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the 2nd day 不本意な夕食
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「早速応援を頼んだなんて、仕事が早いのね」
レナが胚芽パンにバターを塗りながら感心している。
何故か夕食も一緒に取ることになってしまい、カイはスープを飲みながら心なしか不機嫌そうだった。昼食と同じく、下座に座ってレナとは正面にならないように徹底している。
「いや、元々人員を増やす可能性も考えていたので、想定どおりではあるというか」
カイはそう言って食事を続けた。
相変わらず、単なる人参のポタージュでも今まで口にしたことの無い位に絶品だったが、なぜ王女と初日からこんなに食事を共にするのか理解ができないでいる。
「増員って……まだ肝心のお見合いの護衛には入ってもらっていないのに?」
一理ある主張をしてレナは首を傾げる。
「いや、夜間の護衛が要るため、シフトを組んで3時間ずつ夜の担当をする為でもある」
カイが言うと、レナは驚いた。
「夜の間中の護衛なんて、契約には入れてないから大丈夫よ?これまでも、何もなかった訳だし」
そう言って遠慮がちに夜の護衛を断ろうとする。
「いや、こういう仕事は昼間の護衛よりも、実際に気をつけるのは夜の方だったりすることもあるからな。完全に安全だと分かるまでは、夜の護衛が要るだろう」
カイは言い切った。譲るつもりはないらしいハッキリとした口調だったが、なんだ単なる胚芽パンまで美味いのか、と次の瞬間には感動していた。
「その……夜の護衛っていうのは……具体的にどこで……?」
レナは不安そうに聞く。
「いや、王女殿下の部屋まで立ち入ることはない。物音がすれば駆け付けられるように、この部屋の隣、その扉の前にでも待機しているつもりだ」
カイはレナの部屋のリビングから隣室に抜けられる扉を指差して言った。
「なんだか、悪いわ……徹夜なんて」
頼んでもいない護衛をさせるなど、想定外だった。しかも、カイは部下を連れてくると言う。
「悪いと思うなら、1人で不要な外出はしない、居る場所は常に俺が把握できるように、どこかに行く時には必ず護衛をつける、というのを徹底してください、王女殿下。お忍びで城下町に行きたいんだとか?1人で行くのだけは勘弁してください」
カイはメインの羊肉をナイフで切りながら皮肉っぽく言った。それを聞いたレナは、
「い、行かないわよ、1人でなんて」
と焦る。
誰が城下町に行きたいことを話したのだろうか。サーヤが怪しい。カイを連れて城下町に出てみたいと思っていたのが間接的に伝わったのだろうか。
(早速部下の応援が来るなんて、このハウザー団長を独り占めできる時間もあと少しというわけね)
なんだか急に時間が惜しくなっていた。これから色々なことを相談しようと思っていたのが、これからはカイの部下も護衛に入ることになるのだろう。
「ハウザー団長、これから部下の方も増員されることですし、もし……嫌でなければカイと呼んでも?」
遠慮がちにレナが聞くと、
「そこは許可を取るのか?」
と、カイは驚いていた。羊肉がフォークから落ちかけている。
「だって、そういう距離感は嫌いなのかと思って」
レナが弁解すると、
「どうやら、殿下の身の回りの使用人はファーストネームで呼ばれているようだし、それが普通なんだと思っていた。丁寧語を禁止した割に遠慮がちだな」
と言ってカイは羊肉を口に入れた。「ハーブか?初めて食べる味付けだな、旨い」と感動している。
「そうなの。お気付きの通り、身の回りのことをしてくれる者たちは名前を呼ぶ回数も多いし、ファーストネームで呼ぶようにしているのよ」
レナは説明して、カイの機嫌が悪くないことにホッとした。
「俺も部下はファーストネームの愛称呼びなんだ。合流したら、全員愛称呼びで構わない」
カイがそう言うと、レナはがっかりした。どうやらそこに特別感はないらしい。
