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戦闘要請のない日常業務は定時に出社してその日のスケジュールを確認。
緊急案件等無い日は基本タワーで待機。
タワーは職場事務所みたいな感じで、怪獣体が出現するとすぐに連絡が入り出動要請が出て、出現ポイントまで連れて行ってくれるのだ。
勿論、社食やジム、コンビニや仮眠室、シャワールームもあって余裕で住める。
いや、住まないけどそれくらい施設が揃っている。
タワーは各地に所在していて災害レベルの怪獣体が出現したら出張させられることもある。
タワーとはそんな感じの複合施設だ。
僕は昨日の戦闘に関する内容の精査やセンチネルに関する状態や行動の変化等のレポート作成をしていた。
それ以外は義務としての他のセンチネルとのガイディングや調整、タワー内にある施設で自由に過ごすことが出来る。
センチネルは整体やメンタルクリニックの通院義務や戦闘訓練義務もある。
レポート作成は無いがガイドよりは暇ではないらしい…
センチネルとガイドはフロアを別にしていて待機中は偶然会うということはほとんど無い。
僕はガイド専用フロアのデスクワーク中心に待機できる部屋で黙々とシステムパッドへ入力していると画面右下に業務連絡のポップアップが入る。
【新人マッチングテスト】の連絡が来た。
ボンド(刻印)をしているガイド以外への年に一度の恒例行事だ。
これに関しては専属のバディがいるいない関係なくガイド全員が受けないといけない義務でもある。
このテストでマッチング率が高いとバディを組まされる。
マッチング率がそんなに高くなくても40%を超えるとガイディングパートナーとなり定期的なガイディングが組み込まれる。
ガイディングは定期医療行為やメンタルケアみたいなものなのだと考えると分かりやすいかもしれない。
「今年は何人いるんだ?…んー……ん?うわっ…A級1人いるんじゃん…あとは……全部で32人か……今回も1週間位かかりそうだなぁ」
同じガイド待機部屋で比較的大き目のソファに寝転がり電子新聞を読んでいた同僚B級ガイドのズウォンさん25歳独身男性専属バディ無しガイディングパートナー10人が独り言のように僕に話しかけていた。
「テディよりまともなセンチネルと巡り合いたいですね」
「………………聞かなったことにするわ…」
「テディよりま!と!も!な!センチネルと!巡り合いたいですね!」
「お前…」
「なんですか?何度も解消申請出してるのに棄却される身になりたいですか?」
「…………いや…いやぁ~…80%超えるマッチングなんて早々いないだろぉなぁ~ははは」
「去年も同じ会話したような気がしますが?」
「あ……だな、俺も思い出したわ…まぁ去年よりはお前落ち着いてる感じするけどな」
「諦めるという事を覚えたので!」
「……俺もそろそろいい加減ソコソコ高いマッチング率のセンチネルに出会えないかなぁ…」
「ズウォンさん…最高マッチングどれくらいなんすか?」
「……48」
「え?まじですか?」
「まじだ…俺はお前と同じA級ガイドレベルなのに実績が詰めない……だから…上がれない…」
「……今年はバディ候補居ると良いですね…」
どんどん肩が落ちていく姿を見ながら去年も同じ会話をしたのを再度思い出した。
ズウォンさんは落ち込んだと思ったらふと何かを思い出したようにこちらを見た。
「でさ、ユータはなんでそんなに王子様を嫌ってるんだ?見た目良いから多少の性格悪さなんか目をつぶってやれよ」
「はぁ?……」
僕はズウォンさんをこれでもかと睨みつけた。
「で、王子様以外のガイディングパートナーは何人だ?」
バディは戦闘中も一緒にいないといけないがパートナーは通常勤務の際は同行しないガイディング対象のセンチネルのことだ。
40%以上のマッチング率でパートナー候補となり、ガイド1人に対してだいたい5人から10人のパートナーが宛がわれる。
「僕は5名ですよ。同行が多いのでこれ以上増やせられないですから」
「だよなぁ…俺なんか10人!MAXだぞ!本部の人使いの粗さ!」
「同行が無いだけ定時で帰れるだけ本当に本当にマジでマシですよ!こっちは予定も何も立てられないんですから……推しのライブさえも行けない…」
半年前に好きなアイドルグループのFC限定ライブに奇跡的に当たったプレミアライブの日。
ライブは夕方だったから万が一戦闘要請が来ても殆どが昼だったので大丈夫だろうとタカを括っていたのだが…
最悪なことにライブ会場に向かう予定の5分前に戦闘要請が来たのだ。
その時はさすがに一度発狂した。
おもいっきり叫んだ。
しかも戦闘場所が担当地区のギリギリ端っこ!!!
