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9.私の魅力
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ジスランと私がテントから出ると、既に嘔吐している騎士たちが見えた。
「皆さん、スープに使われていた食材に問題がありました。全て吐き出してしまえば問題ございませんわ」
私は近くにいた一人のオレンジの髪色をした騎士が気持ち悪そうだったので、近づいた。
「失礼します」
騎士の舌の奥に人差し指と中指を突っ込み吐かせる。
「う、うげぇー。フェリシア王子妃殿下。大変失礼を」
「本当だよ。僕の妻にゲロかけるなんて不敬罪だぞ」
確かにドレスの裾に吐瀉物が掛かったが、緊急時なので仕方がない事だ。
「ジスラン、私がやった事ですよ」
「僕だって、君にしたことがない事を他の男がしたんだ。嫉妬するのは当然だろう」
「⋯⋯ジスラン、私にゲロを吐く予定があったのですが?」
「ない。ただ、君が穢されるのは見てられない」
ジスランは不思議なヤキモチを妬いていて、納得していないようだった。
ゲロ臭いだろうに私を抱き寄せて来る彼。
「独占欲だ。もう少し、このまま我慢してくれ」
「⋯⋯あと、五秒で離れてください」
「嫌だ。僕が少しでも好きなら我慢してくれ」
「⋯⋯」
無性に今ジスランから離れたいのは、まだ私の中に彼への恋心が残っているからだ。
自分でも鼻が曲がるくらい臭いのに、彼に匂いを嗅がれていると思うと居た堪れなくなった。
「フェリシア様。ルイス・ビュケと申します。助けて頂きありがとうございます」
ルイス・ビュケは吐き切って気持ちがスッキリしているのか、眩しいくらいのキラキラの笑顔だ。
「ビュケ卿。周りの体調不良の騎士たちも吐かせてあげてください。それから、まれに、昏睡状態や低体温症状が出てしまう場合もあります。そういった騎士がいた場合は私に知らせてください」
「はい、分かりました」
ルイス・ビュケは私に右手をあげて敬礼すると、他の騎士たちを私がしたように吐かせ始めてくれた。
オタム湖の辺りまでジスランと行き、いざドレスを脱ごうとするとジスランの視線を感じた。
「ジスラン、後ろを向いててください」
「そこは、一緒に湖に入りましょうじゃないのか?」
「軽薄なこと言うのですね。混浴するような事は真の夫婦になってからです」
「早く真の夫婦になりたいな⋯⋯」
ジスランはトライアル期間を終えた一年後に、私と真の夫婦になろうと思っているようだ。
契約結婚を申し出ておきながら、私はジスランと真の夫婦になるのは難しいと考えている。何度、彼に恋をしても、他の女を欲しがるような話をした彼に対しての不信感が消える事はない。
「ドレスを脱いだら、僕に渡してくれ。他の男のゲロが掛かったドレスを着てほしくない」
「⋯⋯はい」
言われた通り脱いだドレスをジスランに渡すと、彼は湖でジャブジャブと洗い出した。一応、私に言われた通り私の方を見ないようにしているようだ。
瞬間、私のお腹の辺りにぬるっとした何かが通った。
「きゃっ!」
魚が通過しただけなのに、不意打ちだったので驚いた。
「どうした?」
私の声に反応しジスランが振り向く。
彼は私の顔を見た後、スッと目線を下ろして全身を見ようとした。
「魚が横腹に触れただけです。ジスラン、あと、三秒以内に後ろを向かないと許しませんよ」
「一、二、三」
ジスランは私を上から下まで三秒数えながら見つめた後、後ろを向いて何事もなかったようにドレスを洗い出した。
私はオタム湖の透明度を憎らしく思った。
「三秒だけでも、フェリシアに触れられたようでドキドキしたよ。魚はもっと君に触れたのか。君の夫でもないのに、図々しいな」
「魚には下心がありませんから。ちなみに先程の魚は捕獲したので、明日の朝食にしましょう」
「フェリシアに触れるには死をも覚悟しなければならないんだな。でも、それくらいの魅力が君にはあると僕は思うよ」
ジスランは楽しそうに声を上げて笑った後、五秒程黙り込み再び口を開いた。
「故意にスープに毒を入れたとはフェリシアは考えていなさそうだな」
「当然です。故意に毒を混入するなら、死に直結する毒になるものを入れます」
「確かにそうだな。フェリシアはどこで植物の知識を得たんだ? 君のような博学な令嬢を僕は見たことがない」
「私は図鑑を読むのが好きな変わり者の女の子だっただけですわ。植物やキノコ類は毒性があるものも沢山あります。私を信頼してくれるのであれば、私に食料調達の指揮と食事を用意することを任せては頂けませんか?」
特にキノコ類は毒性のあるものと、ないものの見た目が似ている場合がある。
図鑑だけではなく、現物のキノコを見て食してきた私なら見分けられる。
「フェリシア、君に食事の支度をお願いするよ。僕は君の用意するものなら安心できる」
「信用して頂きありがとうございます」
