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テオドア・オールデンと出会ったのは約2年前の【新人マッチングテスト】の時だった。
当時の新人センチネルは8名。
平均人数より少ないがA級1名B級が6名C級1名、A級が一人でもいれば上々なのである意味豊作年だった。
当時は専用バディのいないガイド2年目のやっと仕事に慣れてきた頃だったので、ガイディングパートナーも7名で毎日の仕事がやっと熟している日々だった。
勝手に決められたマッチングテスト日程に従い日常業務プラス2~3日に1人~2人のマッチングテストを行い最終日にA級のセンチネルとのテストになった。
それまで別のガイドからA級の話を聞くも殆どの意見が”とんでもない容姿”だけど”ヤバい位合わない”という。
とんでもない容姿とは…とんでもない美形なんだろうとは想像がつくが”ヤバい位合わない”とは…マッチングのパーセンテージの事だろうか…。
その日はどんよりと1日中曇っていた。
テスト開始時間は午後1時。
昼食後気持ち早めにテスト専用のブースに行くと既に彼は座って待っていた。
まだ時間になっていないのを確かめた。
「あ、お待たせしました。ガイドの五十嵐 勇太です。」
時間には遅れていないので軽く頭を下げながら室内へ移動した。
彼の前にあるガイド専用の椅子に座りマッチングテストに必要な開始前チェックを確認する為スマートパッドを手にする。
マッチングテストの前には必ずガイド側から注意事項の説明と今の体調を目視確認も含めて入力をしないといけない。
「毎回同じことを聞いていると思うけど規則なので説明させてもらいます。」
「…………」
ーーーー沈黙。
本来なら「はい」とか「わかりました」とかの返事があるはずだが…ここで一言もらえないと同意とみなされない可能性がある。
20秒程度待っていたが、何も聞こえなかった。
僕は顔を上げ、目の前に座っている新人センチネルの方を初めて見る。
観た瞬間「あ…」と言葉が出た。
いや、出てしまった。
健康的に見える褐色の肌にどう表現したら良いかわからない位の神に愛されたとでも言うのだろう、大変整った顔立ちに、吸い込まれそうな程綺麗な碧い目とキラキラと室内の光にも反射する銀に近い金髪が神秘的な感じに見える。
あえて例えるなら【健康的な天使】だろうか。
他のガイドが言っていた”とんでもない美貌”が僕を…睨んでいた。
上目遣いで眉間には皴が寄り、かなり怒らせたかのような感じで睨んでいる…。
「……あ、……何か悪いことした?」
そんな初対面で睨まれるようなことは何もしていないので聞いてみる。
「…………いや………」
小さく彼は一言言うと僕を睨むのを辞めてそのまま下を向いた。
僕からは彼の頭頂部しか見えない状態になった。
「あー…そっか……ならテスト開始しても大丈夫かな?規則なので説明を今からするよ?」
「…………はぃ…」
かすかに聞こえた返事。
それ以降何も聞こえない。
室内の静まり返った沈黙が重い…。
なんだろう…この何とも言えない居心地の悪さ!
