不器用な指先

merori

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6年前、忘れられない少女

教師と生徒

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5時間目に授業が無かった僕は職員室に戻った。

本当は理科準備室にこもって居たかったが、僕は半年間だけとはいえ新任の身だ。
おとなしく職員室へ戻るか…と思い、理科準備室を出た。




「渡辺先生、コーヒーでも飲みませんか?」


職員室の机で生徒達の教科書をなんとなく読んでいた僕に、男性教師は声をかけてくれた。


「ありがとうございます、頂きます」


さっきまでの職員室にこの男性教師は居なかった。
きっと担任を持っていて、クラス内で食事を取っているタイプの教師なのだろう。とても気さくな雰囲気を感じられる。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


男性教師から出来たてのコーヒーを頂いた。
そのコーヒーを僕は息で冷ましながら啜る。


「自己紹介遅くなってすみません、2年3組の担任やっています。高野啓史と申します」


そう言い、高野先生は軽く会釈した。

2年3組…
今日授業を担当したのも2年3組、小夜も2年3組だ。


「ウチのクラス、ちょっとやんちゃな子が多くて…渡辺先生には申し訳無いのですが半年間よろしくお願いします」


高野先生は苦笑いしてそう言った。


「こちらこそ、半年間よろしくお願いします」


僕も高野先生と同様、会釈した。
高野先生はとても親切な先生だと雰囲気から感じられる。
この学校で仕事するにあたって、かなり心強い存在になりそうだと確信した。



「この学校、荒れているからか…どうしても男女関係がお盛んなんです」


高野先生は突然この学校の男女関係についての話を振った。


「まだ渡辺先生も今日来たばかりだからあまり分からないかもしれないんですが、特に授業を聞いていない子達は3年生の男の子と付き合ったり他校の子と付き合ったり…もちろん、学年の子もですが」


「ほ、ほぅ……」


僕はこの人生において恋愛経験はゼロだ。
高野先生の話を聞く限り、確実にこの学校の生徒達の方が恋愛については分かっているだろう。


「それと、稀ですが…先生に恋しちゃう生徒もいます」

「そんな物好きな生徒がいるんですね…」


これが高校生ならまだ分かるが、生徒はみな中学生だ。
いくら歳が近くても10歳差。


「特に人気なのが柏崎先生…3年1組の担任でサッカー部の顧問なんです」


「どんな先生なんですか?」


「25歳で顔も整っていますし、サッカー部顧問。何より雰囲気が爽やかでいかにもモテそうな男性なんです」


要するに若くてイケメンでスポーツマン。
モテることが安易に想像できる。



「渡辺先生もまだ26歳ですし、モテると俺は思います」


「俺はこれまで彼女もできたことないですし、女性の扱い方本当に分からないので…そんなこと無いと思います」


「こればかりは分かりませんよ」


高野先生はそう言い、苦笑いした。


「この学校の卒業生で先生と結婚した女生徒もいますし、先輩じゃ満足できない年上好きの生徒もいるわけです」



僕は慣れていない恋愛の話に唖然としている。


「しつこいですが…渡辺先生、こればかりは本当に分からないものですよ」



唖然とした僕に高野先生はそう言った直後、5時間目が終わるチャイムが鳴った。



「それでは、俺6時間目授業入ってるので失礼します」



高野先生は席を立ち、職員室を後にした。



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