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しおりを挟む朝目が覚めると、ノエルはネグリジェを着てベッドの中で眠っていた。寝ぼけながらも昨夜ちゃんと着替えて寝たのだと、その時は思っていた。それかメイドが着せ替えてくれたのだろうか。
寝起きの朦朧とした頭でそんなことを考えていると、ドアが勢いよく開くとメイドの声が部屋中に響いた。
「お嬢様!今夜は舞踏会でございますよ」
あれ?昨日の朝もこんな感じだったような。
「舞踏会?今夜もあるの?」
ノエルが尋ねるとメイドは首を傾げる。
それからは昨日をなぞるように、昨日と同じ紅のイヴニングドレスを着させられ、夜になると言われるがまま馬車に乗せられた。向かう先は昨夜と同じ宮殿だ。
連れてこられたからには一応舞踏会にも参加する。
ノエルはかしましく華やかなドレスの群れを掻き分けてホールに出るがアムスの姿はなかった。
ノエルはこの状況に覚えがあった。あの子爵令嬢のドレスは昨日と同じだし、こちらの侯爵令嬢と伯爵令嬢は昨日も口論していた。昨日と全く同じだ。昨日はこの後すぐに、背後からジュリオスに声をかけられたはずだが。
「ノエル、私が踊ってやってもいいぞ?」
ああ…これも昨日と同じーーノエルは大きく溜息をついて振り返ると、ジュリオスが笑みを浮かべて立っている。
「お断りします」
ノエルは昨日と同じことを言って断った。
「え、いや、ちょっ…この私が踊ってやると言っているんだぞ!?王太子の私が!」
背を向けて立ち去ろうとするノエルを慌てて追うジュリオスもまた昨日と同じだった。この既視感は何?まるで昨日を繰り返している。
後を追いながらぺちゃくちゃ話しかけるジュリオスを無視してノエルは首を傾げながら馬車に乗って帰路に着いた。
昨夜の舞踏会は夢だったのかしら?それとも噂に聞くデジャヴというもの?それにしては現実味を帯びていた。
悩んでも仕方ない。眠ってしまえば新しい朝が来る。ノエルはドレスを着たままベッドに飛び込みすぐに眠りに落ちた。
ーーー…
「お嬢様!今夜は舞踏会でございますよ」
カーテンの隙間から差し込む朝日、小鳥の囀り。そして昨日の朝と同じメイドの声、同じネグリジェ。
「そんな…嘘でしょ?どうなってるの?」
明らかに昨日だ。ノエルは呆然としつつも、まだ期待していた。今日が昨日であるはずがない、と。
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