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怪盗のはじまり
パーティー
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アルもフランも彼女の言葉の意味が理解できなかった。
パーティー? お茶会でも開くというのか? どうしてそんな話を今するのだろうか? そんな疑問が絶えることはない。
フランは自分が何も知らない馬鹿だと思われるのが嫌で、ブラフをかけることにした。
「パーティーなんて組んでどうするの?」
ジャンヌも深くは感がていなかったので、答えに困ってしまった。彼女にとって理由などどうでもよかったからだ。彼女にとって今目の前にいる二人は唯一見つけることができた仲間で、ただ一緒にいたいと感じたから仲間になってくれないか程度のことを言ったつもりなのだ。
だから、ジャンヌが言える言葉などたかが知れいた。
「意味……? 楽しそうだからですかね?」
それで、合点がいったアルは彼女に言葉を返す。
「それは楽しそうですけど、貴族と警務と元貴族のパーティーなんて意味不明でしょ……」
「いやいや、パーティーに職業なんて関係ないですよ」
初めて同士が徒党を組むことになんて数の優位性以外何もないのだから、職業なんて彼女にとってもどうでもいいのだ。
むしろ、魔法使いと盗賊と剣士のパーティーで、あと僧侶でもいれば完璧なパーティーなのにぐらいの思考しか持っていない。
「でそのパーティーどこでやるの? 僕は貴族だけど、嫌われているから参加したことないんだよね……って警務官とパーティーなんてできるわけないだろう!!」
ようやく正気に戻ったフランは、先ほどとは違い攻撃に身を構える。アルも同じで相手の出方を見ているようだ。
彼らの行動に驚いたジャンヌは、そこでようやく意思疎通ができていないことに気がつく。
「パーティーってダンスパーティーとかのことじゃなくて、仲間になろうってことですよ?」
「だから無理……って仲間? 僕たちとか?」
あまりにも予想外の言葉に、フランは意表を突かれて構えを解いてしまう。通常ならばありえないことだ。怪盗であるアルがいないのならまだわかるが、怪盗と警務官はいわば敵同士でしかないわけで、そこが組む意味など何もない。
例えジャンヌが貴族を恨んでいようが、怪盗と組んでいいことなど何一つないだろう。
アルにだってそんなことはわかる。
「そんなの無理に決まってるじゃない! そもそも、フランは怪盗じゃないし、怪盗にもならない……」
「いや……僕は怪盗になる!」
アルの言葉に、今度はフランが反論する。このままではどう考えたって話が一向に進まないだろう。
「そこはどうでもいいでしょう? 怪盗団は所詮みんなひとり身なのだから、一人の怪盗に協力する形で貴族をつぶせるというなら私たち三人の目的を達成できるでしょう?」
「百歩譲って私とフランが組めたとしても、あなたは曲がりなりにも怪盗の敵でしょ? 信用できるはずないじゃない!」
アルはいきり立つ。
彼女がそう興奮するのも当たり前だ。彼女にとって警務官が仲間になるなどありえないわけだから、それは立場が逆だったとしてもそうだろう。
ジャンヌだってアルが言いたいことはわかるし、自分だってそう思う。それに、ジャンヌにしてみればフランが信用できない。彼は貴族を憎んでいるとはいえど、自ら肉を差し出していないからだ。――もちろんそれも含めて、ジャンヌは彼女たちと仲間になりたいと思っている。
「落ち着いて……」
フランがアルをいさめる。
彼はアルを信頼しているのは当たり前だが、ジャンヌも信頼できると踏んでいたからだ。それは第一印象である、数時間前の衝突があったからだ。あの後のアフターケアが気に入っていたわけだ。
しかし、アルはそんなことを知る由もないが、それでも彼のことを信じているから、とりあえず落ち着くことにしたようだ。
「とにかく! 私の正体が警務にばれたなら、信じようが信じまいがどちらも同じことなんだけどね」
「わかってるよ。君と一緒にいた僕だって同じだ」
アルとフランは大きくため息をついた。
結局のところ、二人はジャンヌにアルの正体がばれた時点で詰んでいるわけだ。
ならば、結論として選択肢は二つ。目撃者を殺すか、そうでなければ目撃者に取り入ることだけだ。あいにく彼らは忘却の魔法を所持していないから、それを選択肢に入れるわけにはいかない。だから最初からどちらを選ぶのかは決まっている。
