生まれた時から、運命の君へ

ミルクルミ

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恋人のような兄弟④

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「どうしたのですか、悠衣。ここまで来るなんて、珍しいですね」
「荒木先生に、ちょっとノート運ぶの手伝うように言われたから」
「そうですか。あ、ちょうどお昼なので、一緒に行きましょう」

 荒木の名前を出すと一瞬目が鋭くなった柊は、すぐ隣にいる海をチラリと見て、眼光を和らげた。
 そして手に持っていた荷物を自分の机、荒木の斜め向かいの席に置き弁当を二つ持ってくる。
 一つは柊の、そしてもう一つは悠衣のである。

「行きましょうか」
「うん。じゃあ海、またあとで」
「おう、またな!」

 柊と悠衣は、数学準備室で毎日お昼を一緒に食べていた。
 他の数学の先生はその時間気を遣ってか出ていくので、実質二人きりである。
 前に海が「生徒と一緒に食べて、いいんですか?」と聞いたことがあったが、「いいんです、お昼に充電しないと持ちませんし」と変な事を言っていた。
 まあ今まで注意されたこともないのでいいのだろう。
 海はバスケ部の皆と食べに、教室に弁当を取りに行く。
 悠衣と柊はいつも通り、教科棟の二階にある数学準備室に向かった。






「悠衣」

 室内に入り電気をつけると、柊が悠衣の手を引く。
 イスに座った柊の膝の間に悠衣を座らせ、後ろからギュッと抱きしめた。
 悠衣も柊に身を任せ、もたれかかる。

「悠衣……今日も、いつも通り何事もなかったですか?」
「うん」

 後ろから柊が悠衣の耳を口に含み、はむはむと食んだ。
 くすぐったそうに悠衣は身をよじり、柊の手を掴む。

「何かあったら、すぐに言ってくださいね。たとえ授業中であっても、駆け付けますから」
「授業サボっちゃ、ダメだよ?」
「悠衣のためなら、そんなこと些事です」

 横から悠衣のほっぺにキスをし、柊は弁当に手をかけた。
 オレンジ色のハンカチで包まれたのを悠衣の前に、そして青色のを横に置き、箸を口と手で割る。

「では、いただきます」
「いただきます」

 手を合わせ、柊の片手はまだ悠衣の体に回されたまま、二人は昼食を開始した。

「悠衣」

 そしてしばらく、当たり障りのない話をしていた時だった。
 ふと柊の声が、真剣みを帯びる。

「明日から、学校を休みなさい」
「……何で?」
「朝より、匂い強くなってますよ。明日か、早くても今日には発情期に入ってしまうでしょう。本当は、今からでも休ませたいくらいですが……」
「ううん、今日はちゃんと出席する」
「そうですか」

 オメガの発情期は、一週間ほどだ。
 三か月に一回とは言っても、元々体が弱い悠衣は、学校を休みがちである。
 なので出席できるときに出席しないと、単位を落としてしまう。
 明日休むのなら、元気な今日くらいは最後まで授業に参加しなければ、そしてそんな悠衣の心情を知っている柊は、心配ながらも悠衣の意思を尊重し、頷いた。

「では、今日は真っ直ぐに帰ってくださいね? 帰りは職員会議があるので、遅くなりますから」
「分かった」

 そうして二人は、昼休みをめいいっぱい普段通りイチャイチャして過ごした。
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