オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました

木嶋隆太

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第2話

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「……ここが、飛野の家なのか?」

 治はそのマンションを見上げながら、唸るように声をあげた。
 案内された場所は市内で一番目立つマンションだった。

 自動扉をくぐり、彼女とともに中へと入っていく。治はこの家の近くでくらしている、何度も見たことはあったが、中に入ったことはない。
 治が暮らしているアパートとの差に、驚きが隠せず周囲をきょろきょろと見回していると、咲はくすりと微笑んだ。

「はい。……まあ、親が一人暮らしをするのなら、セキュリティー面で安全な場所にということでここになりました」
「そうか……」

 生まれながらの勝ち組、そんな言葉が治の脳裏に浮かんだが口には出さなかった。
 そこで、治ははたと首を傾げた。

「……一人暮らし?」
「はい、そうですけど……あっ、高校生では珍しいですかね?」
「いや、そこじゃないが……」

 治も一人暮らしをしているため、珍しいと感じることはなかった。
 治の指摘を受けてもまだ、咲はきょとんと抜けたような顔をしている。

「え? どこですか?」
「……一人暮らしなのに、男を家まで案内するのは危険じゃないか?」

 聞かなかった治も悪いと思ったが、治は咲が家族と暮らしていると考えていた。

 高校生から一人暮らしを始める子というのはあまり多くないというのは治がクラスメートの話から盗み聞きしたことで知っていた。
 治が指摘したことで、咲は顔を真っ赤にした。

「わ、私別に知り合った男を連れ込むようなち、痴女ではありませんからね!?」
「……いや、誰もそこまでは言っていないが。まあ、別に何もしない。金額もらったらそのまま帰るから安心してくれ」
「……わ、わかっています。大丈夫です」

 こくこく、と咲が頷き、それからやってきたエレベーターに二人で乗り込んだ。
 階層は十階程度あり、咲は迷いなく十階を押した。

「最上階か?」
「一応屋上もありますね。花火大会の時とかは解放されますが、普段は閉じられているんですよ」
「……そうなんだな。でも十階なら、それでもかなり眺めいいんじゃないか?」
「そうですね。去年の花火大会では友達を家に呼んでいますね」

 そんな話をしながら、十階につき通路を歩いていく。
 綺麗な景色に周囲をきょろきょろ見ていた治に、くすりと咲が笑った。

「なんだか反応が新鮮ですね」
「……もう二度とこの景色を見ることはないだろうからな、今のうちに記憶に焼き付けておこうと思って」
「なんですかそれは」

 咲が続けるようにくすりと笑った。
 それから、咲の部屋である1008号室についた。
 部屋の入り口はカードキーを差し込むようになっている。その時点で次元が違うと思った。
 咲がカードキーを取り出し、治を見る。

「部屋の中で待っていてください」
「……いや、別にここで待ってるから。中に入るのは、色々まずいだろ」

 治はそういって首を横に振った。
 先ほどの咲の反応もあり、部屋の中まで入るのははばかられた。
 咲は治の言葉でようやく理解したおうで、頬を僅かに赤くしてからこくこくと首を縦に振る。

「そ、そうですね……っ。す、すぐに見つけてきます!」
「ああ……」

 咲の反応から、さっきのやり取りを忘れていたのだろうと予想した治は壁を背もたれにスマホを弄って時間を潰していた。
 しかし、それからすぐに治はこくこくと意識の浮き沈みを繰り返していた。
 疲労がたまっていたこともあり、激しい睡魔に襲われていた。
 ガチャリ、という音にはっとしたように治は顔をあげた。ちらと視線を向けると、申し訳なさそうに咲が扉の隙間から顔をのぞかせていた。

「あったのか?」
「……そ、そのまだ時間かかりそうで……やっぱり、中で待っていてください……」
「……そう、か」

 それならまた今度で、という提案がその場ですぐに思い浮かばなかった。
 いわれるがままに中へと入る。ふらふらとした足取りで、家にあがった。
 豪華で大きな部屋だった。一人暮らしをするには明らかに過剰ではあった。

「……へ、部屋が汚いのはたまたまですからねっ!」
「……そう、なんだな?」

 部屋が汚いといわれ、ようやく治は足元に気づいた。
 ゴミなどは袋にひとまとめにされてこそいたが、それでもあちこちにそういったゴミ袋があった。
 着替えなども脱がれたまま放置されている。

 そんな光景に治は一瞬驚いたが、すぐにまた睡魔に襲われ深く考えることはなかった。

「ソファに座って休んでいてください」
「……ああ、わかった」

 そんな声はどこか遠くで響いて――。
 治はソファに座るとすぐに、眠りについてしまった。
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