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最終章 運命の死神審問会
第81話 審問開始
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息を吐くことすら緊張してしまう場で、藍良はそっと兼翔の袖を掴んだ。
兼翔は怪訝そうに藍良を見やり、首を傾げる。藍良はそのまま彼の耳たぶを引っ張った。
「な、なんだ!?この馬鹿」
「ってか!!そもそもどういう流れで進むの?コレ!?」
すると、兼翔はがくりと肩を落とす。
「そんなことも知らんとは」
「当たり前でしょ!誰も教えてくれなかったんだから!」
兼翔は小さく息を吐き、今度は藍良の耳元へと顔を寄せた。その隙間に、ひょいとタマが「わしもォ~」と言いながら割り込んでくる。
「まずは花倉の証言の検証から行う。そもそも、こんな審問が開かれたのは、あいつの証言が発端だからな。辻褄が合わないことを指摘したり、まあそうやって証言が本当なのか、それとも嘘なのか、それを検証していく」
「わたしは発言できるの?」
「お前は別に証言の時間が設けられている。それ以外は基本的にNGだ。蘭丸や俺、幻道様が促したときは発言してもいいが……花倉が何を言っても、感情的になるなよ」
「そんなこと、するわけないじゃん」
「単純なお前なら、大いにあり得ると思ってな」
藍良はむっとして、顔をしかめる。
そのとき、花倉が証言台へと進み出た。場の空気がより張り詰める中、幻道がゆっくりと口を開く。
「あなたが、花倉真澄さんね。じゃあ早速、あなたが死ぬ前に見たという光景を、この場で証言してちょうだい」
花倉は緊張した面持ちで頷くと、両手を胸の前で握った。その手は微かに震えている。どうやら、相当緊張しているようだ。
──緊張してるのはこっちだっての。
藍良はそう心の中で悪態を吐いた。花倉の証言が嘘であることは、この場で藍良が一番良くわかっている。それを、ここにいる全員がわかるように、暴けばいいのだ。
花倉はゆっくりと顔を上げた。足元はおぼつかず、視線も定まらない。花倉は数回呼吸を繰り返したあと、意を決したように声を張り上げた。
「わたし、数年前から“化身”というものを宿していました。夢の中で話したり、事あるごとに出てきてくれて、いろいろ話せる……親友のような存在だと思っていたんです」
ここまで言うと、花倉は言葉を詰まらせた。そして、少し躊躇ったあと、声を震わせながら続ける。
「それなのに、あの日突然、化身はわたしの身体から飛び出して、胸のあたりを刺したんです。わたし、鞄に護身用の小さなナイフをこっそり入れてて、それを化身は知ってたから。刺された瞬間、身体の力が一気に抜けて、わたし、尻餅をついたんです。化身は、そんなわたしを見て笑ってた。そしてそのまま、窓の外にいた水無瀬さんの身体に乗り移ったんです」
ここまで言うと、花倉は肩を震わせて深く俯いた。すかさず蘭丸が駆け寄り、彼女の背に手を添える。花倉は小さく頷きながら、促されるまま審護席へ戻った。そんな花倉を見て、幻道は穏やかに声をかける。
「辛い出来事を思い出させてしまって、ごめんなさいね。勇気を出して証言してくれてありがとう。蘭丸、三分ほど休ませてあげて。続きはそのあとで」
「承知しました」
蘭丸は手元にあったグラスに水を注ぎ、花倉へ差し出す。それを見た瞬間、藍良は自分の喉がカラカラに渇いていることに気付いた。
「兼翔。わたしも喉乾いた」
「甘えるな、我慢しろ」
即答過ぎる反応に、藍良はため息を吐く。
この対応の差はいったい何……!?
