【R18】祖父の家を譲り受けたらイケオジ吸血鬼も一緒についてきました

チーズたると

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 そして、夜。
 梨花は自室のベッドの上にいた。

 今朝にあんなやり取りがあったというのに、その後のレオンの態度はいたって普通であった。昼食も夕食も梨花に用意し――しかも美味――さらには風呂の準備までしてくれたのである。

 これでクチも性格もよければ文句なしなのだが、生憎とクチも性格も悪いために評価としてはプラスマイナスゼロだ。

 いや、今夜の出来事次第では、マイナスに振り切る可能性だってある。
 いったい、どんなふうに――抱かれるのだろう。

 梨花が嫌がっても痛がっても、あの意地の悪い笑みをうかべながら酷くするのだろうか。もっとも、そんなことになれば流石に祖父に言いつけるけれども。

 だが、相手はヴァンパイアだ。これが人間ならば、乱暴にされたなら警察へ駆け込むことも可能だが、ヴァンパイアが相手となればそうもいかない。
 考えれば考えるほど鬱になって、梨花は深いため息をついた。

「……いっそのこと事故ってことで、窓から飛び降りようかな……。ここ三階だし……事故なら、おじいちゃんも許してくれるはず――」
「そこまで私とするのが嫌なのか?」

 不意に、背後から声がした。
 振り返ると、いつからそこにいたのか、レオンが足と腕を組んでベッドに座っている。
 梨花は声をあげた。

「わああああ!」
「うるさい。近所迷惑になるだろう」

 近所の迷惑を考える前に、梨花の迷惑を考えてほしいものである。

「ノックくらいしてください!」
「したとも。しても反応がなかったから、こうして入ってきたんだろう」

「だったら、私が気付くまでノックしてください! 百回でも二百回でもドアを叩き続けてください!」
「私はキツツキじゃないんだ。狂ったように扉を叩く趣味などない」

「なら、呼び掛けてください! 私が気付くまで!」
「なんと呼べばいいんだ。『私だぞ。さぁ、早くドアを開けろ!』とでも言えばいいのかね? 呼び掛けて、君が本当にドアを開けるか?」

「それはなんとも言えませんが」
「そうだろう。だったら、勝手に入るしかあるまい」

 彼は偉そうに梨花を見下ろす。無駄に身長も高く、無駄に体格もいいので、こうすると無駄に威圧感があった。
 反論できずに黙った梨花を、レオンが一笑する。

「……で、心の準備は済んだかね?」

 相手の張り倒したい気持ちを抑えながら、梨花は頷いた。

「はい、もうこの世に思い残すことはなにもありません」
「なぜ死刑宣告を受けた罪人のような顔をするんだ」

「心境的には似たようなものなので」
「私も長く生きている自覚はあるが、君ほど失礼な女性に出会ったのは生まれて初めてだぞ」

「私もレオンさんほど失礼な男性に出会ったのは、初めてです」
「それは光栄だ」

「無駄に顔がいいから、これまで許されてきたのだとしか思えません」
「ほう、顔がいいと君から認識されていたとは。ついでだから返すが、君も容姿はなかなか悪くはないぞ」

「へっ、どうも」
「まぁ、その性格ですべて台無しだがな」

「それはお互い様かと」
「そうか。では我々は似た者同士ということだな。不本意にも」
「はい、不本意にも」

 はっはっは――と、ふたりは感情の籠っていない薄っぺらな笑いを交わした。
 目を眇めたレオンが、意地悪な感情を瞳に宿す。

「……しかし、本当に君ほど失礼な女性は初めてだ。どんなふうに啼いてくれるのか、今から楽しみだよ」

 言って、彼は指を鳴らした。
 パチンという音と同時に部屋の明かりが落ち、ベッドサイドの照明が小さな光を灯す。
 急に訪れた妖しい雰囲気に、梨花は反射的に強張った。

「緊張することはない。すべてを私に委ねていれば、それでいい」

 告げたレオンが、シーツに梨花を押し倒す。抵抗する間もなかった。

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