4 / 20
4.ドレス選び
しおりを挟む
「嫌がらせに屈したくはないのです。契約期間は私は貴方の妻として最善を尽くします」
私の右足は負傷していてヒールのある靴を履くと痛い。だから、靴を履くのは舞踏会本番だけにしようと思った。
彼の温かい手に手を乗せる。私たちはカウントをとりながらダンスの練習を始めた。
「あの夜も思ったが、本当に踊れないとかのレベルじゃないな? 簡単なステップだぞ」
ジスランの動きに合わせて踊っていたが、足がもつれて彼の足を踏んでしまった。
「申し訳ございません。痛かったですよね」
「痛くはない。それよりも裸足で踊ってて足は冷たくないか? 怪我した足は大丈夫か?」
ジスランは私をベッドに座らせると、手で足を温めてくれた。
彼の手の体温が冷えた足から伝わって温かい。きっと、ヒールを履いて足を踏んでしまったら彼の足を怪我させてしまっただろう。
「いえ、裸足で良かったです。汚い足を触らせてすみません。でも、気持ち良いです」
人に足など触れられたことはないが、足に綺麗なイメージはない。
「綺麗な足だよ。明日はこの足に合う低めのヒールの靴と、君に合うドレスを選ぼう。夕刻には舞踏会に一緒に出てもらうことになるからな」
ジスランの言葉の中に優しさを感じた。彼は暗に他の人間を通さず安全な靴とドレスを私に贈ってくれると言っている。
「ジスラン、明日の日中は公務があるのではないですか?」
「明日の公務はグレイアムに頼むよ」
私は彼の厚意に甘えることにした。周囲にはできるだけジスランと二人で過ごすところを見せておいたほうが良いだろう。私は貧しい男爵家出身で、王家に嫁ぐには身分が低すぎる。
「お気遣いありがとうございます、ジスラン」
お礼を言った私にジスランは柔らかく微笑む。
「僕と舞踏会開会の合図を告げる曲さえ踊れるようになれば十分だ。今晩中に一曲だけでも仕上げよう」
「はい、宜しくお願いします」
夜も大分深まった頃、カウントで踊れるようになる。
「足は痛くないか? 血は滲んでないようだが」
ジスランは屈んで掌で私の足を摩る。手を何度も擦り合わせ熱を作り、私の足を温めようとしてるのが分かった。
「ジスラン、もう、温かいです。眠くはないですか?」
「僕は大丈夫だ。フェリシアこそ眠くはないか?」
「私は平気です」
気遣い合っている時間をくすぐったか思っていると、彼が私の髪を撫でながら口を開いた。
「じゃあ、次は曲に合わせて踊ろう」
「曲?」
ジスランが突然鼻歌で曲を歌い出す。私は思わず吹き出してしまった。
「その笑顔、疲れが吹っ飛ぶな。本当に可愛い」
彼が愛おしそうに私を抱き寄せる。心臓の鼓動がダンスのカウントより早くなって苦しい。
ジスランが鼻歌で曲を歌いながら私を一晩中特訓してくれた。王子が鼻歌など歌っているシュールな状況に私は何度も吹き出しそうになった。
♢♢♢
「おはよう。フェリシア。今日は食事をしたらドレスを選んでもらうぞ。ウェディングドレスと同じサイズで何着か作ってあるんだ」
「はい、お気遣いありがとうございます」
「今日は素直だな」
ジスランが私の頭を優しく撫でてくれる。私たちは徹夜でダンス練習をした。彼は私に少しだけでも仮眠をとるように促し、私はベッドで一時間程だが倒れ込むように眠りについた。
「ジスランは寝ましたか?」
「フェリシアの寝顔を見てたら眠るのが勿体無くてな」
微笑みながら私の頬を撫でるジスラン。私たちの間に漂う甘い雰囲気に、誰もが私たちが熱い夜を過ごしたと思ったと誤解してくれそうだ。
私はジスランにエスコートされ、食堂に移動する。
彼がそっと引いた椅子に座ると、スープが運ばれて来た。
甘い香りに食欲が唆られる。私はスプーンでそっとスープを掬い上げ口に運んだ。
「上手に食べられているじゃないか」
「ダンスだけでなく食事の作法もなっていないとでも思いましたか?」
「いや、努力家の君がなぜ僕らが初めて踊った時に殆ど踊れなかったのかと考えている」
私は貴族としての教育をまともに受けていないことが露見しそうで、ジスランの疑問には答えなかった。
「この冷製のかぼちゃのスープ本当に美味しいです」
「それはジャガイモのスープだぞ。なかなかの味覚音痴だな」
ジスランに笑われてしまい私は恥ずかしくなった。
(甘いからかぼちゃかと思った⋯⋯ビシソワーズだったとは)
父が亡くなってから食事をまともに摂らせて貰えなかった私は、近くの森でこっそりとジャガイモを栽培して食べた。
同じジャガイモでも生クリームを入れて何度も濾して丁寧にシェフが料理すると、これ程に甘く滑らかな黄金色のスープができるらしい。
甘いスープを飲んだのは遠い記憶で味が思い出せもしない。
食事後に今晩の舞踏会で着るドレスを選ぶことになった。
「フェリシア、君専用のドレスルームだ。好きなものを選ぶといい」
ジスランに案内されたドレスルームは、シャリエ家の私の自室より広かった。