「ええそうね、あなたの部下にも、そうさせてもらうわ、カイ」
レナは複雑な気分で食事に向き合った。
レナが胚芽パンにバターを塗りながら感心している。
何故か夕食も一緒に取ることになってしまい、カイはスープを飲みながら心なしか不機嫌そうだった。昼食と同じく、下座に座ってレナとは正面にならないように徹底している。
「いや、元々人員を増やす可能性も考えていたので、想定どおりではあるというか」
カイはそう言って食事を続けた。
相変わらず、単なる人参のポタージュでも今まで口にしたことの無い位に絶品だったが、なぜ王女と初日からこんなに食事を共にするのか理解ができないでいる。
「増員って……まだ肝心のお見合いの護衛には入ってもらっていないのに?」
一理ある主張をしてレナは首を傾げる。
「いや、夜間の護衛が要るため、シフトを組んで3時間ずつ夜の担当をする為でもある」
カイが言うと、レナは驚いた。
「夜の間中の護衛なんて、契約には入れてないから大丈夫よ?これまでも、何もなかった訳だし」
そう言って遠慮がちに夜の護衛を断ろうとする。
「いや、こういう仕事は昼間の護衛よりも、実際に気をつけるのは夜の方だったりすることもあるからな。完全に安全だと分かるまでは、夜の護衛が要るだろう」
カイは言い切った。譲るつもりはないらしいハッキリとした口調だったが、なんだ単なる胚芽パンまで美味いのか、と次の瞬間には感動していた。
「その……夜の護衛っていうのは……具体的にどこで……?」
レナは不安そうに聞く。
「いや、王女殿下の部屋まで立ち入ることはない。物音がすれば駆け付けられるように、この部屋の隣、その扉の前にでも待機しているつもりだ」
カイはレナの部屋のリビングから隣室に抜けられる扉を指差して言った。
「なんだか、悪いわ……徹夜なんて」
頼んでもいない護衛をさせるなど、想定外だった。しかも、カイは部下を連れてくると言う。
「悪いと思うなら、1人で不要な外出はしない、居る場所は常に俺が把握できるように、どこかに行く時には必ず護衛をつける、というのを徹底してください、王女殿下。お忍びで城下町に行きたいんだとか?1人で行くのだけは勘弁してください」
カイはメインの羊肉をナイフで切りながら皮肉っぽく言った。それを聞いたレナは、
「い、行かないわよ、1人でなんて」
と焦る。
誰が城下町に行きたいことを話したのだろうか。サーヤが怪しい。カイを連れて城下町に出てみたいと思っていたのが間接的に伝わったのだろうか。
(早速部下の応援が来るなんて、このハウザー団長を独り占めできる時間もあと少しというわけね)
なんだか急に時間が惜しくなっていた。これから色々なことを相談しようと思っていたのが、これからはカイの部下も護衛に入ることになるのだろう。
「ハウザー団長、これから部下の方も増員されることですし、もし……嫌でなければカイと呼んでも?」
遠慮がちにレナが聞くと、
「そこは許可を取るのか?」
と、カイは驚いていた。羊肉がフォークから落ちかけている。
「だって、そういう距離感は嫌いなのかと思って」
レナが弁解すると、
「どうやら、殿下の身の回りの使用人はファーストネームで呼ばれているようだし、それが普通なんだと思っていた。丁寧語を禁止した割に遠慮がちだな」
と言ってカイは羊肉を口に入れた。「ハーブか?初めて食べる味付けだな、旨い」と感動している。
「そうなの。お気付きの通り、身の回りのことをしてくれる者たちは名前を呼ぶ回数も多いし、ファーストネームで呼ぶようにしているのよ」
レナは説明して、カイの機嫌が悪くないことにホッとした。
「俺も部下はファーストネームの愛称呼びなんだ。合流したら、全員愛称呼びで構わない」
カイがそう言うと、レナはがっかりした。どうやらそこに特別感はないらしい。
「ええそうね、あなたの部下にも、そうさせてもらうわ、カイ」
レナは複雑な気分で食事に向き合った。
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