10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ

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25.私、売られたの?

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「まあ、落ち着いて親子の語らいでもしよう」
「私は貴方の娘じゃありません!」
「結果は自ずとわかる」
 小山内社長は私の毛髪を一本抜くと、秘書に手渡した。

 冬馬さんが派遣してくれたSPは気絶させられ、お手伝いさんと女医さんは拘束されている。

「桜田さん!」
 黒服の拘束を振り切り、江夏君が私に近づこうとするも気絶させられ叶わなかった。

 黒いリムジンに押し込まれて、無理矢理にソファーに座らせられる。趣味の悪い豹柄のソファーに寒気がした。

「未来、城ヶ崎冬馬の婚約者になったそうじゃないか。私と同じで金の匂いを嗅ぎ分けるのが上手い」
 シャンパングラスを傾けながら、小山内社長に囁かれた言葉にゾッとする。
彼は私が城ヶ崎冬馬の婚約者になったと聞き、すり寄ってきたのだ。

「私は城ヶ崎冬馬さんとは何の関係もありません」

「ハハッ! 何をいうか! お前の為にリゾートホテルまで故郷につくろうとしている男はお前に骨抜きなんじゃないか? お前は母親と同じ魔性の女だな。嫌がりながらも、結局隠れて私の子供を産んだ美亜と同じだ」

 小山内社長の言葉に私は母親が決して父を愛していると、決して言わなかったことを思い出していた。

 私は自分が不倫の子だという事実を知った時に、不倫相手の奥さんに詫びに行くべきだと母に迫ったことがあった。
 母は彼女は自分と不倫相手の関係を知らないと言った。
 私はバレないなら人のものを盗んで良いというのは、泥棒の考えだと母を責めた。
『泥棒してまで奪いたいくらい好きだった人なの?』
 私の問い掛けに母は決して答えなかった。ただ、俯いて涙する母に私はそれ以上何も聞けなかった。

 母は千葉に来る前は東京の小山内食品で勤めていたと聞いている。東京で働いていた母が職の少ない田舎に来て私を産んだ。おそらく小山内進から身を隠す為だ。
 私は小山内がパワハラとセクハラの延長で母に関係を迫ったと悟った。

♢♢♢

「私は食品会社の社長で終わらず、城ヶ崎グループのように手広く事業をやりたいと思っているんだ。未来には娘としてその助けをして欲しい」

 城ヶ崎グループのように手広く事業をやりたいと野望を淡々と話す小山内社長に私は嫌悪感を抱いた。

 彼はここまで私の存在を無視して来たのに、利用できると思って擦り寄って来ている。
 ふと窓の外を見ると、車が立派なホテルの前に到着していた。

「ここも城ヶ崎グループの高級ラインのホテルだ。城ヶ崎グループは核となるアパレル事業を始め、ホテル、レジャー施設、クルーズ事業と手広い。まさに日本、いや世界的な企業だ」
 うっとりと呟いた小山内社長は私をエスコートしようと手を伸ばしてきた。
私はその手を振り払い自分でリムジンを降りる。

 私はホテルのスイートルームに案内され、黒服に無理矢理ソファーに座らせられた。真っ白な革張りのソファーは趣味がよく、私は冬馬さんのモノトーンのオシャレな部屋を思い出していた。

「小山内社長。私を利用しようと思われているようですが、私は城ヶ崎冬馬さんとは何の関係もありません。それに、母のお葬式にも来なかった貴方を父親だと認める気もありません。もう、私に関わらないでください!」
「父子関係はDNA鑑定をすれば、認められると思うよ」

 クスクス笑いながら言う小山内社長を、徹底的に糾弾してやろうと思った。

「父子関係? その前に認められるのは小山内社長のパワハラ、セクハラではないですか? 部下であった母を無理矢理、強姦し孕ませたのでしょう? 私は徹底的に追求しますよ。証拠は絶対に残っているはずです」
 私の強い言葉に小山内社長の顔が強張る。

「私たちは親子なのだから、おいおいじっくり話そう。実はドバイから客人を招いているから相手をしていて欲しいんだ。私は用事があって少し外さなくちゃいけなくてね」

「相手をするにも、私はアラビア語ができません。せめて辞書でも貸して頂けませんか?」
「適当に座って笑ってれば良いだけなのに、生真面目なところが母親そっくりだ。後で持って来させる」
 小山内進は含み笑いを浮かべながら去って言った。

 スマホを見ると冬馬さんから着信がたくさん入っているのに気づき、慌てて折り返しの電話を掛けた。

「未来、今、どこにいる?」
「私のお父さんと名乗る方に、城ヶ崎グループのホテルに連れて来られ⋯⋯」
 私が言い切らない内に電話は切られてしまった。
(冬馬さん?)

 扉をノックする音と共にホテルマンが「お客様5分後には来られるようです」と伝えて来てアラビア語の辞書を持ってきた。私は自分の脳がスーパーコンピューター化している事に感謝した。

 私は辞書をめくり、一気にアラビア語をマスターする。
 五分も経たない間に、アラビアンナイトに出てくる王子みたいな格好をした男性が部屋に入って来た。

 王子なのか、石油王なのか分からないが大きな宝石のついた仕立ての良い服を着ていて如何にもなアラブの大富豪だ。

 無言で私を眺めて舌舐めずりをする彼を気色悪く感じる。それでも、頼まれて請け負った職務をまずは全うしようと思った。

『小山内はしばらく席を外すそうです』
 私の言葉にアラブの富豪は少し驚いた顔をする。

『慰み者にして良いと聞いていたが、言葉が喋れるのか。それならば、私の第三夫人にしてやっても良いぞ』
 私は瞬時に父親に売られたのだと察する。慌てて扉の方に向かうも黒服のガタイの良い二人の男にに進路を塞がれていた。後ろのアラブの富豪は徐に服を脱ぎながら、近づいて来る。私は自分の身にこれから何が起こるのかを理解して恐怖で震えた。

「お願い! そこをどいて!」
 必死に訴えるも黒服の二人は無表情で首を振る。
 その時、突然扉が開いた。

「冬馬さん!」
 スーツ姿の冬馬さんが右手にマスターキーのようなものを持っているのが見えた。
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