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< 本編 >
16.四阿でキミと(2)
しおりを挟むどうやら頭を蹴ってしまった様で頭を手で押さえながら男が起き上がってきた。
ど、ど、どうしよう……?!取り敢えず、保健室……か?
「大丈夫ですか?保健室、行きましょうか……?!」
「いや、いい。ふあ。今、何時……?」
時計を見たら時間は11時半になっていた。
もうこんな時間か、と言いながらずっと欠伸をしている。
ていうか、結構凄い音したけど本当に大丈夫なのか……?
「ん?ああ、そんな心配そうな顔するな。俺、頭は結構頑丈なんだ。石頭、ってヤツだから、本当に大丈夫だから、な?」
そう言ってニィッと笑いながら俺の頭をポンポン叩いてくれた。
ホッとした俺を見ながら、お前……、とジィ、と俺を見つめた。
え、何?
「そのネクタイ……新入生、だよな。黒木の彼氏?匂い、エグ。」
「へ?!ち、違いますよ!何言ってるんですか……?ただの先輩と後輩です。」
「へえ。あいつの一方通行か。おもろ。」
ここまでキツいと、他のαは近寄れねぇだろうなぁ。とか訳の分かんないこと言いながら、俺の横に腰掛けた。
よく見たら、ネクタイは赤色。
2年生、という事は総兄と黒木先輩と同学年の先輩ということか。
「あの、初めまして。今年入学した、時任、士郎です。お昼は、ココで食べようと思っているんですけど、もし、邪魔なら移動しますが……」
「時任……士郎……? ────── !お前か……!」
え、俺、何かしたかな?
総兄から何か話聞いてるとかかな。ちょっと自意識過剰?
目の前の大男は、俺が自意識過剰な想像をしてるのも知らず、俺にニッと笑顔を向けながら、挨拶を続けた。
「よろしくな。俺は、鷲宮 咲耶だ。邪魔でも何でもないから、全然気にするな。あと、俺も1年だから、タメ口で構わない。」
「へ?でも、ネクタイ……」
「ん、ネクタイ?……ああ!ネクタイ変えるの忘れてたわ。実は、半年間入院してて、出席日数足りなくてダブってるんだよな。だから、年齢的には士郎の1個上。しかしな、タメ口で、頼む。同じ学年なのに敬語だったら、俺がこの学年に馴染めなくなるだろ、な?」
頼む!と両手を合わせて頼まれてしまっては、しょうがないなぁという気持ちになる。
「あと、俺の事は、咲耶で構わない」と付け足された。
仲良しになれそうで嬉しくなった俺は自然と声をかける。
「……わかった。よろしく。咲耶。」
「よろしくな!……ははっ。こりゃ、面白くなりそうだ」
?という顔をしている俺に、何でもない、それよか、昼、早く食べな。と促してくれた咲耶にありがとう、と言って、お弁当をテーブルに広げる。
「……しかし……弁当、って、珍しい、な?」
「やっぱり、そうなんだ?みんな食堂でしょ?でも俺、胃袋が庶民だから。あんな豪華なご飯、昼から食べたらビックリしちゃうなと思って、作って来たんだ。」
「?!自分で、作ったのか……?」
「へ?うん。実家でもご飯作ってたし、別に普通だよ。でも、こんな弁当、あそこで広げるの、流石に気が引けてさ。四阿に来たんだ。」
「なるほど、ねぇ。しかし、すげぇな。」
そう言いながら、咲耶はまじまじと俺の弁当を覗き込んだ。
そんなに見られたら何か恥ずすぎるんだけど……!
「そんな、凄いモノでもないよ……!ほら、コレなんか、昨日のおかずの残りだし……!」
「…………食べて、みて、いいか?」
「え、別にいいけど、そんな、美味しくもない、けど」
「構わない。くれ。」
そう言って、口を あ、と開けた。
え、俺があーん、ってしないといけないヤツ……?
なんで???
俺の頭の上で疑問符が飛び回ってるけど、咲耶の口は一向に閉じない。
まあ、ポン、て入れたらいいか……とおかずを持っていったら、バクって箸ごと持っていかれそうになった。
えええ?なにこれ???
箸だけは死守したけど、凄い勢いだったな?!こわ!
「 ────── !うま……っ」
「え、そ、そう?よかった……」
何だか咲耶は、感動していた。
でもきっと、庶民の食べ物を食べた事なくて吃驚してるだけなんだろう。
絶対、食堂の方が美味しいと思うけど。
もぐもぐ。……うーん。いつもの味だ。普通。
「……士郎、さ。お昼明日も、ここ来るか?」
「一応、毎日、来るつもりだけど……あ、やっぱりどっかいった方がいいかな?」
「そうじゃなくて!……その、材料費と調理費出すからさ、俺のも、作ってくんない?」
「えぇ?作るのは構わないけど、絶対食堂の方が美味しいと思うよ。」
「…………俺は、お前の弁当が、世界一美味いと、思った。」
えー!めっちゃ嬉しい事言ってくれるー!
ソコまで言われたら腕がなるよね……!
レパートリー少ないけど。
「わかった。その代わり、食堂で食べたい日もあるだろうから、その時は食堂に行く事。気遣いとかいらないからね。基本は俺のお弁当と内容一緒になるけど……あ、当日にいるかいらないか連絡ほしい……えと、連絡先教えてくれる、かな?」
もちろん!とスマホをごそごそポッケから取り出して交換した、……と、急にスマホの画面が暗くなる。
あれ、急に、天気悪くなった……?と思ってふ、と上を見上げた。
息を切らした、黒木先輩が……そこに、いた。
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