所狭しと飾られた贅を尽くしたドレス。
「この、水色のドレスが良いです」
私は水色に銀糸の刺繍が入ったシンプルなドレスを選んだ。童話のシンデレラが着ていそうな清楚なドレス。
「却下! フェリシアにそのドレスは似合わない。これにしろ! 君の美しさを引き立ててくれる」
彼が差し出してきたのは金糸で細やかな刺繍があしらわれ、ゴールデンベリルやサファイアが散りばめられた鮮やかな青いドレスだった。
(こんな派手な格好した事がない⋯⋯)
私はふと昨日の結婚式に参列した貴族のご婦人方のドレスを思い出した。
宝石があしらわれた原色のドレスを着用しているご婦人が多かった。もしかしたら、昨今の流行がそういったドレスで、富を見せつける為に皆派手なものを着ているのかもしれない。
「このドレスが似合うかは自信がありませんが、流行なのですよね」
王子妃が時代遅れのドレスを着ていたらジスランが恥を掻くだろう。
「流行? そんなの気にしたことないな。ただ、深い青に黄金。僕たちが混ざり合ったようなドレスだと思っただけだ」
ジスランの言葉に周囲に待機していたメイドたちが真っ赤になるのが分かる。
(ああ、瞳の色のことか⋯⋯)
彼に恋をしたまま、今のセリフを聞いたら夢心地になっただろう。私の無機質な反応に気がついた彼が少し寂しそうに目を伏せる。
「ジスラン、貴方が選んでくれたドレスにします。私は貴方の花嫁ですから」
彼をフォローしたかったからなのか、周りに仲睦まじさを見せる必要があったからなのか自分でも分からない。ただ、一度は恋した彼の顔が曇るのを見るのは嫌だった。
ドレスを選んだ後は、入浴を済ませ、舞踏会の準備だ。舞踏会会場の前で私を待ち構えているジスランは私の着ているドレスとペアに作られただろう青い礼服を着ていた。
「ジスラン、お待たせしました。元々、私にこのドレスをプレゼントするつもりでしたか?」
私の右足は負傷していてヒールのある靴を履くと痛い。だから、靴を履くのは舞踏会本番だけにしようと思った。
彼の温かい手に手を乗せる。私たちはカウントをとりながらダンスの練習を始めた。
「あの夜も思ったが、本当に踊れないとかのレベルじゃないな? 簡単なステップだぞ」
ジスランの動きに合わせて踊っていたが、足がもつれて彼の足を踏んでしまった。
「申し訳ございません。痛かったですよね」
「痛くはない。それよりも裸足で踊ってて足は冷たくないか? 怪我した足は大丈夫か?」
ジスランは私をベッドに座らせると、手で足を温めてくれた。
彼の手の体温が冷えた足から伝わって温かい。きっと、ヒールを履いて足を踏んでしまったら彼の足を怪我させてしまっただろう。
「いえ、裸足で良かったです。汚い足を触らせてすみません。でも、気持ち良いです」
人に足など触れられたことはないが、足に綺麗なイメージはない。
「綺麗な足だよ。明日はこの足に合う低めのヒールの靴と、君に合うドレスを選ぼう。夕刻には舞踏会に一緒に出てもらうことになるからな」
ジスランの言葉の中に優しさを感じた。彼は暗に他の人間を通さず安全な靴とドレスを私に贈ってくれると言っている。
「ジスラン、明日の日中は公務があるのではないですか?」
「明日の公務はグレイアムに頼むよ」
私は彼の厚意に甘えることにした。周囲にはできるだけジスランと二人で過ごすところを見せておいたほうが良いだろう。私は貧しい男爵家出身で、王家に嫁ぐには身分が低すぎる。
「お気遣いありがとうございます、ジスラン」
お礼を言った私にジスランは柔らかく微笑む。
「僕と舞踏会開会の合図を告げる曲さえ踊れるようになれば十分だ。今晩中に一曲だけでも仕上げよう」
「はい、宜しくお願いします」
夜も大分深まった頃、カウントで踊れるようになる。
「足は痛くないか? 血は滲んでないようだが」
ジスランは屈んで掌で私の足を摩る。手を何度も擦り合わせ熱を作り、私の足を温めようとしてるのが分かった。
「ジスラン、もう、温かいです。眠くはないですか?」
「僕は大丈夫だ。フェリシアこそ眠くはないか?」
「私は平気です」
気遣い合っている時間をくすぐったか思っていると、彼が私の髪を撫でながら口を開いた。
「じゃあ、次は曲に合わせて踊ろう」
「曲?」
ジスランが突然鼻歌で曲を歌い出す。私は思わず吹き出してしまった。
「その笑顔、疲れが吹っ飛ぶな。本当に可愛い」
彼が愛おしそうに私を抱き寄せる。心臓の鼓動がダンスのカウントより早くなって苦しい。
ジスランが鼻歌で曲を歌いながら私を一晩中特訓してくれた。王子が鼻歌など歌っているシュールな状況に私は何度も吹き出しそうになった。
♢♢♢
「おはよう。フェリシア。今日は食事をしたらドレスを選んでもらうぞ。ウェディングドレスと同じサイズで何着か作ってあるんだ」
「はい、お気遣いありがとうございます」
「今日は素直だな」