何をどう頑張ってもライブに行けないのは決定。
一気に生きる気力をなくし、プレミアチケットをドブに捨てる行為に体の中がザワザワして落ち着かなくなり、その日の戦闘内容が一切思い出せない位のショックを負った。
その日以来、決して特別な用事を入れまいと決めたのを思い出した。
「あ…すまん…」
ズウォンさんも当時の僕の落ち込み具合を知っているのでそれ以上は言ってこなかった。
暫く僕らは会話も無くそれぞれの作業を黙々と熟す。
11時になるとズウォンさんは定期ガイディングの時間になったらしく部屋から出て行った。
僕一人になったガイド専用待機室だったが…気が付くと居た。
いつから居たのかは不明。
何の音もさせずに僕の左斜め向かいの視界ギリギリあたりの椅子に座っていた。
テディが。
気付いた瞬間大きなため息が反射的に出る。
「ここにセンチネル様が立ち入ることは禁止されているんですが!」
「…………規則ではない」
「ローカルルールとしてですね!!てかさ、ここにお前がいると他のガイドがゆっくりできないだろ?帰れよ!」
「今はユータしかいない」
「今から誰か来るかもしれないだろ!」
「その時は帰る」
「…………はぁ…勝手にしろ」
以前は他のガイドもいる中にやって来たので”人気者”のテディはハーレム状態になり迷惑しかなかった。
ガイドに囲まれてるテディを横目に一瞬でも嫌な顔をしたのがバレたら「バディ解消しろ」と怒られた。
なので解消しようとしたのに上から解消出来ないと言われましたとばか正直にガイドに言ったらもっと怒られた。
なので面倒な事にしかならないのでここには来るなと念を押しておいたのだが…。
1人だったから来ただと??
こいつ…透視能力でもあるのか?
緊急案件等無い日は基本タワーで待機。
タワーは職場事務所みたいな感じで、怪獣体が出現するとすぐに連絡が入り出動要請が出て、出現ポイントまで連れて行ってくれるのだ。
勿論、社食やジム、コンビニや仮眠室、シャワールームもあって余裕で住める。
いや、住まないけどそれくらい施設が揃っている。
タワーは各地に所在していて災害レベルの怪獣体が出現したら出張させられることもある。
タワーとはそんな感じの複合施設だ。
僕は昨日の戦闘に関する内容の精査やセンチネルに関する状態や行動の変化等のレポート作成をしていた。
それ以外は義務としての他のセンチネルとのガイディングや調整、タワー内にある施設で自由に過ごすことが出来る。
センチネルは整体やメンタルクリニックの通院義務や戦闘訓練義務もある。
レポート作成は無いがガイドよりは暇ではないらしい…
センチネルとガイドはフロアを別にしていて待機中は偶然会うということはほとんど無い。
僕はガイド専用フロアのデスクワーク中心に待機できる部屋で黙々とシステムパッドへ入力していると画面右下に業務連絡のポップアップが入る。
【新人マッチングテスト】の連絡が来た。
ボンド(刻印)をしているガイド以外への年に一度の恒例行事だ。
これに関しては専属のバディがいるいない関係なくガイド全員が受けないといけない義務でもある。
このテストでマッチング率が高いとバディを組まされる。
マッチング率がそんなに高くなくても40%を超えるとガイディングパートナーとなり定期的なガイディングが組み込まれる。
ガイディングは定期医療行為やメンタルケアみたいなものなのだと考えると分かりやすいかもしれない。
「今年は何人いるんだ?…んー……ん?うわっ…A級1人いるんじゃん…あとは……全部で32人か……今回も1週間位かかりそうだなぁ」
同じガイド待機部屋で比較的大き目のソファに寝転がり電子新聞を読んでいた同僚B級ガイドのズウォンさん25歳独身男性専属バディ無しガイディングパートナー10人が独り言のように僕に話しかけていた。
「テディよりまともなセンチネルと巡り合いたいですね」
「………………聞かなったことにするわ…」
「テディよりま!と!も!な!センチネルと!巡り合いたいですね!」
「お前…」