「これから僕とオールデン君のマッチングテストを行います。これには相性が有るのでテスト開始後に気持ち悪くなったり痛みを感じたらすぐに言ってください。」
「……………」
「えー…次に絶対にやってはいけない行為についてですが…テスト中、急に手を放すことは禁止です。接触拒否はお互いに痛みを伴うのと機械の故障の原因となります。不快感や痛みを感じたら言葉で言ってください。まぁ痛み出したら僕も痛いからすぐに停止させるからね。」
「……………」
「じゃあ……テスト開始しても?」
「……………」
無言だった。
無視しているわけではなさそうだが彼はあれから下を向いたままだ。
「…オールデン君?…何かある?」
なんとなく体調が悪そうな気配がする。
「……あっ……いや…」
やっと聞こえる程度の声で返答が返ってきた。
この声量が彼の普通なのだろうか…。
「では、端末に今の体調報告を入力して…終わったら合図してくれる?」
出来るだけゆっくり優しく話しかけた。
ただ単に緊張しているだけなのかもしれない。
マイナスではなくプラスに考えるように昔から教えられていたので、他のガイドが言っていた言葉は一旦除外した。
当時の新人センチネルは8名。
平均人数より少ないがA級1名B級が6名C級1名、A級が一人でもいれば上々なのである意味豊作年だった。
当時は専用バディのいないガイド2年目のやっと仕事に慣れてきた頃だったので、ガイディングパートナーも7名で毎日の仕事がやっと熟している日々だった。
勝手に決められたマッチングテスト日程に従い日常業務プラス2~3日に1人~2人のマッチングテストを行い最終日にA級のセンチネルとのテストになった。
それまで別のガイドからA級の話を聞くも殆どの意見が”とんでもない容姿”だけど”ヤバい位合わない”という。
とんでもない容姿とは…とんでもない美形なんだろうとは想像がつくが”ヤバい位合わない”とは…マッチングのパーセンテージの事だろうか…。
その日はどんよりと1日中曇っていた。
テスト開始時間は午後1時。
昼食後気持ち早めにテスト専用のブースに行くと既に彼は座って待っていた。
まだ時間になっていないのを確かめた。
「あ、お待たせしました。ガイドの五十嵐 勇太です。」
時間には遅れていないので軽く頭を下げながら室内へ移動した。
彼の前にあるガイド専用の椅子に座りマッチングテストに必要な開始前チェックを確認する為スマートパッドを手にする。
マッチングテストの前には必ずガイド側から注意事項の説明と今の体調を目視確認も含めて入力をしないといけない。
「毎回同じことを聞いていると思うけど規則なので説明させてもらいます。」
「…………」
ーーーー沈黙。
本来なら「はい」とか「わかりました」とかの返事があるはずだが…ここで一言もらえないと同意とみなされない可能性がある。
20秒程度待っていたが、何も聞こえなかった。
僕は顔を上げ、目の前に座っている新人センチネルの方を初めて見る。
観た瞬間「あ…」と言葉が出た。
いや、出てしまった。
健康的に見える褐色の肌にどう表現したら良いかわからない位の神に愛されたとでも言うのだろう、大変整った顔立ちに、吸い込まれそうな程綺麗な碧い目とキラキラと室内の光にも反射する銀に近い金髪が神秘的な感じに見える。
あえて例えるなら【健康的な天使】だろうか。
他のガイドが言っていた”とんでもない美貌”が僕を…睨んでいた。
上目遣いで眉間には皴が寄り、かなり怒らせたかのような感じで睨んでいる…。
「……あ、……何か悪いことした?」
そんな初対面で睨まれるようなことは何もしていないので聞いてみる。
「…………いや………」
小さく彼は一言言うと僕を睨むのを辞めてそのまま下を向いた。
僕からは彼の頭頂部しか見えない状態になった。
「あー…そっか……ならテスト開始しても大丈夫かな?規則なので説明を今からするよ?」
「…………はぃ…」
かすかに聞こえた返事。
それ以降何も聞こえない。
室内の静まり返った沈黙が重い…。
なんだろう…この何とも言えない居心地の悪さ!
「これから僕とオールデン君のマッチングテストを行います。これには相性が有るのでテスト開始後に気持ち悪くなったり痛みを感じたらすぐに言ってください。」
「……………」
「えー…次に絶対にやってはいけない行為についてですが…テスト中、急に手を放すことは禁止です。接触拒否はお互いに痛みを伴うのと機械の故障の原因となります。不快感や痛みを感じたら言葉で言ってください。まぁ痛み出したら僕も痛いからすぐに停止させるからね。」
「……………」
「じゃあ……テスト開始しても?」
「……………」
無言だった。
無視しているわけではなさそうだが彼はあれから下を向いたままだ。
「…オールデン君?…何かある?」
なんとなく体調が悪そうな気配がする。
「……あっ……いや…」
やっと聞こえる程度の声で返答が返ってきた。
この声量が彼の普通なのだろうか…。
「では、端末に今の体調報告を入力して…終わったら合図してくれる?」
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ただ単に緊張しているだけなのかもしれない。
マイナスではなくプラスに考えるように昔から教えられていたので、他のガイドが言っていた言葉は一旦除外した。
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