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the 23rd day 謎の男
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廊下や階段に野菜が溢れるルリアーナ城を、2人の華やかな男性が猛スピードで走り抜けている。使用人たちは何事かとそちらに視線を移すが、一瞬で居なくなった2人の影は目で追うのだけで精一杯だった。
「ロキ、このまま走り抜けるぞ。城下町がどの位の人で賑わっているか分からないから、城内は走れるだけ走ろう」
「分かってるよ。でもこのペースで走り続けたら到着した時に息が切れそう」
2人の騎士は廊下を一気に走り抜け、階段を3段ずつ降り、一気に城を抜けた。いつもよりも開かれた城門で自分たちの名前を言いながら走って通過し、城下町に出る。
「やっぱり、すんなりとは通れないか」
シンは大勢の人で賑わう露店の並んだ道を見て、一旦足を止めた。
「こっちだ。こんな日だから、狭い道を選んで通ってみよう」
ロキが脇道にシンを誘った。
「案内、任せても大丈夫か?」
「余裕」
2人は細い道を急ぐ。サラのことなので簡単にはやられないだろうと思いながらも、サラに偵察を任せた後悔が襲う。
「東方の兵か」
「一筋縄ではいかないね」
走りながら2人は嫌な展開になったなと顔を歪めた。外国人兵を雇う人間がこの平和なルリアーナにいる。そして敵は何人居るのか分からない。既に相手は城下町に到着してしまった。
最悪に近い展開に向かっているような、不気味な心地がした。
「単身で来たとは、思えないよね」
ロキが考えたくないなと思いながら、声に出す。
「そうだな」
2人は走るスピードを緩めずに住宅街を駆け抜ける。あと1区画で宿のある場所に着くというところで、人影に気付いて足を止めた。
視線の先に、特徴的な褐色の肌をした1人の男が見える。格好も、異国人らしく目立っていた。やけに堂々としている。
「あいつか」
シンは少し息を切らしながら、小さな声でロキに声を掛けた。
「間違いなさそうだね……。サラさんが心配だ」
シンは長剣を構え、ロキは背負っていた弓矢を持ち、ゆっくり弓を引いた。
「俺の仲間をどうした」
シンが大きな声で話しかけると、
「お前ら、何だ」
と褐色の肌をした兵士に尋ねられる。
「女性の仲間だよ」
ロキが立射の姿勢で兵士を狙いながら答えた。
「その人は……もう動けない」
兵士が言ったので、2人は嫌な予感に背筋が凍った。
「サラさんを、どうした……?」
シンは褐色の兵士に長剣を向けながらじりじりと間合いを詰める。
「さあ?」
兵士が笑ったところに、シンは最初の一太刀を振るう。兵士が曲刀でそれを受けると、ロキは兵士の右側に向け最初の矢を放つ。シンは兵士がその矢に気を取られた瞬間を狙って思い切り長剣を振り下ろした。
左肩にシンの攻撃が入ったが、浅い。すぐに曲刀が振りかぶられたのをシンが受け流すと、ロキの放った矢が兵士の左目に命中した。
視界の不自由さに体制を崩した隙を狙い、シンは長剣を振り下ろす。顔から首に入った一撃に、兵士は倒れた。
「1人だったら危なかったな……。なんか太刀筋が読みにくい奴だった……」
シンはそう言うとロキと宿の入口に向かう。そこには倒れて動けなくなっているサラが小さく呻いていた。
「サラさん!」
2人は駆け寄ってサラを起こした。
「ごめん…………足手まといになっちゃったわね……」
サラはそう言って悲痛な顔をする。
「どこをやられたんですか」
ロキに聞かれて、
「足と、手……だけかしらね」
サラは強がって笑った。他にも怪我をしていそうだ。
「一旦城に戻りましょう。サラさんは手当てが必要だし、すぐに報告して対策をしないと」
シンはそう言ってサラを抱き上げたが、予想外の重さに「うっ」と声が上がった。
「…………だ、大丈夫……?」
ロキは自分には絶対に代われない役目だと、一歩引きながらシンを気遣った。