「なんですか?何度も解消申請出してるのに棄却される身になりたいですか?」
「…………いや…いやぁ~…80%超えるマッチングなんて早々いないだろぉなぁ~ははは」
「去年も同じ会話したような気がしますが?」
「あ……だな、俺も思い出したわ…まぁ去年よりはお前落ち着いてる感じするけどな」
「諦めるという事を覚えたので!」
「……俺もそろそろいい加減ソコソコ高いマッチング率のセンチネルに出会えないかなぁ…」
「ズウォンさん…最高マッチングどれくらいなんすか?」
「……48」
「え?まじですか?」
「まじだ…俺はお前と同じA級ガイドレベルなのに実績が詰めない……だから…上がれない…」
「……今年はバディ候補居ると良いですね…」
どんどん肩が落ちていく姿を見ながら去年も同じ会話をしたのを再度思い出した。
ズウォンさんは落ち込んだと思ったらふと何かを思い出したようにこちらを見た。
「でさ、ユータはなんでそんなに王子様を嫌ってるんだ?見た目良いから多少の性格悪さなんか目をつぶってやれよ」
「はぁ?……」
僕はズウォンさんをこれでもかと睨みつけた。
「で、王子様以外のガイディングパートナーは何人だ?」
バディは戦闘中も一緒にいないといけないがパートナーは通常勤務の際は同行しないガイディング対象のセンチネルのことだ。
40%以上のマッチング率でパートナー候補となり、ガイド1人に対してだいたい5人から10人のパートナーが宛がわれる。
「僕は5名ですよ。同行が多いのでこれ以上増やせられないですから」
「だよなぁ…俺なんか10人!MAXだぞ!本部の人使いの粗さ!」
「同行が無いだけ定時で帰れるだけ本当に本当にマジでマシですよ!こっちは予定も何も立てられないんですから……推しのライブさえも行けない…」
半年前に好きなアイドルグループのFC限定ライブに奇跡的に当たったプレミアライブの日。
ライブは夕方だったから万が一戦闘要請が来ても殆どが昼だったので大丈夫だろうとタカを括っていたのだが…
最悪なことにライブ会場に向かう予定の5分前に戦闘要請が来たのだ。
その時はさすがに一度発狂した。
おもいっきり叫んだ。
しかも戦闘場所が担当地区のギリギリ端っこ!!!
何をどう頑張ってもライブに行けないのは決定。
一気に生きる気力をなくし、プレミアチケットをドブに捨てる行為に体の中がザワザワして落ち着かなくなり、その日の戦闘内容が一切思い出せない位のショックを負った。
その日以来、決して特別な用事を入れまいと決めたのを思い出した。
「あ…すまん…」
ズウォンさんも当時の僕の落ち込み具合を知っているのでそれ以上は言ってこなかった。
暫く僕らは会話も無くそれぞれの作業を黙々と熟す。
11時になるとズウォンさんは定期ガイディングの時間になったらしく部屋から出て行った。
僕一人になったガイド専用待機室だったが…気が付くと居た。
いつから居たのかは不明。
何の音もさせずに僕の左斜め向かいの視界ギリギリあたりの椅子に座っていた。
テディが。
気付いた瞬間大きなため息が反射的に出る。
「ここにセンチネル様が立ち入ることは禁止されているんですが!」
「…………規則ではない」
「ローカルルールとしてですね!!てかさ、ここにお前がいると他のガイドがゆっくりできないだろ?帰れよ!」
「今はユータしかいない」
「今から誰か来るかもしれないだろ!」
「その時は帰る」
「…………はぁ…勝手にしろ」
以前は他のガイドもいる中にやって来たので”人気者”のテディはハーレム状態になり迷惑しかなかった。
ガイドに囲まれてるテディを横目に一瞬でも嫌な顔をしたのがバレたら「バディ解消しろ」と怒られた。
なので解消しようとしたのに上から解消出来ないと言われましたとばか正直にガイドに言ったらもっと怒られた。
なので面倒な事にしかならないのでここには来るなと念を押しておいたのだが…。
1人だったから来ただと??
こいつ…透視能力でもあるのか?
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