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< 本編 >
90. 不安、焦燥:side黒木 /止まらない想い、焦燥:side鷲宮⁂
しおりを挟む※士郎と咲耶のRシーンがちらっとだけ、あります
────────────────
「……っ、?!……なんだ……?」
2コマ目の講義中、急に全身に悪寒が走った。
健康管理を怠った事がない俺が、風邪を引くなんて有り得ない。
指輪に反応は、ない。
もし俺以外の人間と接触があれば反応がある筈だ。
しかし、婚約指輪の精度については、以前から問題視されていた。
結婚指輪よりも反応を弱体化させるため、精度を下げざるを得なかった婚約指輪は、問題視こそされていたが、婚約指輪を購入するよりも結婚指輪をという考えが大多数だったため、改良の機会を逃し続けていた。
精度が下がった事により、起きた不具合が……遺伝子情報の読み取りだ。
少しでも似たような遺伝子情報だと、全てではないが、反応しないものが稀に発生するのだ。
懸念すべきは……鷲宮の存在だった。
ただでさえ、Ωの遺伝子情報は解析が難しい。
その中でも、双子はほぼほぼ情報が一致する。
俺の母と鷲宮の母は双子の兄妹で……Ωの中でも遺伝子レベルにほぼ差分はない。
受理されている婚約指輪だとしても、母親同士の血の繋がりが濃い俺と鷲宮の違いを解析できるかは、甚だ疑問だ。
婚約指輪が嵌っている右手をぐ、と握りしめ、俺は不安を解消するため、ガタン!と席を立つ。
後ろを振り返り、俺の後ろの席にいる俺の行動に吃驚していた佐伯に、俺の不安を吐露した。
「佐伯……すまない。今から俺が向かうところへ一緒に、ついてきて欲しい。……状況によっては……士郎の前で、人を殺めてしまうかもしれない……俺が手を出しそうになったら止めてほしいんだ……頼む……!」
「……?!、わか、った。教授!すみません。黒木と離席します。緊急、みたいで。」
佐伯の了承を得るなり、俺は教室を飛び出した。
胸騒ぎが、する。
「黒木……?!一体、どうしたって、いうんだ……!人殺しって……?!」
「さっきから、落ち着かない。……っ、士郎に、絶対……何か、あった……!……間違いなく、鷲宮が……絡んでいる……!」
「鷲宮くんが……?!……よく、分からないけど、急ごう……!比良坂教授にも、連絡を入れておく……!士郎に何かあったら……俺も、冷静でいられる自信が、ない……!」
普段、走らない廊下を……士郎の匂いと、俺の匂いを辿って全速力で駆ける。
俺の只の思い過ごしであってくれたら、それでいい。
いつもみたいに、心配しすぎだよ、って
笑って、くれたら ───────── 。
***
「……っ、さ、くや……ん、……!」
目の前の可愛い口唇に誘われる様に、俺の口唇を、ゆっくりと触れ合わせた。
ずっと、求めていたモノに触れられた喜びに全身の血が沸き立つ。ぞわぞわして、堪らない。
少し口唇を離して士郎の目の前に、薬指に嵌った指輪を持っていく。
「……今、士郎と俺……キス、したけど……指輪、反応……してる……?」
「……っ、……して、る……!してるから……、離、して……!」
「嘘、つき。反応してたら、指にとんでもない痛みが走る、筈。……別のキス……試させて……?」
「……っ、や、……ふ、ぁ……!」
焦がれていた士郎との接触に、物凄く興奮して……おかしくなりそうだ。
俺の香りに当たった彼は、身体が痺れて動けないようだった。
無理矢理組み敷きたくはなかった俺にとって、この状況はまさに僥倖だった。
彼の舌を俺の舌と絡めたくて、今の彼の全力で閉じていた口を舌で難なくこじ開けて、俺の舌を滑り込ませた。
ねっとりと、彼の舌を俺の舌で絡めとる。
ゾクゾクした。
「……っ、は、……指輪……反応、してない……ね……?……士郎……かわいい……もっと、したい」
「……ん、ぁ、さ、くや……や、だめ……これ、いじょう、は……ん、……ぁ、……おれ、……やだ……」
「……俺と……いっぱい……えっちな事、……しよ?」
士郎の口唇を塞ぎながら……士郎の、胸の粒をゆっくり服の上からなぞる。
右の粒を指でカリカリと擦って……口唇から胸元に移動して、左の粒を服の上から口に含んで、じゅ、と吸った。
「ッ!あ、や、……っ、だ、め……ッ!んっ!」
ビクビクっ、と彼の身体が反応する。
下半身を見ると、じわ、とズボンが湿っていた。
ヤバい……もっと、したい。
「……イったの……?かわいい……えっちすぎ……、気持ち、よかった……?」
「……っ、も、やめて……?おれ……さくやと、……っ、ともだちで、いた、い……」
「……俺は、嫌だ。」
泣いて嫌がる士郎に、分かって欲しくて。
俺は動けないでいる彼の上半身を起こして、抱きしめた。
ずっと、蓋してた気持ちは、保健室に入る前から溢れ出していて。
隠す事は、もう、出来ない。
「俺は……士郎が、好きだ。」
「……っ、俺も、好きだよ……?でも、友達はこんなこと、しな」
「友達じゃない……!……俺は、君を……愛してる……!」
息が、詰まりそうだ。
でも、もうこの気持ちは……隠せない。
君が好きで、好きで、好きで、好きで……おかしくなりそうだ。
そんな時だ。
鍵をかけてた筈の、保健室のドアが
勢いよく開いたのは。
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