「決まったようですね」
ジャンヌは安心したようで、大きく息をついた。
パーティー? お茶会でも開くというのか? どうしてそんな話を今するのだろうか? そんな疑問が絶えることはない。
フランは自分が何も知らない馬鹿だと思われるのが嫌で、ブラフをかけることにした。
「パーティーなんて組んでどうするの?」
ジャンヌも深くは感がていなかったので、答えに困ってしまった。彼女にとって理由などどうでもよかったからだ。彼女にとって今目の前にいる二人は唯一見つけることができた仲間で、ただ一緒にいたいと感じたから仲間になってくれないか程度のことを言ったつもりなのだ。
だから、ジャンヌが言える言葉などたかが知れいた。
「意味……? 楽しそうだからですかね?」
それで、合点がいったアルは彼女に言葉を返す。
「それは楽しそうですけど、貴族と警務と元貴族のパーティーなんて意味不明でしょ……」
「いやいや、パーティーに職業なんて関係ないですよ」
初めて同士が徒党を組むことになんて数の優位性以外何もないのだから、職業なんて彼女にとってもどうでもいいのだ。
むしろ、魔法使いと盗賊と剣士のパーティーで、あと僧侶でもいれば完璧なパーティーなのにぐらいの思考しか持っていない。
「でそのパーティーどこでやるの? 僕は貴族だけど、嫌われているから参加したことないんだよね……って警務官とパーティーなんてできるわけないだろう!!」
ようやく正気に戻ったフランは、先ほどとは違い攻撃に身を構える。アルも同じで相手の出方を見ているようだ。
彼らの行動に驚いたジャンヌは、そこでようやく意思疎通ができていないことに気がつく。
「パーティーってダンスパーティーとかのことじゃなくて、仲間になろうってことですよ?」
「だから無理……って仲間? 僕たちとか?」
あまりにも予想外の言葉に、フランは意表を突かれて構えを解いてしまう。通常ならばありえないことだ。怪盗であるアルがいないのならまだわかるが、怪盗と警務官はいわば敵同士でしかないわけで、そこが組む意味など何もない。
例えジャンヌが貴族を恨んでいようが、怪盗と組んでいいことなど何一つないだろう。
アルにだってそんなことはわかる。
「そんなの無理に決まってるじゃない! そもそも、フランは怪盗じゃないし、怪盗にもならない……」
「いや……僕は怪盗になる!」
アルの言葉に、今度はフランが反論する。このままではどう考えたって話が一向に進まないだろう。
「そこはどうでもいいでしょう? 怪盗団は所詮みんなひとり身なのだから、一人の怪盗に協力する形で貴族をつぶせるというなら私たち三人の目的を達成できるでしょう?」
「百歩譲って私とフランが組めたとしても、あなたは曲がりなりにも怪盗の敵でしょ? 信用できるはずないじゃない!」
アルはいきり立つ。
彼女がそう興奮するのも当たり前だ。彼女にとって警務官が仲間になるなどありえないわけだから、それは立場が逆だったとしてもそうだろう。
ジャンヌだってアルが言いたいことはわかるし、自分だってそう思う。それに、ジャンヌにしてみればフランが信用できない。彼は貴族を憎んでいるとはいえど、自ら肉を差し出していないからだ。――もちろんそれも含めて、ジャンヌは彼女たちと仲間になりたいと思っている。
「落ち着いて……」
フランがアルをいさめる。
彼はアルを信頼しているのは当たり前だが、ジャンヌも信頼できると踏んでいたからだ。それは第一印象である、数時間前の衝突があったからだ。あの後のアフターケアが気に入っていたわけだ。
しかし、アルはそんなことを知る由もないが、それでも彼のことを信じているから、とりあえず落ち着くことにしたようだ。
「とにかく! 私の正体が警務にばれたなら、信じようが信じまいがどちらも同じことなんだけどね」
「わかってるよ。君と一緒にいた僕だって同じだ」
アルとフランは大きくため息をついた。
結局のところ、二人はジャンヌにアルの正体がばれた時点で詰んでいるわけだ。
ならば、結論として選択肢は二つ。目撃者を殺すか、そうでなければ目撃者に取り入ることだけだ。あいにく彼らは忘却の魔法を所持していないから、それを選択肢に入れるわけにはいかない。だから最初からどちらを選ぶのかは決まっている。
「決まったようですね」
ジャンヌは安心したようで、大きく息をついた。
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