「ところで、水無瀬」
「あん?」
「さっきの花倉の証言はどうだ?本当なのか」
「んなわけないでしょ。嘘っぱちだっての」
「信じていいんだな」
「あったりまえでしょ」
「なら、それでいい」
「何が?」
「どういう理由かはわからんが、花倉は嘘を吐いている。もしくは、何かを誤解している。それを、これから証明する」
すると、花倉がすっと立ち上がった。休憩が終わったのだ。彼女は再び証言台へと歩を進める。すると、花倉は幻道を見据えてこう言った。
「あの……聞きたいことがあるんです」
「どうぞ」
「この会って……わたしの言っていることが本当かどうかわからないから、開かれたんですよね?」
「まあ……そうっちゃそうね」
すると、彼女は突然藍良を睨みつけ、指を突きつけた。その声は震えながらも、異様なほど大きく響く。
「あの子の身体を調べてください!わたしを殺した化身がいるはずです!」
──いけしゃあしゃあと……腹立つわ~。
と、藍良は心の中で毒づく。兼翔は前のめりになると、鋭い眼光を花倉へ向ける。
「彼女は頑なに化身など宿っていないと言っている」
「嘘です!いるはずです!ちゃんと調べてください」
「まあ、その件については僕が補足しましょうか」
蘭丸は審護席から立ち上がると、一歩前へ出た。
「昨日、彼女の審問をさせていただきました。彼女は稀に見る正直者で、隙だらけ。化身を宿しているのか改めて聞いたところ、回答に掛かった時間は五秒以上経ってからでした」
「それが?」
「本当に化身が宿っていないなら、即答できるはずでしょう。こんなに時間がかかったこと自体が、彼女が悩んで、あれこれ言い訳を考えた結果。つまり、彼女は化身を宿している。だからこそ、気付かれないようなそれっぽい言い訳を考えた、というわけです」
この言葉に、兼翔は鼻で笑った。
「何か?」
「たかだか返答に時間がかかった程度で決めつけおって。専門学校時代から、お前は変わらず、単純極まりないな」
その瞬間、蘭丸の眉がピクリと動く。
「お前のそのエセ心理分析は、もしかしたらそうかも、ぐらいのふんわりとした話だ。水無瀬藍良は、お前の審問の前日に誘拐されたも同然。そんな状況で突然呼び出され、自分の運命を決めるような質問を投げかけられたら、普通は慎重になる。どう答えるのが正しいのか、時間をかけてじっくり考えたとしても、なんら不思議ではない」
藍良は兼翔を見つめながら、同意を込めて「そうそう」と激しく頷く。
「そうではなくても、もしかしたら、腹が痛くて話に集中してなかったのかもしれんし、あのふにゃふにゃした塩顔審問官のことを考えてボヘっとしていた可能性もある。ともあれ、決定的な証拠でもないことを、決めつけて言うのはいかがなものか」
──ふにゃふにゃした塩顔審問官……。
兼翔が誰を指しているのか察した藍良は、思わず苦笑いを浮かべる。だが、そんな藍良の反応など意に介さず、兼翔は目の前の机を「バン」っと勢いよく叩くと、蘭丸を射抜くように鋭く睨みつけた。
「こんな話は時間の無駄だ。水無瀬藍良に化身が宿っているというのなら、さっさと決定的な証拠を見せろ。今すぐにな」
兼翔の啖呵に、場が水を打ったように静まり返った。藍良はちょっぴり感動していた。あの兼翔がここまで真っ向から自分を守ってくれるとは。これほど頼もしいと思ったことがかつてあっただろうか。
だが、そんな沈黙を破るように、花倉が口を開いた。
「あの、よろしいでしょうか」
「ええ。どうぞ、花倉さん」
「もうひとつ、お話ししていなかったことがあります。あのあと死んだわたしは、冥界に来るまでのほんの短い間、学園を彷徨っていたんです。そのとき、水無瀬さんがその化身と会話をしているのを、確かに見ました」
「会話、だと?」
「はい、それは……」
──“真白”?へえ……あなた、“真白”っていうんだね。
その名が口にされた瞬間、藍良はぎょっとした。なぜ花倉が真白の名を知っているのか。ふと数日前を思い返して、藍良は青ざめた。彼女が真白の名を知ることができたチャンスは、たった一度しかない。
体育館裏で藍良が真白と話したとき。
あのとき、掃除をしていた藍良は周囲に誰もいないと思い込み、真白と数分、言葉を交わした。とはいっても、真白は心の中にいるから、はたから見れば藍良の独り言なわけだが。
だが、会話を終えたあと、木の影から花倉が姿を現した。いつからそこにいたのかは、わからない。だがもし、会話をし始めたときから、覗き見られていたとしたら?
