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しおりを挟む頭上で、レオンが笑みをうかべている。ただそれだけで、梨花は己の体温が上昇していくのを感じた。
彼に顎を掴まれ、やや強引に口付けられる。梨花は顔をそむけようとしたけれども、顎を固定されているためにそれは叶わなかった。
それどころか、梨花の抵抗を牽制するふうに、レオンが舌をねじ込んでくる。
熱い舌が、梨花の口内を蹂躙しようと蠢いた。
学生の頃に交際していた恋人と触れるだけのキスをしたことはあるが、こんなキスをしたのは生まれて初めてだった。
己のくちの中に、いやらしく動くものがある。それだけで、恥ずかしくてたまらない気持ちになった。
梨花を嘲笑うように、レオンの舌が歯列を這い、梨花の舌を絡め取る。
他人の粘膜が擦れる初めての感覚に、背中がぞわぞわと甘く痺れた。
今までに感じたことのない感覚が、迫ってきている。
それが梨花には不安で、恐ろしかった。
唾液の擦れる音が、薄暗い部屋に響く。その音のいやらしさが、また梨花の体温を上げた。
この淫らな音が自分から漏れているなんて、信じられない。
卑猥な水音は、まるで梨花を耳から犯そうとしているふうだった。耳朶を撫で、耳から侵入し、そして鼓膜を甘美に撫でる。聴覚が、誘惑されていく。
梨花は、相手の肩を押し返した。長い口付けに、息が苦しくなってきていた。
それを察したのか、レオンはくちを離す。
唾液が糸を引いて、互いの唇を濡らした。それさえも、梨花の目にはいやらしく映る。
この唾液は、ふたりの唾液が梨花の口内で混ざり合ったものなのだ。それを考えると、レオンの瞳なんてとても見られない。
乱れている梨花の呼吸に、レオンが笑った。
「おやおや、キスひとつでもうそんなに息があがっているのかね」
「……放っておいてください」
「しおらしくなって。先程までの威勢はどうしたんだ」
「ひゃあ!」
言って、レオンが今度は梨花の耳を舐める。
梨花は相手を押し返そうとしたものの、体格差もあってそれはうまくいかなかった。
「なっ、どっ、どこ舐めて……!」
「ここはお嫌いかね?」
「やっ……そこで、しゃべらないでくださいッ」
彼の息と声が至近距離で流し込まれ、再びぞくぞくと痺れる感覚に襲われる。
耳元で、レオンが小さく笑った。
唾液に濡れた熱い粘膜が耳朶を這うたびに、くちゅくちゅと卑猥な音がする。
こんなふうに男性に押さえつけられるのが初めてな梨花は、どうしようもなく男女の体格差を認識させられてしまった。梨花の自由を奪う相手の手の大きさに、不思議と意識が官能的に痺れる。
不意に、レオンの片手が梨花の胸に伸びた。
彼の長い指が、梨花の胸をやんわりと揉む。梨花は目を見張った。
「どっ、どっ、どこ触ってるんですか! スケベ! 変態!」
「これからセックスをするというのに、この程度で騒いでいてどうする」
パジャマ越しの乳房に、レオンの指先が沈む。下着をつけていないため、それは直接触られているのと大差がなかった。
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