<完結> βの俺が運命の番に適うわけがない

燈坂 もと

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< 本編 >

14.にがくて、あまい。少しでもあなたと:side佐伯(5)

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結局、黒木の士郎に対する態度は変わらないまま入学式を迎えた。

黒木から「教授が入学式の事で佐伯を呼んでいる」と連絡が入ったため、朝から高人さんの研究室へ向かう。
こんな朝から研究以外の事で呼び出されるのは初めてのため、疑問に思ったが、朝から会えるのは純粋に嬉しい。

新入生は9時集合。在校生はその1時間後の集合予定だったため時間には余裕がある。
時計を見たら7時。しかし、一体どうしたんだろう。
入学式関連は昨日再度チェックして完璧だった筈なのに……

向かっている途中で、高人さんに会った。

「……おはよ。黒木くんから聴いたが式典の事で確認したい事ってなんだ?昨日最終チェックは済んだだろう。」

言われて、頭にハテナが飛ぶ。
え、どういう事だ?

「おはようございます。え、俺が教授から呼ばれてるって黒木から聞いたんです、けど……あれ、もしかして……呼んで、ませんか?」
「……ははっ。恐らく、だが。図られたな?」

ニヤニヤしてる高人さんもかわいい。
朝からめっちゃ癒しなんだが。最高か。
いや、というか、俺を騙したって、つまりは、そういうことか。

「もしかして、士郎と2人きりになるために?あいつ、相当入れ込んでるな……」
「ほう。黒木くんは、時任くんがお気に入りなのか?」
「本人は自覚してないっぽいですけど、確定で間違いないかと。……β枠、黒木の私情が絡んでるとマズいんでしたっけ」

士郎以上に黒木のサポートをできる人間が再度の適性検査の結果を見た際に思い浮かばず、少し焦る。
まさか、ここまで黒木を絆すとは予想外だった。

「いや、選考は彼の意見は反映させていない。各個人の能力のみで厳正に勘案しているよ。」

高人さんの腕が、俺の腰と背中に伸びる。
自然と俺達の隙間は無くなっていく。

「……β枠のメンバーは、もう決定した。式典の前に打合せをするから、その時に……発表する。」

間近にある彼の柔らかい髪の毛を撫ぜながら、身を捩る彼の口唇に俺の口唇を落とす。
すると、彼も同じ事を返してくれた。

最近、どうしたんだ……?
俺にとっては嬉しいがめちゃめちゃ甘えてくれる。
幸せすぎてどうにかなりそうだ。
触れ合ってるところからじわじわ暖かくなる。

彼から、ふわっと、苦くて、甘い香りを感じた。
慣れ親しんだ香りに安心する……と同時に、毎日彼としている行為が、この香りと共に甦り必然的に俺のソコは硬くなっていた。

彼の息を近くで感じ彼をもっと感じたくて、ぐ、と彼に近づいた。

「んぁ……っ」

硬くなった俺と彼の中心部が布越しにぶつかって擦れ、彼は顔を歪ませた。
彼のソコも硬さが一気に増した。

「……かわいい。高人さん……好きだ」
「……ん、」

彼をもっと感じたくて、ちゅ、ちゅ。と、何度も彼の口唇を啄んだ。

甘い、コーヒーの香りがする。
この香りは、まるで媚薬のようだ。
この男を孕ませたい、と俺の遺伝子が訴えてくる。

繰り返してる内に、どちらからともなく、だんだんと深いモノに変わっていった口付けは、止まらなくなっていた。

「はぁ、ん、ぁ」
「ん、ん……」

誰もいない静かな廊下に俺と彼の水音と息遣いと声だけが酷く淫らに響いて、たまらない気持ちになる。

きっと、えっちな顔をしているであろう彼を見たくて、ちゅぽ、と口唇を離すとどちらの物とも分からない糸が俺と彼を繋ぐ。
その先の彼の色っぽい表情に、堪らなくなった俺は、彼の耳元に声を落した。

「あなたの中を、俺で埋め尽くしてグチャグチャにしたい。できる事なら、今すぐにでも。」

俺の言葉に、余裕がなくなった表情の彼は、俺の腕を取り、歩き始めた。
足の向かう先は……研究室だ。

「………時任くんの集合時刻は9時、だったな。その時間までには戻ってないと、流石に怪しまるれるだろう……?時間は限られているが、一緒に検証したい。」

俺は、この人に求められている唯一のαだという確証で心臓が潰れそうだった。
胸の奥から愛しいこの人を俺が滅茶苦茶に乱したい、と欲望が溢れ出して止まらない。

「────── もし、検証が物足りなければ………今夜、また、連絡する。」

今夜も、いいのか……!
嬉しさで ごくり。と喉が鳴った。

この人の世界にいるのは俺だけという喜びと、絶対に離さないという決意と。
ここまでくると執着以外の何者でもないだろう。
自分がこんな人間だったなんて、この人に出逢うまで知らなかった。


俺に捕まって可哀想な彼。でも、
────── 絶対に、逃さない。



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