あのとき、うっかり“真白”という名を口にしたのかもしれない。いや、きっと口にしてしまっていたのだろう。藍良は自らの不用心さに舌打ちをした。
花倉は続ける。
「わたしの中にいた化身の名前も“真白”。だから確信したんです。彼女の中に真白がいるって」
藍良のイライラは頂点に達していた。馴れ馴れしく真白の名を呼ぶだけではなく、完全に真白を殺人者扱いだ。この花倉はいったい何がしたいのか。藍良は怒り心頭で、花倉に睨みをきかせる。すると、首元でタマオがプルプルと震え始めた。
「あ、藍良……落ち着くんじゃあ……」
か細い声。だが、流石の藍良も我慢の限界だ。ここまで好き勝手に嘘を並べ立てられ、それがまかり通るなんてたまったものではない。藍良は勢いよく立ち上がった。そのとき……。
「落ち着け」
兼翔の低い声が飛ぶ。
「だって!」
「いいから、座ってろ」
兼翔の表情は険しかった。有無を言わせぬ態度に、藍良は言葉を呑み込み、渋々腰を下ろす。すると、兼翔はゆっくりと蘭丸、そして花倉へと視線を移し、笑った。
「何を言い出すかと思えば、そんなことか」
そう言うと、兼翔は右手の人差し指を花倉へ突きつけた。
「貴様は嘘を吐いている。それも一つではない。二つもな」
兼翔は怪訝そうに藍良を見やり、首を傾げる。藍良はそのまま彼の耳たぶを引っ張った。
「な、なんだ!?この馬鹿」
「ってか!!そもそもどういう流れで進むの?コレ!?」
すると、兼翔はがくりと肩を落とす。
「そんなことも知らんとは」
「当たり前でしょ!誰も教えてくれなかったんだから!」
兼翔は小さく息を吐き、今度は藍良の耳元へと顔を寄せた。その隙間に、ひょいとタマが「わしもォ~」と言いながら割り込んでくる。
「まずは花倉の証言の検証から行う。そもそも、こんな審問が開かれたのは、あいつの証言が発端だからな。辻褄が合わないことを指摘したり、まあそうやって証言が本当なのか、それとも嘘なのか、それを検証していく」
「わたしは発言できるの?」
「お前は別に証言の時間が設けられている。それ以外は基本的にNGだ。蘭丸や俺、幻道様が促したときは発言してもいいが……花倉が何を言っても、感情的になるなよ」
「そんなこと、するわけないじゃん」
「単純なお前なら、大いにあり得ると思ってな」
藍良はむっとして、顔をしかめる。
そのとき、花倉が証言台へと進み出た。場の空気がより張り詰める中、幻道がゆっくりと口を開く。
「あなたが、花倉真澄さんね。じゃあ早速、あなたが死ぬ前に見たという光景を、この場で証言してちょうだい」
花倉は緊張した面持ちで頷くと、両手を胸の前で握った。その手は微かに震えている。どうやら、相当緊張しているようだ。
──緊張してるのはこっちだっての。
藍良はそう心の中で悪態を吐いた。花倉の証言が嘘であることは、この場で藍良が一番良くわかっている。それを、ここにいる全員がわかるように、暴けばいいのだ。
花倉はゆっくりと顔を上げた。足元はおぼつかず、視線も定まらない。花倉は数回呼吸を繰り返したあと、意を決したように声を張り上げた。
「わたし、数年前から“化身”というものを宿していました。夢の中で話したり、事あるごとに出てきてくれて、いろいろ話せる……親友のような存在だと思っていたんです」
ここまで言うと、花倉は言葉を詰まらせた。そして、少し躊躇ったあと、声を震わせながら続ける。
