?こんな時間に玄関あけようとするような知り合いはいないはず、ユキは鍵なんて持ってないからそもそも建物の中に入る事すらできないはずだが、ジルさんから借りたら入れるか?
とりあえず玄関へ行こうとしたら玄関が開いた音がした。
ぇ?ここの鍵って自分しか持ってないはずだけど……、
「ただいま~」
ユキの声だな。バタバタバタとリビングを走りバタン!という音共に寝室の入口が開いた。
そこにはユキが居た。
「誠明~誠明が居ないと寂しくて寝れないから帰ってきた!」
寂しいとか思うのはお互い様か。
「おかえり」
「ただいま~」
といって飛びついてくる、ほのかにいい香りがする。お風呂は入ったのかな?
ただ、まだ酒臭いな酔っ払い状態か。
「ユキお風呂入ったの?」
「うんナンニャんとこで入ってきた」
「そっか、んじゃパジャマというか寝る時用の服買ったんだよね?」
「うん~ナンニャんとこにおいてきちゃった」
ん~、着替えてほしいんだけどな、スウェットの上下でいいか、下は後ろに切れ込みを入れれば尻尾だせるだろう。ちゃちゃっと加工してユキに渡した。
「ユキ寝るときはこれに着替えてね、今度は自分で着替えられるよね?」
「だいじょうぶ」
「んじゃ外出てるから着替え終わったら教えて」
「うん~」
大丈夫かなと思いつつ寝室からリビングのソファーの上に寝そべって合図が来るのを待っていたが、待てど待てど着替え終わったって合図がこない。
寝室の扉をノックして。
「ユキ大丈夫?」
と声かけるも反応がない、そーっと扉を開けると、ユキは着替えをそこらへんに脱ぎ散らかしたまま布団の中で寝ていた。
ベッドに寄り、少しだけユキを撫でながら、このあとどうするかなと考えていた。同じ部屋で寝るってなると悶々として寝れない自信がある。
リビングのソファーで寝るか、仕方なくソファーに戻りアイテムボックスから羽毛布団と毛布を取り出し、ソファーで寝ることにした。
ユキが側に居るのと居ないのとでは本当に気分が変わる。さっきまでは寂しいとか物足りないとか思っていたけど。今はそんな気持ちはなく、ユキが側に居るっていう安心感があった。
◇◇◇◇◇◇
未明
「居ない!」
というユキの叫び声で目が覚めた。
ソファーから見える窓の外を見るとまだ真っ暗、アイテムボックスからスマホを取り出し時間を見ると午前4時前、後3時間は寝れるなと思い再び目を閉じて寝ようとすると、バタンと扉が勢いよく開く音と直後に、お腹の上に何かが乗ってる重さを感じた。
「ユキ重い……」
「何でこっちで寝てんのさ~」
酔いは冷めてる感じだな。
「大人の事情ってやつだよ」
「何その大人の事情って~うちも大人だよ!」
見た感じ女子高生位に見えるんだがな、1次成長期が終わったら15歳位でって言ってた記憶があるから、まぁそれ位だよな。
「ユキそういう事を学ぶためにナンニャさん所に行ったんじゃ……?」
「ん~?そうなの?」
「ちがうの?とりあえずまだ早いから寝かせて……」
「んじゃ、うちもここで寝る!」
ソファーベッドじゃなくただのソファーだ、寝れるスペースなんて1人分しかない。
「いやいやいや狭くて寝れないだろ」
「大丈夫!」
そう言って自分の布団を剥いで布団を羽織って上に乗ってきた。しかも向き合うような状態のせいでおなかから胸のあたりに柔らかいものが当たってる。
「ユキ重い、寝れない……」
「うちは大丈夫」
「いや、ユキは大丈夫でもこっちが寝れないっての」
「じゃあ一緒に向こうで寝よう!」
結局そうなるのか、諦めて寝室のベッドに移動し、ユキに背を向けて寝なおした。
「何でそっち向くのさ~」
「こっち向いて寝たい気分だから、そのうち寝返りでそっち向くと思うからとりあえずは今は寝かせて……」
「むぅ~」
ユキの不満そうな声を聞き、目を閉じた。
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