10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ

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30.鬼畜社長(冬馬視点)

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 ついに俺は未来と結婚するチケットを手に入れた。早速、牽制する意味で俺は江夏爽太を『ブルーミング』の副社長室に呼んだ。

 扉をノックすると、江夏爽太が俺を見て営業スマイルを浮かべる。俺と彼との間には色々あったのに、全く何事もなかったように振る舞う彼は曲者だ。

「城ヶ崎副社長、ご無沙汰しております」

「江夏さん、今日はわざわざ弊社まで足を運んでくれてありがとう。まずは、未来が刺されそうになったのを守ってくれたお礼を言わせてくれ」
「いえ、当然です。彼女は俺にとって大切な方なので」

 俺の中で非常階段で未来を抱きしめていた時の江夏爽太のヒーロー面が蘇る。
「それから、この間は熱がある未来を実家まで送ってくれてありがとう」
「城ヶ崎副社長に感謝される事ではありません。俺が彼女を守りたくてした事です」

 めちゃくちゃ生意気な事を言われてカチンと来た。しかし、彼は俺にとって既に敵ではない。一撃で倒せる武器を俺は持っている。

(やはり、コイツを証人に選んで正解だ)

「今度社長に就任されるということでおめでとうございます。それと、札幌異動の件白紙にして頂きありがとうございます」
「大切な妻を拉致されても困るからな」
「妻?」

 ポーカーフェースだった江夏颯太の表情が崩れる。

「今後も妻の未来が危ない時には盾になってくれ」
 命懸けで垢の他人を守れる人間はごく一部だ。おそらく彼は桜田未来限定でなら命を賭ける。
(下手なSPより役に立つ!)

「言われなくてもそうします」
「ただし、未来への恋愛感情は捨ててね」
「それは、自分ではどうにもならないので無理です」
「今度は海外の支店にでも飛ばすように圧力でも掛けようかな」

 俺の言葉を江夏颯太は冗談と受け取ったのか笑っている。

 俺は引き出しから徐に婚姻届を出した。彼は目を丸くして、まじまじとそれを見ている。
「桜田未来、本人の直筆だ。中学の同級生なら分かるだろ」
「いや、直筆かどうかなんて疑ってませんよ。城ヶ崎副社長が私文書偽造するとも思ってません」
「証人欄に署名をしてくれ」
「俺にこの欄に署名しろと? 城ヶ崎副社長、心を抉るような鬼畜な判断に言葉が出ません」
 
 俺はガタガタ言っている、彼にボールペンを渡しもう一度署名するように促す。
「口を動かす必要はない。手を動かせ」
 彼は諦めたようにボールペンを握ると、父の隣の証人欄に署名した。

「江夏爽太、城ヶ崎グループの会長である父と共に、俺と未来の結婚を祝福してくれてありがとう」

 俺の言葉に江夏爽太は口をパクパクさせていた。これは、今度、未来に手を出そうとしたら社会的に抹殺するという警告だ。

 彼は深呼吸すると、営業スマイルを作った。
「桜田未来さんは、俺にとって特別な方です。彼女の新しい門出の証人にして頂きありがとうございます。お二人の幸せを心より願ってます」
「ありがとう。誰よりも未来を幸せにするよ」
 俺と彼はお互い顔を見合わせると、なぜか笑い合った。
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