「それなのに、あの日突然、化身はわたしの身体から飛び出して、胸のあたりを刺したんです。わたし、鞄に護身用の小さなナイフをこっそり入れてて、それを化身は知ってたから。刺された瞬間、身体の力が一気に抜けて、わたし、尻餅をついたんです。化身は、そんなわたしを見て笑ってた。そしてそのまま、窓の外にいた水無瀬さんの身体に乗り移ったんです」
ここまで言うと、花倉は肩を震わせて深く俯いた。すかさず蘭丸が駆け寄り、彼女の背に手を添える。花倉は小さく頷きながら、促されるまま審護席へ戻った。そんな花倉を見て、幻道は穏やかに声をかける。
「辛い出来事を思い出させてしまって、ごめんなさいね。勇気を出して証言してくれてありがとう。蘭丸、三分ほど休ませてあげて。続きはそのあとで」
「承知しました」
蘭丸は手元にあったグラスに水を注ぎ、花倉へ差し出す。それを見た瞬間、藍良は自分の喉がカラカラに渇いていることに気付いた。
「兼翔。わたしも喉乾いた」
「甘えるな、我慢しろ」
即答過ぎる反応に、藍良はため息を吐く。
この対応の差はいったい何……!?
「ところで、水無瀬」
「あん?」
「さっきの花倉の証言はどうだ?本当なのか」
「んなわけないでしょ。嘘っぱちだっての」
「信じていいんだな」
「あったりまえでしょ」
「なら、それでいい」
「何が?」
「どういう理由かはわからんが、花倉は嘘を吐いている。もしくは、何かを誤解している。それを、これから証明する」
すると、花倉がすっと立ち上がった。休憩が終わったのだ。彼女は再び証言台へと歩を進める。すると、花倉は幻道を見据えてこう言った。
「あの……聞きたいことがあるんです」
「どうぞ」
「この会って……わたしの言っていることが本当かどうかわからないから、開かれたんですよね?」
「まあ……そうっちゃそうね」
すると、彼女は突然藍良を睨みつけ、指を突きつけた。その声は震えながらも、異様なほど大きく響く。
「あの子の身体を調べてください!わたしを殺した化身がいるはずです!」
──いけしゃあしゃあと……腹立つわ~。
と、藍良は心の中で毒づく。兼翔は前のめりになると、鋭い眼光を花倉へ向ける。
「彼女は頑なに化身など宿っていないと言っている」
「嘘です!いるはずです!ちゃんと調べてください」
「まあ、その件については僕が補足しましょうか」
蘭丸は審護席から立ち上がると、一歩前へ出た。
「昨日、彼女の審問をさせていただきました。彼女は稀に見る正直者で、隙だらけ。化身を宿しているのか改めて聞いたところ、回答に掛かった時間は五秒以上経ってからでした」
「それが?」
「本当に化身が宿っていないなら、即答できるはずでしょう。こんなに時間がかかったこと自体が、彼女が悩んで、あれこれ言い訳を考えた結果。つまり、彼女は化身を宿している。だからこそ、気付かれないようなそれっぽい言い訳を考えた、というわけです」
この言葉に、兼翔は鼻で笑った。
「何か?」
「たかだか返答に時間がかかった程度で決めつけおって。専門学校時代から、お前は変わらず、単純極まりないな」
その瞬間、蘭丸の眉がピクリと動く。
「お前のそのエセ心理分析は、もしかしたらそうかも、ぐらいのふんわりとした話だ。水無瀬藍良は、お前の審問の前日に誘拐されたも同然。そんな状況で突然呼び出され、自分の運命を決めるような質問を投げかけられたら、普通は慎重になる。どう答えるのが正しいのか、時間をかけてじっくり考えたとしても、なんら不思議ではない」
藍良は兼翔を見つめながら、同意を込めて「そうそう」と激しく頷く。
「そうではなくても、もしかしたら、腹が痛くて話に集中してなかったのかもしれんし、あのふにゃふにゃした塩顔審問官のことを考えてボヘっとしていた可能性もある。ともあれ、決定的な証拠でもないことを、決めつけて言うのはいかがなものか」
──ふにゃふにゃした塩顔審問官……。
兼翔が誰を指しているのか察した藍良は、思わず苦笑いを浮かべる。だが、そんな藍良の反応など意に介さず、兼翔は目の前の机を「バン」っと勢いよく叩くと、蘭丸を射抜くように鋭く睨みつけた。
「こんな話は時間の無駄だ。水無瀬藍良に化身が宿っているというのなら、さっさと決定的な証拠を見せろ。今すぐにな」
兼翔の啖呵に、場が水を打ったように静まり返った。藍良はちょっぴり感動していた。あの兼翔がここまで真っ向から自分を守ってくれるとは。これほど頼もしいと思ったことがかつてあっただろうか。
だが、そんな沈黙を破るように、花倉が口を開いた。
「あの、よろしいでしょうか」
「ええ。どうぞ、花倉さん」
「もうひとつ、お話ししていなかったことがあります。あのあと死んだわたしは、冥界に来るまでのほんの短い間、学園を彷徨っていたんです。そのとき、水無瀬さんがその化身と会話をしているのを、確かに見ました」
「会話、だと?」
「はい、それは……」
──“真白”?へえ……あなた、“真白”っていうんだね。
その名が口にされた瞬間、藍良はぎょっとした。なぜ花倉が真白の名を知っているのか。ふと数日前を思い返して、藍良は青ざめた。彼女が真白の名を知ることができたチャンスは、たった一度しかない。
体育館裏で藍良が真白と話したとき。
あのとき、掃除をしていた藍良は周囲に誰もいないと思い込み、真白と数分、言葉を交わした。とはいっても、真白は心の中にいるから、はたから見れば藍良の独り言なわけだが。
だが、会話を終えたあと、木の影から花倉が姿を現した。いつからそこにいたのかは、わからない。だがもし、会話をし始めたときから、覗き見られていたとしたら?
あのとき、うっかり“真白”という名を口にしたのかもしれない。いや、きっと口にしてしまっていたのだろう。藍良は自らの不用心さに舌打ちをした。
花倉は続ける。
「わたしの中にいた化身の名前も“真白”。だから確信したんです。彼女の中に真白がいるって」
藍良のイライラは頂点に達していた。馴れ馴れしく真白の名を呼ぶだけではなく、完全に真白を殺人者扱いだ。この花倉はいったい何がしたいのか。藍良は怒り心頭で、花倉に睨みをきかせる。すると、首元でタマオがプルプルと震え始めた。
「あ、藍良……落ち着くんじゃあ……」
か細い声。だが、流石の藍良も我慢の限界だ。ここまで好き勝手に嘘を並べ立てられ、それがまかり通るなんてたまったものではない。藍良は勢いよく立ち上がった。そのとき……。
「落ち着け」
兼翔の低い声が飛ぶ。
「だって!」
「いいから、座ってろ」
兼翔の表情は険しかった。有無を言わせぬ態度に、藍良は言葉を呑み込み、渋々腰を下ろす。すると、兼翔はゆっくりと蘭丸、そして花倉へと視線を移し、笑った。
「何を言い出すかと思えば、そんなことか」
そう言うと、兼翔は右手の人差し指を花倉へ突きつけた。
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