ジスランが私の頭を優しく撫でてくれる。私たちは徹夜でダンス練習をした。彼は私に少しだけでも仮眠をとるように促し、私はベッドで一時間程だが倒れ込むように眠りについた。
「ジスランは寝ましたか?」
「フェリシアの寝顔を見てたら眠るのが勿体無くてな」
微笑みながら私の頬を撫でるジスラン。私たちの間に漂う甘い雰囲気に、誰もが私たちが熱い夜を過ごしたと思ったと誤解してくれそうだ。
私はジスランにエスコートされ、食堂に移動する。
彼がそっと引いた椅子に座ると、スープが運ばれて来た。
甘い香りに食欲が唆られる。私はスプーンでそっとスープを掬い上げ口に運んだ。
「上手に食べられているじゃないか」
「ダンスだけでなく食事の作法もなっていないとでも思いましたか?」
「いや、努力家の君がなぜ僕らが初めて踊った時に殆ど踊れなかったのかと考えている」
私は貴族としての教育をまともに受けていないことが露見しそうで、ジスランの疑問には答えなかった。
「この冷製のかぼちゃのスープ本当に美味しいです」
「それはジャガイモのスープだぞ。なかなかの味覚音痴だな」
ジスランに笑われてしまい私は恥ずかしくなった。
(甘いからかぼちゃかと思った⋯⋯ビシソワーズだったとは)
父が亡くなってから食事をまともに摂らせて貰えなかった私は、近くの森でこっそりとジャガイモを栽培して食べた。
同じジャガイモでも生クリームを入れて何度も濾して丁寧にシェフが料理すると、これ程に甘く滑らかな黄金色のスープができるらしい。
甘いスープを飲んだのは遠い記憶で味が思い出せもしない。
食事後に今晩の舞踏会で着るドレスを選ぶことになった。
「フェリシア、君専用のドレスルームだ。好きなものを選ぶといい」
ジスランに案内されたドレスルームは、シャリエ家の私の自室より広かった。
所狭しと飾られた贅を尽くしたドレス。
「この、水色のドレスが良いです」
私は水色に銀糸の刺繍が入ったシンプルなドレスを選んだ。童話のシンデレラが着ていそうな清楚なドレス。
「却下! フェリシアにそのドレスは似合わない。これにしろ! 君の美しさを引き立ててくれる」
彼が差し出してきたのは金糸で細やかな刺繍があしらわれ、ゴールデンベリルやサファイアが散りばめられた鮮やかな青いドレスだった。
(こんな派手な格好した事がない⋯⋯)
私はふと昨日の結婚式に参列した貴族のご婦人方のドレスを思い出した。
宝石があしらわれた原色のドレスを着用しているご婦人が多かった。もしかしたら、昨今の流行がそういったドレスで、富を見せつける為に皆派手なものを着ているのかもしれない。
「このドレスが似合うかは自信がありませんが、流行なのですよね」
王子妃が時代遅れのドレスを着ていたらジスランが恥を掻くだろう。
「流行? そんなの気にしたことないな。ただ、深い青に黄金。僕たちが混ざり合ったようなドレスだと思っただけだ」
ジスランの言葉に周囲に待機していたメイドたちが真っ赤になるのが分かる。
(ああ、瞳の色のことか⋯⋯)
彼に恋をしたまま、今のセリフを聞いたら夢心地になっただろう。私の無機質な反応に気がついた彼が少し寂しそうに目を伏せる。
「ジスラン、貴方が選んでくれたドレスにします。私は貴方の花嫁ですから」
彼をフォローしたかったからなのか、周りに仲睦まじさを見せる必要があったからなのか自分でも分からない。ただ、一度は恋した彼の顔が曇るのを見るのは嫌だった。
ドレスを選んだ後は、入浴を済ませ、舞踏会の準備だ。舞踏会会場の前で私を待ち構えているジスランは私の着ているドレスとペアに作られただろう青い礼服を着ていた。
「ジスラン、お待たせしました。元々、私にこのドレスをプレゼントするつもりでしたか?」
10
あなたにおすすめの小説
永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる
鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳――
それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。
公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。
だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、
まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
「……私が女王? 冗談じゃないわ」
回避策として動いたはずが、
誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。
しかも彼は、
幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた――
