翼の民

天秤座

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クリスの受難

58 妄想を打ち砕く巨根

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 目の前で服を脱ぎ続ける、男へと戻ったカーソンにクリスは話しかける。

「あ、あの……カーソン?」
「ん? ああ、俺ってもうカーソンか」
「あ、あのさ……あたし、初めて……なの」
「? 初めてって、何がだ?」
「えっと……男と女が……こんな事……するの」
「?」
「あ、あの……優しく……してね?」
「? よく分かんないけど俺、クリスに優しくするぞ?」
「ね、ねえ? あたし……どうすれば……いいの?」
「動かないで、じっとしててくれ」
「うん。 あ、あまり……痛くしないでね?」
「?」

 カーソンは、クリスが何を言っているのかさっぱり分からなかった。


 服を全て脱いだカーソンは、今まで履いていた下着をクリスに手渡す。

「はいこれ、履いてくれ」
「…………へっ!?」
「……え?」
「何で……履くの?」
「何でって……何で?」
「えっ……だって……今からするん…でしょ?」
「? するって……何を?」
「えっ!?」
「え?」

 クリスは噛み合わない会話に、首をかしげた。

「あんた……あたしに何あげる……つもり…だったの?」
「下着と服」
「へっ!?」
「クリス欲しいって言ったから、俺脱いだ」
「あ……そ、そう言う事ね」
「あ。俺着てたやつ、やっぱり嫌か?」
「う、ううん! ありがとう! 着る着る!」
「良かった」

 クリスは、自分だけが勝手に性行為だと勘違いしていた事に気付き、恥ずかしがりながらカーソンから貰った下着を履き始めた。

 カーソンは目の前で着替え始めたクリスを見て、更に身体の違和感を感じる。

 裸のクリスを見て、何故か心が落ち着かなくなり、同時に股間が熱く感じ始める。


 ふと自分の股間を見たカーソンは、ビックリして叫ぶ。

「うわっ!? わっ!? 何だこれっ!」
「? どうしたの?」
「クリスっ! 俺、何か変になった!」
「変って……どう変になったの?」
「ちんちんが……変になった!」
「えっ!?」
「ほら、クリスも触ってみろ」
「えっ!? ちょっ……ひっ!?」
「何かちんちん、固くておっきくなっぷぁっ!?」
「きゃぁぁぁーっ!」

 パァンッ

 今日2回目のビンタが、カーソンの右ほっぺたに炸裂する。


 クリスは右手をカーソンに掴まれ、その股間にある猛り狂う物体を握らされた。

 右手に伝わった、ドクドクと脈打つ鼓動。

 親指と中指が触れた覚えの無いほど太く巨大化した、凶悪な物体。

 完全に不意を突かれたクリスは無意識に左手を動かし、最速、最短距離でカーソンの右ほっぺたに一撃を叩き込んだ。
 

 カーソンはたたらを踏んで尻餅をつき、ビンタされた右のほっぺたを押さえながら話す。

「……痛い」
「いっ、いきなり何てモン触らすのよっ!」
「……ごめん」
「なっ、何なのよそれっ!? そんなモン……反則じゃないのよっ!」
「反則?」
「女ぶっ殺す気かっ!?」
「? 俺、殺さないぞ?」
「そんなモンぶち込まれたら……死んじゃうでしょうがっ!」
「クリス……何で怒るんだ?」
「うっ、うっさいっ!」

 クリスはカーソンに握らされた物体に底知れぬ恐怖を覚え、混乱しながらカーソンを怒鳴りつけた。


 クリスは尚も目の前で猛り狂うカーソンの物体を、顔面蒼白になりながら見つめて思う。

(なっ……何なのよコレっ!?
 さっきのって……起ってないおっきさだったのっ!?
 無理無理! こんなの挿入れたら死んじゃう!
 ばっ、倍以上じゃないのよっ!
 なめてた……完全に……男なめてた!
 この太さで……この長さ?
 ま……薪突っ込まれるようなモンじゃないのっ!
 死んじゃう……こんなの……絶対無理っ!
 こんなの挿入れられたら……死ぬ! 殺される!)

 クリスは両手でカーソンの股間の物体を再現し、自分の下腹部にあてがう。

 そして何度もフルフルと首を振り、余りにも巨大なその物体に恐怖した。


 カーソンは立ち上がり、残りの服をクリスに手渡そうとする。

「クリス、はいこれ……」
「ひっ!? ひいぃーっ!?」
「? どうした?」
「嫌っ! お願いっ! 近寄らないでっ!」
「……えっ?」
「お願い許してっ! あたしまだ心の準備出来て無いのっ!」
「? クリス?」
「ごめんなさいっ! どう考えても無理っ! 絶対挿入いんないっ!」
「クリス……俺の事、嫌いになった?」
「ちっ、違うっ! 違うけど許してっ!」
「何でクリス、怖がってるんだ?」
「あんたのおちんちん無理っ! そんな化け物みたいなの無理っ!」
「……化け物…………そっか」
「あっ!? ちっ、違うのっ! カーソン化け物じゃないからっ!」
「俺……化け物。ちんちんも……化け物……」
「ごめんっ! そんなつもりで言ったんじゃ無いのっ!」
「…………」
「ホントにごめんっ! だってあんたのおちんちん……おっきすぎっ!」
「…………」
「あたしには……無理……だもん……それ」
「クリスごめん。俺、化け物でクリス怖がらせた」
「いや、違うの……あたしが……ホントにごめん」
「クリス、服……着て」
「……うん」

 カーソンはくるっと振り返り、クリスに背中を向けた。


 クリスは無言で服を着ながらカーソンに話す。

「……ごめんね。あたし、混乱しちゃっちゃ・・の」
「……うん」
「あんたのおちんちん……おっきすぎて、怖いの」
「……うん」
「でも、化け物なんて……絶対思ってないよ?」
「…………」
「あたし、そんなにおっきなおちんちん、初めて見てさ」
「…………」
「あんたに襲われたら……殺されちゃうって思ったの」
「……俺、クリス襲わない」
「で、でもさ。あんた今、あたしに変な気持ち無い?」
「……うん。変な気持ち……ある」
「その気持ちが止められなくなっちゃっちゃ・・らさ、あたしあんたに襲われちゃう」
「この変な気持ちしてる俺、クリス怖い?」
「うん……怖い」
「じゃあ俺、もう絶対変な気持ちにならない」
「あ、いや……それはそれで……困るかなぁ?」
「俺、クリスと離れたほう……いい?」
「それは嫌っ!」
「……俺もやだ。クリスと一緒がいい」
「あのさ……そのおちんちん……ちっちゃくなんない…かな?」
「……もう、ちっちゃくなった」
「ホント?」
「うん。クリスに嫌われたって思ったら、ちっちゃくなった」
「じゃあ……こっち見て?」
「……見れない」
「何で?」
「クリス見て、またちんちんおっきくなったら……やだ」
「おっきくなっても……いいよ?」
「でも、クリスまた怖がらせる」
「もう大丈夫だよ? おちんちん見ても、大丈夫!」
「……本当か?」
「うん! だってあんたのおちんちんだもん! もう怖くないよ!」
「じゃあ……」

 カーソンはくるっと振り返り、クリスを見つめる。


 クリスは自分を見つめているカーソンに聞く。

「どう? おっきくなりそう?」
「……ううん、おっきくならない」
「そっか。あたしが服着てると大丈夫そうだね?」
「うん」
「ちっちゃくなってるね。……それでも充分おっきいけど」
「うん、大丈夫」
「じゃあ、ちょっと実験してみてもいい?」
「? 実験?」
「……ほりゃっ!」
「…………あっ、またおっきくなった」
「おーっ! あたしの裸見ると、おっきくなるんだ?」
「……俺のちんちん、不思議」
「そうだね、不思議だね?」
「あ、ちっちゃくなった」
「へぇー、裸じゃないと、おっきくならないんだ?」
「うん。俺のちんちん、クリスの裸見た時だけおっきくなるみたいだ」
「男って面白ーい! ほりゃっ!」
「……なあクリス? 俺のちんちんで遊んでないか?」
「うん、遊んでる。ほりゃっ!」
「……なあ? 俺、そろそろここから出たい」
「もうちょっとだけ……ほりゃっ!」
「クリス……」
「あはっ、何これ楽しい!」

 クリスは上着を持ち上げ、胸をカーソンに見せる。

 カーソンの股間はみるみると大きくなる。

 胸をしまうと徐々にしぼむ。

 胸を見せると再びいきり起つ。

 クリスは面白がって暫くの間、カーソンの股間を大きくしたり小さくして遊んだ。


 カーソンは夢中になって遊んでいるクリスに、また別の不思議な気持ちが芽生えている事に気が付く。

 楽しそうに遊んでいるクリスを見ると、何故か胸がドキドキする。

 ティナだった頃には全く感じなかったのに。

 しかも治る気配が一向に無い。

 この、クリスを見ると胸がドキドキする気持ちを、カーソンは不思議に思った。



 
 クリスはカーソンの股間遊びに満足し、服を整えながら話す。

「よし、見慣れた。そろそろここから出よっか?」
「うん。俺のちんちん、もう慣れたか?」
「おっきいだけで害無さそうね。挿入れるのはまだ抵抗あるけど」
「? 俺のちんちん、クリスに挿入れる? どこに?」
「あんたにはまだ早いよ。気にしないで」
「うん」
「そん時になったらさ……あたしから誘ってあげる」
「うん、分かった。クリスが誘うまで待つ」
「……何を待つのか分かって言ってる?」
「ううん、分かんない」
「駄目だこりゃ」

 カーソンは未だ男女の性に無関心であると知ったクリスは、これから時間をかけてゆっくり教えてやろうと思う。

 約束した以上、こいつからは絶対に襲ってこない。

 後は自分の気持ち次第、心の準備さえ出来ればいつでも処女を捧げる相手がいつも傍に居てくれる。

 自分の事を何よりも大切に想ってくれている男。

 これ以上無い理想の伴侶を手に入れる可能性が自分にはある。

 クリスは何としてでもカーソンから嫌われないよう、逃げられてしまわないよう、今後の言動に気をつけようと思った。



 クリスは床に散乱している鎧を手に取り、カーソンに渡しながら話す。

「あたしは服貰ったから大丈夫だけど、あんたすっぽんぽんのまんまじゃ駄目ね。この鎧着けてよ」
「うん、分かった」
「裸の上から鎧ってのも変だけど、我慢してね?」
「……うわっ、ちべてっ」
「ありゃー……裸に金属直は流石にまずいかな」
「ううん、我慢する」
「あたし下着だけでいいからさ、服返そっか?」
「ううん、いい。またちんちんおっきくなったらやだ」
「そう?」
「うん、大丈夫」

 カーソンは近衛の正装鎧を裸の上から直に着け、ひんやりとした感触を我慢しながら身に纏った。


 クリスは床に置いていた剣を取り、カーソンに話しかける。

「んじゃ、そろそろ行こっか?」
「うん」
「こんな死体だらけで臭いトコ、とっとと逃げ出さなきゃ」
「この死体達、俺達みたいに落とされたのかな?」
「多分ね。……ったく、人の事何だと思ってんのよあいつら!」
「島の奴ら、酷いよな?」
「ソーマのクソ馬鹿野郎さ、ここに落ちたら生きて出られないって言ってたよ?」
「えっ? 出口……無いのか?」
「きっとあるって! 大丈夫!」
「なあクリス? 俺、風の目で出口探してみていいか?」
「あ、それいいね! お願い」
「うん、分かった」
「闇雲に歩いて体力消耗するより、ある程度地形把握しといたほうがいいもんね」
「シルフ、頼む」

 カーソンはシルフと念じ、目を瞑って風の目で出口の捜索を始める。

 クリスはカーソンを座らせ、自分も横に座りながらシルフからの捜索結果を待つ。

 カーソンは目を瞑ったまま、風の目で落とし穴の内部を捜索している。


 待っている時間をもて余したクリスは、カーソンの顔をじっと見つめていた。

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