「なんの……。ロキ、まだ仲間が近くにいるかもしれない。サポートを頼む」
シンがそう言うと、
「了解」
とロキは弓矢を持って、シンの前に立った。
「ロキ、このまま走り抜けるぞ。城下町がどの位の人で賑わっているか分からないから、城内は走れるだけ走ろう」
「分かってるよ。でもこのペースで走り続けたら到着した時に息が切れそう」
2人の騎士は廊下を一気に走り抜け、階段を3段ずつ降り、一気に城を抜けた。いつもよりも開かれた城門で自分たちの名前を言いながら走って通過し、城下町に出る。
「やっぱり、すんなりとは通れないか」
シンは大勢の人で賑わう露店の並んだ道を見て、一旦足を止めた。
「こっちだ。こんな日だから、狭い道を選んで通ってみよう」
ロキが脇道にシンを誘った。
「案内、任せても大丈夫か?」
「余裕」
2人は細い道を急ぐ。サラのことなので簡単にはやられないだろうと思いながらも、サラに偵察を任せた後悔が襲う。
「東方の兵か」
「一筋縄ではいかないね」
走りながら2人は嫌な展開になったなと顔を歪めた。外国人兵を雇う人間がこの平和なルリアーナにいる。そして敵は何人居るのか分からない。既に相手は城下町に到着してしまった。
最悪に近い展開に向かっているような、不気味な心地がした。
「単身で来たとは、思えないよね」
ロキが考えたくないなと思いながら、声に出す。
「そうだな」
2人は走るスピードを緩めずに住宅街を駆け抜ける。あと1区画で宿のある場所に着くというところで、人影に気付いて足を止めた。
視線の先に、特徴的な褐色の肌をした1人の男が見える。格好も、異国人らしく目立っていた。やけに堂々としている。
「あいつか」
シンは少し息を切らしながら、小さな声でロキに声を掛けた。
「間違いなさそうだね……。サラさんが心配だ」
シンは長剣を構え、ロキは背負っていた弓矢を持ち、ゆっくり弓を引いた。
「俺の仲間をどうした」
シンが大きな声で話しかけると、
「お前ら、何だ」
と褐色の肌をした兵士に尋ねられる。
「女性の仲間だよ」
ロキが立射の姿勢で兵士を狙いながら答えた。
「その人は……もう動けない」
兵士が言ったので、2人は嫌な予感に背筋が凍った。
「サラさんを、どうした……?」
シンは褐色の兵士に長剣を向けながらじりじりと間合いを詰める。
「さあ?」
兵士が笑ったところに、シンは最初の一太刀を振るう。兵士が曲刀でそれを受けると、ロキは兵士の右側に向け最初の矢を放つ。シンは兵士がその矢に気を取られた瞬間を狙って思い切り長剣を振り下ろした。
左肩にシンの攻撃が入ったが、浅い。すぐに曲刀が振りかぶられたのをシンが受け流すと、ロキの放った矢が兵士の左目に命中した。
視界の不自由さに体制を崩した隙を狙い、シンは長剣を振り下ろす。顔から首に入った一撃に、兵士は倒れた。
「1人だったら危なかったな……。なんか太刀筋が読みにくい奴だった……」
シンはそう言うとロキと宿の入口に向かう。そこには倒れて動けなくなっているサラが小さく呻いていた。
「サラさん!」
2人は駆け寄ってサラを起こした。
「ごめん…………足手まといになっちゃったわね……」
サラはそう言って悲痛な顔をする。
「どこをやられたんですか」
ロキに聞かれて、
「足と、手……だけかしらね」
サラは強がって笑った。他にも怪我をしていそうだ。
「一旦城に戻りましょう。サラさんは手当てが必要だし、すぐに報告して対策をしないと」
シンはそう言ってサラを抱き上げたが、予想外の重さに「うっ」と声が上がった。
「…………だ、大丈夫……?」
ロキは自分には絶対に代われない役目だと、一歩引きながらシンを気遣った。
「なんの……。ロキ、まだ仲間が近くにいるかもしれない。サポートを頼む」
シンがそう言うと、
「了解」
とロキは弓矢を持って、シンの前に立った。
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