年を取らぬ姿のままで。
永遠に老いない少女と、
彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。
王妃になどなる気はない。
けれど、逃げ続けることももうできない。
これは、
歴史の影に生きてきた少女が、
はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。
ざまぁも陰謀も押し付けない。
それでも――
この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。
ローザリンデの第二の人生
梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。
彼には今はもういない想い人がいた。
私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。
けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。
あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。
吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される
古紫汐桜
恋愛
婚約者の裏切りを目撃し、命を落とした“私”が目を覚ましたのは、
見知らぬ貴族令嬢の身体の中だった。
そこは、誰かの悪意によって評判を地に落とした世界。
かつて“あざとさ”で生きていた彼女の代わりに、
私はその人生を引き受けることになる。
もう、首を揺らして媚びる生き方はしない。
そう決めた瞬間から、運命は静かに歪み始めた。
冷酷と噂される若公爵ユリエル。
彼もまた、自らの運命に抗い続けてきた男だった。
そんな彼が、私にだけ見せた執着と溺愛。
選び直した生き方の先で待っていたのは、
溺れるほどの愛だった。
あざとさを捨てた令嬢と、運命に翻弄される若公爵。
これは、“やり直し”では終わらない、致命的な恋の物語。
煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。
朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」
煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。
普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。
何故なら———、
(罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)
黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。
そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。
3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。
もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。
目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!
甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。
「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」
(疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
顔が良ければそれでいいと思っていたけれど、気づけば彼に本気で恋していました。
朝日みらい
恋愛
魔物を討伐し国を救った若き魔術師アリア・フェルディナンド。
国王から「望むものを何でも与える」と言われた彼女が選んだ褒美は――
「国一番の美男子を、夫にください」
という前代未聞のひと言だった。
急遽開かれた婿候補サロンで、アリアが一目で心を奪われたのは、
“夜の街の帝王”と呼ばれる美貌の青年ルシアン・クロード。
女たらし、金遣いが荒い、家の恥――
そんな悪評だらけの彼を、アリアは迷わず指名する。
「顔が好きだからです」
直球すぎる理由に戸惑うルシアン。
だが彼には、誰にも言えない孤独と過去があった。
これは、
顔だけで選んだはずの英雄と、
誰にも本気で愛されたことのない美貌の青年が、
“契約婚”から始める恋の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる