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37話 同中の4人
しおりを挟むトラウマってものは大なり小なり皆持ってるモノだと思う。
ドラマや漫画とかの物語だと、子供の頃に車に轢かれた事がきっかけで車が怖く感じるとか、犬に吠えられたのがトラウマになって大人になっても怖いと感じるみたいな?
幽霊や宇宙人みたいに人が見たこと無いモノ、認識出来ないモノを怖がるのもこれに似てると思う。
人は潜在的に怖いと思ったモノを無意識に怖がってしまうものなんだ。
昔に体験、あるいはテレビやネットなんかで見た怖いと思った記憶。
これが人の記憶に残り続けて怖いと思う意識に大きな影響を及ぼしてるんだと思う。
私の元カレ…大地智樹は過去に私にフラレたのが大きなトラウマになってしまってるらしく、今に至るまで彼女を作った事はないらしい。
いつかまた捨てられる…忘れられると彼は恋愛行為自体を怖がっている。
そんな彼によりを戻したいと一方的に願うのは傲慢なんだろうか…?
私は中学時代のあの充実した日々を取り戻したい。
それを自分で壊した事をずっと後悔している…。
あの時…中学2年のあの時…宮藤にひと目見惚れして片想いしなければ…私はずっとあの青春の中にいられた筈だから…。
宮藤に一目惚れして片想いし、その居ても立ってもいられない衝動を整理するために当時私は智樹との付き合いを制限した。
智樹とのデートや付き合いを減らしたんだ。
しかしそれは不誠実だ。
浮気と何ら違わない。
その時もまだ智樹を好きだと言う気持ちは残っていた。
ただ、宮藤への気持ちが大き過ぎて見え難くなってはいたけど…。
私はそんな智樹に不誠実な事をしたく無かった。
だから彼を傷つける事になってもちゃんと気持ちを伝えないといけないと…そう思った。
結果私は彼を傷付けた。
どう考えても…悪いのは私だ…。
智樹を私の都合で裏切って捨てる。
彼が傷付く事も織り込んで…私は宮藤への恋愛感情を優先した。
私が悪い…。
それは誰の目にも明らかだ。
もし智樹とまた付き合えるならどんなことだってやってやる…その覚悟だってある。
流石に智樹が犯罪紛いの提案や寝取らせみたいな事を提案して来たら怒るけど基本的にやってやるって気持ちだった。
全ては私の誠意を示すためだ。
しかし智樹はそんな事をさせたいわけでは無いらしい。
彼の中で私への怒りは本当に無いらしい。
どうしてなの…
何故智樹は私に怒りをぶつけてこないの?
怒ってる筈だ…
悲しんだ筈だ…
なのにどうして…?
「どったの~アンちゃん?生理?」
「も~違うよぉ~」
「あはは、わかてるわかってる、悩ましいお年頃だね~」
「も~何それ!」
彼女は私の友達の佐伯圭
この学校に転校してきて最初に友達になった同クラスの女子だ。
コミュ力に溢れていて、誰にでもずいずいと話しかけられる底抜けに明るい子
このクラスのムードメーカーみたいな立ち位置でいつも笑顔で明るくしている。
正直彼女の存在には助けられている。
彼女のお蔭でこのクラスにも早めに馴染めたんだから…
「もしかして恋煩いかな~お相手は噂の大地君?」
「え…あはは…」
「もう、酷いよね!杏朱ちゃんこんなに可愛いのに!何が不満なんだろね!」
「あはは…」
「そうだ!こんな時は頼れる我等が委員長様にご助力賜わろう!」
「え?委員長…?」
「うん!元女神で私等の委員長で彼氏と絶賛ラブラブ中の今、ノリにノッてる子」
「へ…へぇ…」
女神…この学校には女神なんて呼ばれてるすごく可愛らい子が5人もいるらしい。
その内の1人がこのクラスの委員長なんだとか?
この時の私はまさか自分がその女神にカウントされてるなんて夢にも思って無かった…
それはそれで問題なんだろうけど…私はその元女神の委員長さんに会って驚愕する事になる。
「おっす~九条ちゃん元気してる~」
「佐伯さんは相変わらず元気だね~」
「え…九条…さん…?」
「あ…久しぶりだね…仁ノ崎さん」
「あれ…2人共知り合い…?」
「あ…うん、同中でね…」
「おお!これは奇跡的だね!3人で仲良くしようよ!」
「あはは、」
「そうだね…」
「およ?なんかぎこちない…?」
……
まさか彼女とこんなところで再会するなんて…
まぁ…でもそれも当たり前か…
この学校にはあの宮藤雅人もいた。
今は登校拒否で家に引き籠もってるみたいだけどアイツもこの学校にいたんだ。
ならアイツの幼馴染のこの子もいて当然か…。
智樹に会いにわざわざ転校までしてきたのに…
会いたくない人達とも会ってしまうものだわ…。
「彼氏っていうのはもしかして…宮藤君?貴女達…付き合い出したの?」
「違うよ…私の彼氏は足立君…足立智春君…ほら、今大地君と仲良さそうに話してる男の子だよ」
「……」
智樹と話してるのは一見パッとしない平凡な男の子だ。
宮藤みたいな人を惹き付ける魅力は感じない。
幼い頃から宮藤にべったりだったっていうこの子が宮藤ではなくあの男子を恋人に選んだってこと?
「いやぁ!九条ちゃんのハートを射止めるとは足立君も罪作りな男だよね!2人のラブラブっぷりはうちのクラスの名物みたいになってるのよ?凄いでしょ!」
「どうして佐伯さんがそんな誇らしそうなのよ、もう…」
「へ~意外だった…てっきり今も宮藤を追いかけてると思ってた…」
「うん…雅君は、好きだった…昔はね…」
「今はもう…好きじゃないの?」
「うん…恋愛感情は無いって断言出来るよ…今の私は智君…足立君の事でいっぱいだから」
「そうなんだ…」
「まぁ…あれだけ熱烈アピールされたら女としては弱いよね!私もあんな風に迫られたいよ!」
「もう!佐伯さん!やめてよ!」
「うへへ!照れてる九条ちゃんは可愛いねぇ」
あれほど宮藤に固執してたのにこんなにもあっさりと諦められるモノなのだろうか?
まぁ…常にいろんな女の子を侍らせていたのだから真っ当な価値観を持つ子なら宮藤なんかとは付き合いたくないと考えるのは自然な事なんだけどね…。
そう言えば何故宮藤は引き籠もりになってるのだろう?
てっきりこの学校でもハーレムを作ってデレデレと鼻の下を伸ばしてると思ってたけど…
アイツの事だ。
この学校でも指折りの美人が囲んでたんじゃないの?
例えば例の五大女神とか?
今思い返すとアイツは登校拒否…引き籠もりになる前…ずっと1人だった…気がする…。
机に突っ伏して寝てるかスマホを見てるだけの寂しそうな姿しか記憶に無い。
中学の頃と同じで男友達もいないから基本的に1人で……だけど…うんと可愛らしくて綺麗な美人にだけはやたらとモテてたな。
それが男子から嫌われる直接の原因だったのだけど…。
「でも本当に意外…九条さんが宮藤君を諦めるなんて…昔の貴方なら考えられないわ」
「近過ぎると色々と見えて来る物なんだよ…それに私も意外だよ、…仁ノ崎さんだって雅君にかなりのめり込んでいたじゃない?今は大地君ひとすじみたいだけど、」
「私も貴方と同じね、幼馴染って訳でもないけど…一緒にいると…その…ね…」
「そうだね…」
「なっ…なんか話が暗いなぁ!そうだ!仁ノ崎さんは大地君のどんな所が好きなの!?聞いてみたいな!聞いてみたいな?」
「え…智樹のいいところ…その…照れるわね…」
「良いじゃん良いじゃん話しちゃいなょ!」
「えっとね…智樹はね、相手の事を思いやれる男の子なの……男ってね、大なり小なり身勝手な所があると思うの…あ、皆が皆、そんなのじゃないと思うけど、少なくとも私が今まで付き合って来た男は皆そうだった…
でも智樹は違うのよ…。
智樹は自分の事よりも相手の事を第一に考えれる所があるの、私ね、これは凄い事だって思うの…」
「確かにねぇ、誰でも自分中心に考えると思うもん」
「でしょ?昔の私はそんな智樹の優しさに甘えてたの、智樹なら許してくれる、智樹なら解ってくれるって自分勝手な考えを押し付けてたの…それを謝りたい…」
「……。」
「どうしたの?九条さん?」
「え?ああ…なんでもないよ…その許してもらえるといいね」
「うん。」
「大丈夫!きっと許してくれるよ!だって 仁ノ崎さんめっちゃ美人なんだし!」
「ありがとう…」
合成音のチャイムがなり、休み時間の終わりを生徒達に知らせる。
昼休みを経てこれからは午後の授業となる。
佐伯さんはいそいそと自分の席へと戻っていった。
私も戻ろうとしたけど九条さんに呼び止められる。
「なに?」
「放課後時間とれるかな?」
「空いてるけど…どうしたの?」
「…仁ノ崎さんに話しておこうと思う事があるの…」
「私に?」
「うん…仁ノ崎さんにとっても大事な事だと思うから…」
「わかった…」
いつになく真剣な顔で彼女はそんな事を言う…
断れない雰囲気だ…。
仕方ない…。
今日は智樹の尾行よりもコチラを優先した方が良さそうだ…。
何より私自身彼女が言う大事な話に強い興味を抱いていた。
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