頬に温かさを感じて後ろを見ると、ジスランが薪で火を焚いていた。洗い上がったドレスを乾かしてくれる。彼は優しいところがあり、彼を愛し愛される人生があれば幸せだろう。
「皆さん、スープに使われていた食材に問題がありました。全て吐き出してしまえば問題ございませんわ」
私は近くにいた一人のオレンジの髪色をした騎士が気持ち悪そうだったので、近づいた。
「失礼します」
騎士の舌の奥に人差し指と中指を突っ込み吐かせる。
「う、うげぇー。フェリシア王子妃殿下。大変失礼を」
「本当だよ。僕の妻にゲロかけるなんて不敬罪だぞ」
確かにドレスの裾に吐瀉物が掛かったが、緊急時なので仕方がない事だ。
「ジスラン、私がやった事ですよ」
「僕だって、君にしたことがない事を他の男がしたんだ。嫉妬するのは当然だろう」
「⋯⋯ジスラン、私にゲロを吐く予定があったのですが?」
「ない。ただ、君が穢されるのは見てられない」
ジスランは不思議なヤキモチを妬いていて、納得していないようだった。
ゲロ臭いだろうに私を抱き寄せて来る彼。
「独占欲だ。もう少し、このまま我慢してくれ」
「⋯⋯あと、五秒で離れてください」
「嫌だ。僕が少しでも好きなら我慢してくれ」
「⋯⋯」
無性に今ジスランから離れたいのは、まだ私の中に彼への恋心が残っているからだ。
自分でも鼻が曲がるくらい臭いのに、彼に匂いを嗅がれていると思うと居た堪れなくなった。
「フェリシア様。ルイス・ビュケと申します。助けて頂きありがとうございます」
ルイス・ビュケは吐き切って気持ちがスッキリしているのか、眩しいくらいのキラキラの笑顔だ。
「ビュケ卿。周りの体調不良の騎士たちも吐かせてあげてください。それから、まれに、昏睡状態や低体温症状が出てしまう場合もあります。そういった騎士がいた場合は私に知らせてください」
「はい、分かりました」
ルイス・ビュケは私に右手をあげて敬礼すると、他の騎士たちを私がしたように吐かせ始めてくれた。
オタム湖の辺りまでジスランと行き、いざドレスを脱ごうとするとジスランの視線を感じた。
「ジスラン、後ろを向いててください」
「そこは、一緒に湖に入りましょうじゃないのか?」
「軽薄なこと言うのですね。混浴するような事は真の夫婦になってからです」
「早く真の夫婦になりたいな⋯⋯」
ジスランはトライアル期間を終えた一年後に、私と真の夫婦になろうと思っているようだ。
契約結婚を申し出ておきながら、私はジスランと真の夫婦になるのは難しいと考えている。何度、彼に恋をしても、他の女を欲しがるような話をした彼に対しての不信感が消える事はない。
「ドレスを脱いだら、僕に渡してくれ。他の男のゲロが掛かったドレスを着てほしくない」
「⋯⋯はい」
言われた通り脱いだドレスをジスランに渡すと、彼は湖でジャブジャブと洗い出した。一応、私に言われた通り私の方を見ないようにしているようだ。
瞬間、私のお腹の辺りにぬるっとした何かが通った。
「きゃっ!」
魚が通過しただけなのに、不意打ちだったので驚いた。
「どうした?」
私の声に反応しジスランが振り向く。
彼は私の顔を見た後、スッと目線を下ろして全身を見ようとした。
「魚が横腹に触れただけです。ジスラン、あと、三秒以内に後ろを向かないと許しませんよ」
「一、二、三」
ジスランは私を上から下まで三秒数えながら見つめた後、後ろを向いて何事もなかったようにドレスを洗い出した。
私はオタム湖の透明度を憎らしく思った。
「三秒だけでも、フェリシアに触れられたようでドキドキしたよ。魚はもっと君に触れたのか。君の夫でもないのに、図々しいな」
「魚には下心がありませんから。ちなみに先程の魚は捕獲したので、明日の朝食にしましょう」
「フェリシアに触れるには死をも覚悟しなければならないんだな。でも、それくらいの魅力が君にはあると僕は思うよ」
ジスランは楽しそうに声を上げて笑った後、五秒程黙り込み再び口を開いた。
「故意にスープに毒を入れたとはフェリシアは考えていなさそうだな」
「当然です。故意に毒を混入するなら、死に直結する毒になるものを入れます」
「確かにそうだな。フェリシアはどこで植物の知識を得たんだ? 君のような博学な令嬢を僕は見たことがない」
「私は図鑑を読むのが好きな変わり者の女の子だっただけですわ。植物やキノコ類は毒性があるものも沢山あります。私を信頼してくれるのであれば、私に食料調達の指揮と食事を用意することを任せては頂けませんか?」
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図鑑だけではなく、現物のキノコを見て食してきた私なら見分けられる。
「フェリシア、君に食事の支度をお願いするよ。僕は君の用意するものなら安心できる」
「信用して頂きありがとうございます」
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